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2章 修行【魔界】
メフィストの冒険?②
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「そろそろ起きなよ。魔王がみっともない」
魔法を使っても良かったけど、それすら面倒で魔王の顔をひっぱたく。
「う! な、なん、え? は?」
「混乱してるみたいだけど、そろそろ冷静になったらどうなの?」
冷めた目で魔王を見下ろす。
「う、あぁやっぱり夢じゃないんですね……と言うことは、あなたに契約者ができたというのも」
「勿論事実だよ」
「………私をからかってませんか?」
「からかってないってば。もう! 信じてよ~」
「………(あなたほど信用できない者はいない)」
「口に出さなくても、その表情で何考えてるのか丸わかりだよ」
にこりと笑って圧をかける。魔王はそれだけで、気まずそうに目を逸らす。
「まあ、それが今日の本題ではないんだけどね」
「えっ!? これが本題ではないんですか。 あなたがこの世界の誰かと契約したなんて、この世界終わったなと思ってたんですが………それに、てっきり、契約者ができたことを自慢しに来たと思ったのですが」
「あはははは。この世界終わったって………ラディが望まない限り終わらせないし、本題は違うよ。まあ、関係はあるし、自慢もしに来たけどね」
「(自慢もしに来たのか……) では、本題は何です?」
「……僕の契約者、この国の皇太子だったんだけど、バカどものせいで一回殺されたんだよね」
「は?」
「蘇生は勿論したし、契約の対価も死後履行予定したから、彼はもう僕の眷属と同じようなものなんだよね」
「いろいろ情報が多いですが、理解しました。それにしても死後履行ですか……あなたにしては優しい対価ですね」
「それはラディだからね。特別だよ。以前から仮契約は結んでたし、体の一部も交換済み」
「あぁ、それで眼が……」
「そういうこと」
メフィストは嬉しそうに、さらりと右目の縁をなぞる。
「それほど大切にしていた者を殺されたと」
「そういうこと。本当に愚かだよね。虫が僕の大切な物に手を出そうとするなんて」
魔王もそれには激しく同意だ。この世界の魔神に任命されているメフィストの大切な物に手を出すのはどう考えてもバカとしか言いようがない。
「でね。僕の契約者、ラディって言うんだけどね。彼の願いはまあ、この国の奴等に復讐することなんだよね」
「………………それは……私も含まれるんでしょうか」
「ん? いや、入らないんじゃない? まぁ、入るんだったら残念と思ってね」
魔王の顔色がどんどんと悪くなる
「まあ、君の話はさておき、君へのお願いはラディが魔界からこっちに来た時、やって欲しいことがあるんだよね」
「………嫌な予感しかしないんですが」
「簡単に言うと、あの子達の手伝いをして欲しいんだ」
「………あの子達ですか?」
「たぶんこちらに来るのに、ラディは体が人間だからいいけど、もうひとりが悪魔だから誓約に抵触する可能性があるんだよね」
「……」
「だ、か、ら、君にはその子と契約を結んで欲しいんだよ」
「………あなたは私に死ねと仰るのですか?」
「? 死ね? いや~別にそんなこと思ってないししようともしてないよ」
「………ではなぜ、個人で悪魔と契約しろなんて言うんですか? 悪魔との契約は魂が対価でしょ?」
「あー、そういうことか。……ふ、ふ、ふ。なんと今回のことは主神が多少手を貸してくれることになったんだ! 良かったね魔王」
魔王は、少し眉を潜めた
「……あなた、私にまだ話していない情報があるでしょ?」
「………何でそう思ったのかな?」
「主神が認めるなんて、普通じゃ考えられませんし、この世界、『箱庭』はそんなに手を加えることを主神はよしとしていないはず」
「あは。わかっちゃったんだ。そうだね、確かにまだ話してない情報があったね」
「それはなんですか」
魔王は聞き逃さないように前のめりになる
「それはね、ふふ、僕の契約者、実は神のお気に入りなんだけど、盗っちゃった」
「は?」
「だから、お気に入り。神様の」
「神って……誰の」
「主神の」
魔王は、驚きのあまり
「はぁぁぁぁぁぁぁああ!? 何やってるんですか! すぐに返してください! いや、今すぐ契約破棄してください!」
まるで、拾ってきた動物を元の場所に返せと言うようにメフィストに促す。しかし、それに対してメフィストはにこにこ笑いながら告げる。
「無理」
「何故!?」
「だって、もう魂の一部を交換しちゃったから、不可能だよ」
「あ………」
魔王は視線をメフィストの右目に向ける
「あはははは、やっぱり何事も先手を打つに越したことないよね。まあ。今回の話は君にとっても悪いものじゃないはずだよ。今回の事に手を貸したら主神も良いことしてくれるんだって」
「良いこととは……なんです?」
「それは言えないな~ 僕も詳しく聞いてないし。でも、主神が君にプレゼントをくれるって言ってたよ。まぁ、僕も内容までは知らなーい。どうでも良かったしね」
メフィストは、今はラディ達以外どうでもよかったため、主神には何も聞かなかった。
「で、どうする? あの子達を手助けしてくれるよね?」
勿論、縦に頷くしか魔王に与えられた選択しなどない
「……はぁー、わかりました。その話お受けします」
「よし! じゃ、宜しくね!僕はもう行くから」
「次は何処に行かれるんですか?」
「メリューク皇国の首都……いや、お城かな」
「……何をしに行く気ですか?」
魔王はメフィストが出会い頭に言っていた不吉なことが頭に過る。
「ちょっと宰相やりに行ってくるよ」
「は?」
「じゃ~ね~」
