君が僕を呼んだから

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1章 死。【奈落】

6話

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斬首刑で処刑されたことは覚えていた。
しかし、なにか大切なことが抜け落ちているように感じていた

「なにか、もの凄く大切なことを忘れているような……」

ズキッ
「ッ!?」

ズキッズキッ
「なっ、なんだ、あ、たまがワレル、ようにい、たい」 


ズキズキッズキッ
「ぐ、ぐぁぁぁぁ!?」

痛みは一瞬だった!

しかし、その一瞬の間で俺は一番大切なことを思い出していた。


ハァッ!
「あいつらッ!くッ!!  許せないッ   !許せない!  許せないッ!!!!!!」
くそっ!
ゴンッ!

俺はその場に崩れ落ち拳を床にうちつけた


「俺もバカだッ!  なぜあいつらが、俺が死ぬ・・・・からといってソフィアに手をださない・・・・・・・・・・と考えたんだ!」


俺が思い出したこと

それは斬首刑に処されるために処刑台の上にあがったことでみえた、変わり果てた婚約者の姿だった。
ソフィアだったものは、絶望のなかで息絶えたであろうというのがありありとわかる表情をして、死して尚辱しめられていた。

まるで、処刑される瞬間でないと見えないようにされていたかのような配置。石を投げつけられている時は見えなかった……そう考え愚弟たちの方を見れば……ふたりは笑っていたのだ。




「アハハハハハハハハハツツ!!!!」


なんてバカだったんだ!
こんな、こんなもののために俺は今まで生きてきたのか!  国のため、民のためにと俺は今までの人生をかけてきた。


しかし、一番愛していたはずのもの達は守ることもできず、自らの手をすり抜け落ち、残ったのはなんてことはない愚民ども!!


愚弟の言葉ひとつに踊らされ、それを鵜呑みにする民衆も、城の現状を理解しながらも、己の利益しか考えない貴族たち!  イカれ女の言葉全てを盲目的に信じる愚かしい弟!   そして、恐らく全ての元凶であると考えられるイカれ女!!父上を暗殺し、俺をはめただけに飽きたらず、ソフィアにまで手を出すなんて!だが、俺は自身にも怒りが湧いていた。

守りたかった者も守れず、自分の力を過信し予測を甘く見ていたこと。全てに怒りが湧いた。


広場にいた者は急に笑いだした俺に可笑しなものを見る目を向ける



「てめぇら、許さねぇ!必ず復讐してやるっ!!  必ずだっ!死んでも許さねぇ!  呪ってでも殺してやるぞっ!!」
そう言い魔封じの手枷がされているにもかかわらず、魔力が漏れだした俺に焦ったのかカイセルは

「そいつを今すぐ処刑しろっ!」
と叫んだ

その直後、俺の視点は宙を舞い、ぐるぐると転がった。そして、自分の身体が見えた。  

この時、【君が僕を呼んだから……】と聞こえた気がしたがもう死ぬ俺には関係がないし、目を開けていることも出来ず俺は目を閉じた。





この時、誰も気付いていなかったがラディが最後に叫んだとき、ラディの紅い目に魔方陣が浮がっていた……








この時、契約は締結されたのだった
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