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【私】 男の勝利
後編*
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お茶会から数日後、私は原因不明の体調不良により寝込んでいた。
コンコンコン
「体調はどう?」
ノックをして部屋に入ってきたのは彼だった。
「なんで、貴方がここにいるのよ」
「私は貴女の婚約者だからね。お見舞いに来るのは当たり前じゃないか。それも、愛しい婚約者のためならば仕事だって二の次だよ。これお見舞いの花と愛しい婚約者に愛を込めた贈り物だよ」
そう言って彼が渡してきたのは、バラの花束と花のしおりだった。
見舞いにバラとは少し場違いのようにも思ったが、それよりも気になったのはしおりだ。なぜ、しおり……
「そのしおり、いいでしょ。どの花も気に入ってしまったから三種類もしおり作ってしまったよ。ちなみに、花は右からインパチェンス、桃の花、これは見てわかると思うけど四葉のクローバー。大切に使ってくれると嬉しいな」
「はいはい、わかったわよ。大切に使うわ。お見舞いをありがとう。もう用事が済んだのであれば出て行って下さる?」
「いや、まだあるよ。というより、こちらが本題だよ。実は貴女の症状に効くと思われるお茶を手に入れたんだ。今入れるから、騙されたと思って飲んでみて」
そういうと、男自らお茶を入れてくれた。
「……なんで、貴方が入れてるのよ」
「貴女のことは私が全てしたいからかな。何なら、着替えから食事まですべて私がしたいと思っているよ」
「……遠慮するわ」
「あははは、ま、とりあえずこれを飲んで」
そう言って渡されたそれはとても甘い香りがしていた
「これ、本当に効くの?」
「私が貴女に毒を渡すわけないじゃないか。まあ、飲んでご覧。きっとすぐに効果が表れるから。何なら、効果が表れなかったら婚約を破棄してもいい」
あんなに頑なに拒んできた婚約破棄をしてもいいというくらいなのだから効果は確実にあるのだろう。そう考え私はそれを飲んだ。すると、先ほどまで起き上がる事もできそうになかった体が、羽のように軽くなっているように感じた。なんだか気持ちがフワフワしており、今なら何でもできそうな気さえする。
「あはは、凄いわ! このお茶! 先ほどまでの気持ち悪さや不快感すべてなくなったわ!」
「それは良かった! 貴女の体調も良くなった事だし少し私とお茶をしないか?」
「ええ、いいわよ。あと、先ほどのお茶をもっと飲みたいわ」
「ふふふ、ああ、存分に飲むといいよ」
そして彼とお茶会を少し楽しみ、その日はお開きとなった。
それから数日後、私はあのお茶の事しか考えられなくなっていた。どうしてもあのお茶が飲みたくて彼の屋敷に行った。すると、まるで予期していたかのように彼が私を出迎えた。
「おやおや、どうしたんだい? 今日はお茶会の日ではなかったはずだが……」
「あのお茶をどうしても飲みたくて……できれば、茶葉の銘柄を教えて欲しいのだけど…」
「残念ながら、銘柄を教えることは出来ないんだよ。この茶葉は貴重な物でね。ある会員に入っていないと手に入れられないんだ。でも、ここで飲む分にはかまわないよ」
「そうなの。じゃあ、今から飲みたいのだけれどいいかしら?」
「ああ、貴女が満足するまでいいとも」
この日から週一で男の屋敷でお茶会をし始めた。しかし、日を追うごとに女のあのお茶を飲みたいという欲求は膨れ、男の屋敷に女が通い始めて四ヶ月経つ頃になると女は男の屋敷に泊まることも多くなり、ほぼ同棲状態となっていた。そして、女は半狂乱状態が通常と化しつつあった……
男の寝室では男がベッドに腰かけ、その足に女が縋り付いていた。
「……これで私だけしか見れないね」
「あ、あ、あ、あ、お、ちゃをちょうだい? お茶が欲しいの! ねぇ、ちょうだいよ!」
「ああ、いくらでも、今はお茶の事しか考えられないよね。はぁ~このお茶、麻薬成分が予想以上に強いな。
少し配合を変えていかないとな。配合としては少しずつ快感に対するものを上げていって最後には私の事しか考えられないようにしないと、ね?」
「お茶、おちゃ、おちゃ、おちゃああああああ」
「貴女が私以外を愛したから悪いんだよ? 相手はまだわからないけど、貴女が教えてくれたらすぐにでも消してあげるからね? ふふふふ、今度こそ私だけを見てね」
「ああああああああああああああああ、おちゃ、ねぇ、はやくちょうだいよ!」
「ああ、あげるよ。でも、飲んで君は我慢できるかな~。さすがに結婚前に純潔を奪うわけにもいかないんだけど……まあ、貴女から誘われたら私がそれに抗うなんてできそうもないけどね」
この後、配合を少し調節したものを男は渡し、それを女は飲んだ……
あのお茶会から半年後
男と女は結婚したが、その後社交界で女の姿を見ることはなかったそうだ……
