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第2章 【逃走】
18話 ステータス……え? バグった?
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「………」
冒険者カードを見間違えたかと思い、何度も見返すユート。
そんなユートに二人は声を掛けることを躊躇った。
(おい、 クレア。記憶を失くした場合、冒険者カードってどう表示されんだよ)
(分からないわよ!前例がないんだから………)
二人がこそこそと話している間、ユートは頭をフル回転させて自分のステータスを読み解こうとしていた。
(種族は人間になると思ったんだけど違うのか。まぁ、確かに母さんが俺はハーフって言ってたしその部分は間違ってはないけど。
なんか不安が残る表記だよな。??ってなんだよ。父さんは顔からして日本人だし、母さんは……あれ? 何かいつも聞くたびに違かったような………)
ユートは、思い返そうとして両親との会話を思い出す。そうして思い出したのは小学1年生くらいの記憶だった。
その日、勇斗はクラスメイトと取っ組み合いの喧嘩をして保護者を学校に呼び出されていた。
先ほどまでうつむきながら黙って母親の手を握り歩いていたユートは、急に立ち止まりためらいがちに口を開いた。
「……ねぇねぇ母さん」
「どうしたの勇斗?」
「僕の髪とか目の色って変なのかな?」
「…どうして?」
「今日ね、クラスの男の子に勇斗くんのお母さんは外人だって言われた。それで……お前の目や髪の色はだから変なんだって言われて……それで‥ グスッ」
ユートの髪色は母親譲りの美しい金髪、目は父親譲りの日本人にしては明るい茶色だった。
静かに話を聞いたお母さんは、ユートの頭を優しく撫でながら答えた。
「お母さんの生まれは確かに日本ではないわね。……勇斗はその目の色や髪色は変だと思う?」
「思わないよ! お母さんとお父さんとおなじ色だもん! オレこの目大好きだよ!」
「お母さんも勇斗の色が大好きよ。私譲りの金髪も、あの人譲りの茶色い瞳もね。」
そう言って、お母さんはユートを抱き上げた。そして、背中を撫でながら言った。
「この世界にも様々な人がいて、目や肌の色が違うことあるけど、同じ人間だもの。話して解決できることの方が多いわ……この国は平和だもの」
そして二人でいろんな話をした。この世界にはどんな髪色の人がいるのか、言語の違いはどんなものがあるのか……そんなことを話していたユートは一つ気になることができ、お母さんに聞いた。
「ねぇねぇ、お母さんは日本生まれじゃないって言ってたけど、どこのお国の生まれなの?」
この質問をしたとき、母さんは少し困った顔をしてた。どこか悲しそうな気がして、俺がなんか言おうとしたら、母さんはいつもの調子に戻って、なぞなぞを言うみたいにイギリス?フランス?とか言っててた気がする……でも、この時ちゃんと答えはもらえた?…………はっきり思い出せない。なんで? 子供だったから? でも、今でも親の出身地を思い出せないのは……おかしくないか。
その考えに至ったユートは、自分の記憶が本当に欠如している可能性に気付いたが、それ以外は特に忘れていることもないので、単に自分の記憶力の問題かもしれないと思った。
(これ以上混乱したくないし、今考えなくてもこれは大丈夫なはず。それに忘れてる俺の記憶力の問題の可能性の方が今のところ高そうだ…よし、じゃあ、種族は人間! 俺がそれ以外なんてことは絶対ないだろうし、きっとバグだ)
ユートは一つ目の不安要素を無視することを決めた。
(それよりも称号ってなに? 意味が理解できそうなのがほとんどないんだけど……
辛うじて【神に愛された子】は、よくゲームとか小説で出てくるやつだと思うけど……どんな効果があるかは知らないから、やっぱり意味わからないし、他三つはさらに意味不明……というか物騒なのあるし。
それに、最後のなんて表記されてても【????】って、なんだこれ? もはや表示しないでくれてもよくない? 余計に頭が混乱する……
あっ、しかもこれ称号(?)だ。………称号ですらない……のか? 訳わかんないんだけど)
意味が分からな過ぎて混乱の極みに達したユートは……二つ目の不安要素を無視することを決めた。
(何に使えるかもわからないし、とりあえず称号は無かった方向でいこう。 ?が付いて称号かも定かではないんだし)
次にユートはその下のスキルを見る。
(スキルの弓道と精神統一は、たぶん部活でやってた弓道が理由だよな。これはまだわかるし使えそうだ。
けど、愛嬌ってなんだよ! ……スキル愛嬌って、、、どう使えって言うんだよ)
彼はうんうんと唸り、この世界でどう生き残ろうか考える。今の現状の把握で手一杯だったため、彼はこの転移がなぜ行われたのか考える余裕はなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
勇斗君の目が変だと言ったクラスの男子は、好きな子が他のやつと楽しそうに話していたのが気に入らなかったので、好きな子に嫌がらせとして言ってしまいました。
その子も、本当は勇斗君の目も髪色も大好きでしたが、そんなことを言ってしまったがために勇斗君と取っ組み合いの喧嘩中に、「お前なんか大っ嫌い!」と言われて戦意喪失&失恋。親にも顛末を聞かれてお前が悪いと怒られました。
次の日から彼は勇斗君に謝り続け、1ヶ月経つ頃には勇斗君と一番仲が良くなっていました。そんな彼は勇斗君が転移するまで彼に近づこうとする者を牽制し続けました。
その結果、勇斗君は顔が整っているのに恋愛経験はゼロとなりました。果たして、これが今後どのようなことになるのか……