「えっ? まっ……て、もういない。……はあー、この国荒れそうだな………」
魔王は頭を抱え、何処か遠い目をしていた。
魔法を使っても良かったけど、それすら面倒で魔王の顔をひっぱたく。
「う! な、なん、え? は?」
「混乱してるみたいだけど、そろそろ冷静になったらどうなの?」
冷めた目で魔王を見下ろす。
「う、あぁやっぱり夢じゃないんですね……と言うことは、あなたに契約者ができたというのも」
「勿論事実だよ」
「………私をからかってませんか?」
「からかってないってば。もう! 信じてよ~」
「………(あなたほど信用できない者はいない)」
「口に出さなくても、その表情で何考えてるのか丸わかりだよ」
にこりと笑って圧をかける。魔王はそれだけで、気まずそうに目を逸らす。
「まあ、それが今日の本題ではないんだけどね」
「えっ!? これが本題ではないんですか。 あなたがこの世界の誰かと契約したなんて、この世界終わったなと思ってたんですが………それに、てっきり、契約者ができたことを自慢しに来たと思ったのですが」
「あはははは。この世界終わったって………ラディが望まない限り終わらせないし、本題は違うよ。まあ、関係はあるし、自慢もしに来たけどね」
「(自慢もしに来たのか……) では、本題は何です?」
「……僕の契約者、この国の皇太子だったんだけど、バカどものせいで一回殺されたんだよね」
「は?」
「蘇生は勿論したし、契約の対価も死後履行予定したから、彼はもう僕の眷属と同じようなものなんだよね」
「いろいろ情報が多いですが、理解しました。それにしても死後履行ですか……あなたにしては優しい対価ですね」
「それはラディだからね。特別だよ。以前から仮契約は結んでたし、体の一部も交換済み」
「あぁ、それで眼が……」
「そういうこと」
メフィストは嬉しそうに、さらりと右目の縁をなぞる。
「それほど大切にしていた者を殺されたと」
「そういうこと。本当に愚かだよね。虫が僕の大切な物に手を出そうとするなんて」
魔王もそれには激しく同意だ。この世界の魔神に任命されているメフィストの大切な物に手を出すのはどう考えてもバカとしか言いようがない。
「でね。僕の契約者、ラディって言うんだけどね。彼の願いはまあ、この国の奴等に復讐することなんだよね」
「………………それは……私も含まれるんでしょうか」
「ん? いや、入らないんじゃない? まぁ、入るんだったら残念と思ってね」
魔王の顔色がどんどんと悪くなる
「まあ、君の話はさておき、君へのお願いはラディが魔界からこっちに来た時、やって欲しいことがあるんだよね」
「………嫌な予感しかしないんですが」
「簡単に言うと、あの子達の手伝いをして欲しいんだ」
「………あの子達ですか?」
「たぶんこちらに来るのに、ラディは体が人間だからいいけど、もうひとりが悪魔だから誓約に抵触する可能性があるんだよね」
「……」
「だ、か、ら、君にはその子と契約を結んで欲しいんだよ」
「………あなたは私に死ねと仰るのですか?」
「? 死ね? いや~別にそんなこと思ってないししようともしてないよ」
「………ではなぜ、個人で悪魔と契約しろなんて言うんですか? 悪魔との契約は魂が対価でしょ?」
「あー、そういうことか。……ふ、ふ、ふ。なんと今回のことは主神が多少手を貸してくれることになったんだ! 良かったね魔王」
魔王は、少し眉を潜めた
「……あなた、私にまだ話していない情報があるでしょ?」
「………何でそう思ったのかな?」
「主神が認めるなんて、普通じゃ考えられませんし、この世界、『箱庭』はそんなに手を加えることを主神はよしとしていないはず」
「あは。わかっちゃったんだ。そうだね、確かにまだ話してない情報があったね」
「それはなんですか」
魔王は聞き逃さないように前のめりになる
「それはね、ふふ、僕の契約者、実は神のお気に入りなんだけど、盗っちゃった」
「は?」
「だから、お気に入り。神様の」
「神って……誰の」
「主神の」
魔王は、驚きのあまり
「はぁぁぁぁぁぁぁああ!? 何やってるんですか! すぐに返してください! いや、今すぐ契約破棄してください!」
まるで、拾ってきた動物を元の場所に返せと言うようにメフィストに促す。しかし、それに対してメフィストはにこにこ笑いながら告げる。
「無理」
「何故!?」
「だって、もう魂の一部を交換しちゃったから、不可能だよ」
「あ………」
魔王は視線をメフィストの右目に向ける
「あはははは、やっぱり何事も先手を打つに越したことないよね。まあ。今回の話は君にとっても悪いものじゃないはずだよ。今回の事に手を貸したら主神も良いことしてくれるんだって」
「良いこととは……なんです?」
「それは言えないな~ 僕も詳しく聞いてないし。でも、主神が君にプレゼントをくれるって言ってたよ。まぁ、僕も内容までは知らなーい。どうでも良かったしね」
メフィストは、今はラディ達以外どうでもよかったため、主神には何も聞かなかった。
「で、どうする? あの子達を手助けしてくれるよね?」
勿論、縦に頷くしか魔王に与えられた選択しなどない
「……はぁー、わかりました。その話お受けします」
「よし! じゃ、宜しくね!僕はもう行くから」
「次は何処に行かれるんですか?」
「メリューク皇国の首都……いや、お城かな」
「……何をしに行く気ですか?」
魔王はメフィストが出会い頭に言っていた不吉なことが頭に過る。
「ちょっと宰相やりに行ってくるよ」
「は?」
「じゃ~ね~」
「えっ? まっ……て、もういない。……はあー、この国荒れそうだな………」
魔王は頭を抱え、何処か遠い目をしていた。
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