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5話 消えた神と絶望

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 神様は本当に消えてしまった

「あ、はは。まじかよ……どうすれば良いんだよ! このままじゃ即死じゃねぇか! 」


幼子は荒れていた。
可愛らしい手足を振り回して。

「いや、待てよ。とりあえず、とりあえず現状を整理しよう。もうヒッチャカメッチャカだ。……まず、ここは………どう考えても魔王城とかだよな。それにこの後ろの椅子、滅茶苦茶禍々しいし、魔王の玉座の間とかそういう場所だよな、ここ。」

 実際、幼子の前には今の彼では一人で座れないであろう大きさの荘厳な椅子があった。
 ただ、その椅子は触れたら精神不安を起こしそうな魔力とでもいうのだろうか、禍々しきオーラを放っており、彼は少しそれと距離を空けた。

「……。まあ、この際これはどうでもいいとして、魔王(予定)がいつ来るかが問題だ。後、俺が今何できるかだけど」

「………。レベル1…」


勇者(予定)の詳しいステータス↓
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職業『魔王』
名前『』(名付けして下さい)
レベル:1(0/100  残り100経験値でレベル2)

使用可能属性:聖(error)
スキル:急成長、限界突破
職業による特性:支配(error)、無垢なる悪(error)
弱点属性:聖(error)

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「まじでどうすればいいんだよこれ。今から頑張って何とかなるのか? レベル1だぞ、相手は15年生きてるんだから絶対1以上あるのは確実……クソゲーも良いところだぞ。しかも、なんかerrorばっかりだし……」


詰んだ


それが脳裏をかすめる。

思わず白目を向いてしまったが、その時少し仰け反ってしまい、頭……というか角の重みで後ろに倒れてしまう。
ゴチンッといい音が鳴って床に頭を打ち付けた。

痛みは無かった。

が、驚いて白目から戻ったらあの禍々しい玉座ぽいものが視界に入った。

それに思わずハッとした。

「いや、でも待てよ。魔王(予定)が思い出したのが俺が誕生したのと同時だったらしいし、今はきっと、スタート地点にいるはずだ。なら、ゴールである魔王城ここに着くまでかなり時間は稼げるはずだ」

勇者(予定)は、一縷の望みを見つけた。

「そうだ、なら今から死に物狂いで鍛えれば、元は魔王の身体だし何とかなるんじゃないか……いや、もしくは逃げるのも手では?」

 逃げるべきか、それとも、この魔王城という恐らく世界中でもトップクラスの守りの中何とかするか、それが問題だ。

腕を組んで彼は考えた。恐らく、前世含め、これ程考えたことは無いと言うほど思考した。


 ここで彼が即座に逃げるという選択をとっていれば、結末は色々変わったかもしれない。

 しかし、彼は悩むという行動を選択した。

 それは、果たして彼にとって最前の選択だったのか……
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