また、彼は勇斗が行方不明となったことで、勇斗の行きそうな場所を色々と探している最中、足を滑らせて海に落ち、そのまま行方不明となってしまいました。
彼の名は……
冒険者カードを見間違えたかと思い、何度も見返すユート。
そんなユートに二人は声を掛けることを躊躇った。
(おい、 クレア。記憶を失くした場合、冒険者カードってどう表示されんだよ)
(分からないわよ!前例がないんだから………)
二人がこそこそと話している間、ユートは頭をフル回転させて自分のステータスを読み解こうとしていた。
(種族は人間になると思ったんだけど違うのか。まぁ、確かに母さんが俺はハーフって言ってたしその部分は間違ってはないけど。
なんか不安が残る表記だよな。??ってなんだよ。父さんは顔からして日本人だし、母さんは……あれ? 何かいつも聞くたびに違かったような………)
ユートは、思い返そうとして両親との会話を思い出す。そうして思い出したのは小学1年生くらいの記憶だった。
その日、勇斗はクラスメイトと取っ組み合いの喧嘩をして保護者を学校に呼び出されていた。
先ほどまでうつむきながら黙って母親の手を握り歩いていたユートは、急に立ち止まりためらいがちに口を開いた。
「……ねぇねぇ母さん」
「どうしたの勇斗?」
「僕の髪とか目の色って変なのかな?」
「…どうして?」
「今日ね、クラスの男の子に勇斗くんのお母さんは外人だって言われた。それで……お前の目や髪の色はだから変なんだって言われて……それで‥ グスッ」
ユートの髪色は母親譲りの美しい金髪、目は父親譲りの日本人にしては明るい茶色だった。
静かに話を聞いたお母さんは、ユートの頭を優しく撫でながら答えた。
「お母さんの生まれは確かに日本ではないわね。……勇斗はその目の色や髪色は変だと思う?」
「思わないよ! お母さんとお父さんとおなじ色だもん! オレこの目大好きだよ!」
「お母さんも勇斗の色が大好きよ。私譲りの金髪も、あの人譲りの茶色い瞳もね。」
そう言って、お母さんはユートを抱き上げた。そして、背中を撫でながら言った。
「この世界にも様々な人がいて、目や肌の色が違うことあるけど、同じ人間だもの。話して解決できることの方が多いわ……この国は平和だもの」
そして二人でいろんな話をした。この世界にはどんな髪色の人がいるのか、言語の違いはどんなものがあるのか……そんなことを話していたユートは一つ気になることができ、お母さんに聞いた。
「ねぇねぇ、お母さんは日本生まれじゃないって言ってたけど、どこのお国の生まれなの?」
この質問をしたとき、母さんは少し困った顔をしてた。どこか悲しそうな気がして、俺がなんか言おうとしたら、母さんはいつもの調子に戻って、なぞなぞを言うみたいにイギリス?フランス?とか言っててた気がする……でも、この時ちゃんと答えはもらえた?…………はっきり思い出せない。なんで? 子供だったから? でも、今でも親の出身地を思い出せないのは……おかしくないか。
その考えに至ったユートは、自分の記憶が本当に欠如している可能性に気付いたが、それ以外は特に忘れていることもないので、単に自分の記憶力の問題かもしれないと思った。
(これ以上混乱したくないし、今考えなくてもこれは大丈夫なはず。それに忘れてる俺の記憶力の問題の可能性の方が今のところ高そうだ…よし、じゃあ、種族は人間! 俺がそれ以外なんてことは絶対ないだろうし、きっとバグだ)
ユートは一つ目の不安要素を無視することを決めた。
(それよりも称号ってなに? 意味が理解できそうなのがほとんどないんだけど……
辛うじて【神に愛された子】は、よくゲームとか小説で出てくるやつだと思うけど……どんな効果があるかは知らないから、やっぱり意味わからないし、他三つはさらに意味不明……というか物騒なのあるし。
それに、最後のなんて表記されてても【????】って、なんだこれ? もはや表示しないでくれてもよくない? 余計に頭が混乱する……
あっ、しかもこれ称号(?)だ。………称号ですらない……のか? 訳わかんないんだけど)
意味が分からな過ぎて混乱の極みに達したユートは……二つ目の不安要素を無視することを決めた。
(何に使えるかもわからないし、とりあえず称号は無かった方向でいこう。 ?が付いて称号かも定かではないんだし)
次にユートはその下のスキルを見る。
(スキルの弓道と精神統一は、たぶん部活でやってた弓道が理由だよな。これはまだわかるし使えそうだ。
けど、愛嬌ってなんだよ! ……スキル愛嬌って、、、どう使えって言うんだよ)
彼はうんうんと唸り、この世界でどう生き残ろうか考える。今の現状の把握で手一杯だったため、彼はこの転移がなぜ行われたのか考える余裕はなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
勇斗君の目が変だと言ったクラスの男子は、好きな子が他のやつと楽しそうに話していたのが気に入らなかったので、好きな子に嫌がらせとして言ってしまいました。
その子も、本当は勇斗君の目も髪色も大好きでしたが、そんなことを言ってしまったがために勇斗君と取っ組み合いの喧嘩中に、「お前なんか大っ嫌い!」と言われて戦意喪失&失恋。親にも顛末を聞かれてお前が悪いと怒られました。
次の日から彼は勇斗君に謝り続け、1ヶ月経つ頃には勇斗君と一番仲が良くなっていました。そんな彼は勇斗君が転移するまで彼に近づこうとする者を牽制し続けました。
その結果、勇斗君は顔が整っているのに恋愛経験はゼロとなりました。果たして、これが今後どのようなことになるのか……
また、彼は勇斗が行方不明となったことで、勇斗の行きそうな場所を色々と探している最中、足を滑らせて海に落ち、そのまま行方不明となってしまいました。
彼の名は……
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