君が僕を呼んだから

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2章 修行【魔界】

19話

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「フフフ。ごめんごめん。思ったより時間がかかっちゃった」

「はぁ~まあいいけど。で、あたしの修行を受けたいのは………貴方ね?」

目が合った。
その瞬間、背筋が凍った。

「ふーん、メフィストにしては良い相手を用意したじゃない」


 魔方陣から出てきたと思われる人?は俺のことを上から下まで見ると、舌舐めずりした。
その瞬間、先ほどの目が合った時とは比べ物にもならない位、鳥肌が立ちまくった。



「その言い方酷くないー? それに、今回は何度も言うけど相手って言ってもだからね? そこんところ絶対に間違えないでね」

「わかってるわよ」

俺とソフィアはその様子をポカンと見ていた。

そんな俺たちに気付いたメフィストはニコニコしながら

「フフフ。二人に紹介するよ。こいつはラディの修行相手のコカビエル。僕とは魔界の中では結構仲良い方だよ」


そう紹介されたコカビエルは確かにメフィストが忠告する位綺麗だった。血のような真っ赤な長い髪に、赤紫……マゼンタの瞳は不思議な輝きがあった

「あ! あと僕は純粋な悪魔だけど、こいつは堕天使だよ。今ラディはコカビエルの髪、血みたいって思ったでしょ?」

「あ、ああ」
ドキッと動揺したがそういえば、メフィストとは心が大体繋がってるんだった

「それ、みたいじゃなくてある種の血ね? しかも、天使の」

「「!?」」

「コカビエルが堕天した時って、天魔対戦があったんだよ。こいつ怖いよー、当時一応まだ仲間だった天使を虐殺。そして返り血浴びまくったまま堕天したらその血が本来生まれ持ったはずの純白の髪を染め上げちゃったんだよ。
 絶対その血、天使達の恨み籠ってるよねー。しかも目も本来だったら透明度の高い碧眼だったのに血と混じっちゃってマゼンタになってるじゃん」

メフィストは爆笑しながら言うが、俺とソフィアは顔から血の気が引いている。こういう行動からメフィストが純粋に悪魔なんだとよく理解できる。

「ちょっとメフィスト! その説明だとあたしがヤバイやつになるじゃない! 訂正しなさいよ」

「えー実際事実だし、君結構ヤバイやつでしょ?  君、一応性別があるとしたら男でしょ? 何で女言葉使ってるの?」

「それは、あたしにはこっちの方があってるからよ。あんたこそ、何でそんな可愛い子ぶってるのよ。あんた基本無表情じゃない」

「さぁ~、何のこと? 僕いつも通りにしてるだけだよ」


(………類は友を呼ぶとは言うが)

「「ラディ(ちゃん)」」

「!?」ビクッ
二人は息ぴったりに俺の名を呼ぶ。それも低い声で……メフィストは聞こえるかも知れないが、コカビエルまで俺の心を読めるのは何故だ

「あはは、ラディは結構顔に出るんだよ」
「そうね。ラディちゃんは修行にポーカーフェイスを鍛えるのも追加ね」 

一見、話は終わったようにもみえたが、そこからメフィストとコカビエルはどちらがヤバイやつか口論し始めた。

二人の口論がやんだところで、俺とソフィアはやっとコカビエルに挨拶したのだった。



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以前メフィストが連れてきたコカビエルの相手はどうなったのか、そして何の相手だったのか………それは読者の皆様のご想像にお任せします。
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