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1話 誕生

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 辺りには誰もいない、薄気味悪い魔王城の謁見の間。そこに黒い淀みが生じ、空間が歪む。
 そして、目映い光が辺りを包み、明かりが消えるとそこには幼子が1人いた。


「ふふ、あははっ、あはははは! 転・生・だ~!!」

 ちょっと頭がおかしい幼児が誕生した。
 誰かに見られていたら、確実に黒歴史となる誕生シーンだった。幸いな事に周りには誰もいなかったため、彼が辱められることはなかったようだ。

「ふふ、本当に転生した! しかも異世界! あの神様これだけは感謝だな」

 少し時間は遡る。

 この転生したと叫んでいるのは、お察しの通り、新たに誕生した魔王だ。彼は生前、神の勘違いにより殺されてしまったのだ。そんな彼を神はやらかした詫びとして最強の力を持っている者に転生させることを約束した。

………ちなみに、彼はまだ自分が魔王に転生したことには気付いていない。それに気づくのはこの後すぐだった。
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