しかし、風の噂で結婚から八か月後に女が出産したという噂が流れたが、男は無言を貫いたため真相は謎のまま人々の記憶から忘れ去られた……
END3【私だけを見て】
コンコンコン
「体調はどう?」
ノックをして部屋に入ってきたのは彼だった。
「なんで、貴方がここにいるのよ」
「私は貴女の婚約者だからね。お見舞いに来るのは当たり前じゃないか。それも、愛しい婚約者のためならば仕事だって二の次だよ。これお見舞いの花と愛しい婚約者に愛を込めた贈り物だよ」
そう言って彼が渡してきたのは、バラの花束と花のしおりだった。
見舞いにバラとは少し場違いのようにも思ったが、それよりも気になったのはしおりだ。なぜ、しおり……
「そのしおり、いいでしょ。どの花も気に入ってしまったから三種類もしおり作ってしまったよ。ちなみに、花は右からインパチェンス、桃の花、これは見てわかると思うけど四葉のクローバー。大切に使ってくれると嬉しいな」
「はいはい、わかったわよ。大切に使うわ。お見舞いをありがとう。もう用事が済んだのであれば出て行って下さる?」
「いや、まだあるよ。というより、こちらが本題だよ。実は貴女の症状に効くと思われるお茶を手に入れたんだ。今入れるから、騙されたと思って飲んでみて」
そういうと、男自らお茶を入れてくれた。
「……なんで、貴方が入れてるのよ」
「貴女のことは私が全てしたいからかな。何なら、着替えから食事まですべて私がしたいと思っているよ」
「……遠慮するわ」
「あははは、ま、とりあえずこれを飲んで」
そう言って渡されたそれはとても甘い香りがしていた
「これ、本当に効くの?」
「私が貴女に毒を渡すわけないじゃないか。まあ、飲んでご覧。きっとすぐに効果が表れるから。何なら、効果が表れなかったら婚約を破棄してもいい」
あんなに頑なに拒んできた婚約破棄をしてもいいというくらいなのだから効果は確実にあるのだろう。そう考え私はそれを飲んだ。すると、先ほどまで起き上がる事もできそうになかった体が、羽のように軽くなっているように感じた。なんだか気持ちがフワフワしており、今なら何でもできそうな気さえする。
「あはは、凄いわ! このお茶! 先ほどまでの気持ち悪さや不快感すべてなくなったわ!」
「それは良かった! 貴女の体調も良くなった事だし少し私とお茶をしないか?」
「ええ、いいわよ。あと、先ほどのお茶をもっと飲みたいわ」
「ふふふ、ああ、存分に飲むといいよ」
そして彼とお茶会を少し楽しみ、その日はお開きとなった。
それから数日後、私はあのお茶の事しか考えられなくなっていた。どうしてもあのお茶が飲みたくて彼の屋敷に行った。すると、まるで予期していたかのように彼が私を出迎えた。
「おやおや、どうしたんだい? 今日はお茶会の日ではなかったはずだが……」
「あのお茶をどうしても飲みたくて……できれば、茶葉の銘柄を教えて欲しいのだけど…」
「残念ながら、銘柄を教えることは出来ないんだよ。この茶葉は貴重な物でね。ある会員に入っていないと手に入れられないんだ。でも、ここで飲む分にはかまわないよ」
「そうなの。じゃあ、今から飲みたいのだけれどいいかしら?」
「ああ、貴女が満足するまでいいとも」
この日から週一で男の屋敷でお茶会をし始めた。しかし、日を追うごとに女のあのお茶を飲みたいという欲求は膨れ、男の屋敷に女が通い始めて四ヶ月経つ頃になると女は男の屋敷に泊まることも多くなり、ほぼ同棲状態となっていた。そして、女は半狂乱状態が通常と化しつつあった……
男の寝室では男がベッドに腰かけ、その足に女が縋り付いていた。
「……これで私だけしか見れないね」
「あ、あ、あ、あ、お、ちゃをちょうだい? お茶が欲しいの! ねぇ、ちょうだいよ!」
「ああ、いくらでも、今はお茶の事しか考えられないよね。はぁ~このお茶、麻薬成分が予想以上に強いな。
少し配合を変えていかないとな。配合としては少しずつ快感に対するものを上げていって最後には私の事しか考えられないようにしないと、ね?」
「お茶、おちゃ、おちゃ、おちゃああああああ」
「貴女が私以外を愛したから悪いんだよ? 相手はまだわからないけど、貴女が教えてくれたらすぐにでも消してあげるからね? ふふふふ、今度こそ私だけを見てね」
「ああああああああああああああああ、おちゃ、ねぇ、はやくちょうだいよ!」
「ああ、あげるよ。でも、飲んで君は我慢できるかな~。さすがに結婚前に純潔を奪うわけにもいかないんだけど……まあ、貴女から誘われたら私がそれに抗うなんてできそうもないけどね」
この後、配合を少し調節したものを男は渡し、それを女は飲んだ……
あのお茶会から半年後
男と女は結婚したが、その後社交界で女の姿を見ることはなかったそうだ……
しかし、風の噂で結婚から八か月後に女が出産したという噂が流れたが、男は無言を貫いたため真相は謎のまま人々の記憶から忘れ去られた……
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