5 / 36
1章 死。【奈落】
5話
しおりを挟む
ソフィアのことが気になっていると、牢屋の入り口が騒がしくなってきた。
「なんだ?」
するとそこには俺を今朝散々斬りつけた愚弟とイカれ女がいた。ふたりは俺を見つけると、ニコニコしながらやって来た。
「なんのようだカイセル?指示に従ったんだ。ソフィアは無事なんだろうな!」
俺はそう言ってカイセルを睨む。マリアのことはもはや居ないものとして扱った。この女がいると基本的に話が進まなくなるからだ。
しかし、それがいけなかったようだ
「ラディ様は私のことが見えないのかしら?あ~あ、やっぱりあの女がいけないんだわっ!忌々しい!ソフィア・カリストロっ! あいつがいるから、ラディ様は私を見てくださらないんだわ! ラディ様、安心してください! あの公爵という身分をかさにきているあの女に脅されてるんですよねっ? 私があなたを解放してあげますからっ!」
……やはりこの女はイカれている。話が全く噛み合わない。しかもソフィアが身分をかさにきているだと? それはおまえのことだろうが!
この女がソフィアのことを貶す度に俺の心は荒ぶっていった。
しかし、今この女をこれ以上刺激すれば、ソフィアに危害がいくかもしれない。そんな考えが頭をよぎり、俺は唇を噛み締めて反抗することを耐えていた。しかし、やはりこのマリアという女はイカれていた。
「黙ってるってことは、やっぱりあの女が脅しているんですね! もう許せません! カイセル様、あの女を直ちに始末してください!」
なんとこの女は黙っていることを肯定したととらえ、ソフィアを始末しようとしはじめたのだ。
「……黙って聞いていれば、お前の頭はいったいどうなっているんだ? 治せるかはわからんが、一度宮廷の医者に見せてみてはどうだ?きっと、脳がほとんど詰まっていない代わりに綿でも詰まっているのだろうな」
ソフィアが始末されることを黙ってみている俺ではない。
とりあえず、ソフィアに向けている怒りを俺に向けさせればいい
そう考えマリアを挑発したはいいが、この女は面の皮が厚いうえにやはりイカれているようだ……
「なっ!?なんてことをおっしゃるの!私の慈悲がわからないなんて!! 皇帝を殺し、処刑される運命にあるあなたを助けようとしたのにっ!」
そう言って、カイセルの胸に顔を押し付け泣いたふりを始めた
「お前がこうなるように仕向けたんだろうがっ!」
「私、そんなことしてないわっ! ぐすんぐすん カイセルさまぁ、ラディ様が私を犯人に仕立てようとしていますぅ。 ぐすんぐすん」
「兄上、いや、もう兄上というのも腹立たしいっ! マリアを泣かせたなっ! 次期后妃を侮辱したこと、後悔させてやるっ! お前は皇帝を暗殺したこと、また、次期后妃を侮辱した! 以上の罪状からお前は処刑だっ!」
……愚弟よ、なぜ気付かない?やはりこいつは愚かだな……
もはや収拾もつかない現場に、俺は処刑だと言われたにも関わらず、まるで他人事のように、この国は今後大丈夫なのだろうかと考えていた。
その次の日
俺は民や貴族たちが集まっている広場で、愚弟により皇帝暗殺の犯人とされ、散々罵詈雑言を浴びせられ民達からは石を投げつけられ、あげく斬首刑と処され死んだ。
そのはずだったのだが、、、気づいたらなぜか奈落にいた。
「やはり意味がわからん!」
「なんだ?」
するとそこには俺を今朝散々斬りつけた愚弟とイカれ女がいた。ふたりは俺を見つけると、ニコニコしながらやって来た。
「なんのようだカイセル?指示に従ったんだ。ソフィアは無事なんだろうな!」
俺はそう言ってカイセルを睨む。マリアのことはもはや居ないものとして扱った。この女がいると基本的に話が進まなくなるからだ。
しかし、それがいけなかったようだ
「ラディ様は私のことが見えないのかしら?あ~あ、やっぱりあの女がいけないんだわっ!忌々しい!ソフィア・カリストロっ! あいつがいるから、ラディ様は私を見てくださらないんだわ! ラディ様、安心してください! あの公爵という身分をかさにきているあの女に脅されてるんですよねっ? 私があなたを解放してあげますからっ!」
……やはりこの女はイカれている。話が全く噛み合わない。しかもソフィアが身分をかさにきているだと? それはおまえのことだろうが!
この女がソフィアのことを貶す度に俺の心は荒ぶっていった。
しかし、今この女をこれ以上刺激すれば、ソフィアに危害がいくかもしれない。そんな考えが頭をよぎり、俺は唇を噛み締めて反抗することを耐えていた。しかし、やはりこのマリアという女はイカれていた。
「黙ってるってことは、やっぱりあの女が脅しているんですね! もう許せません! カイセル様、あの女を直ちに始末してください!」
なんとこの女は黙っていることを肯定したととらえ、ソフィアを始末しようとしはじめたのだ。
「……黙って聞いていれば、お前の頭はいったいどうなっているんだ? 治せるかはわからんが、一度宮廷の医者に見せてみてはどうだ?きっと、脳がほとんど詰まっていない代わりに綿でも詰まっているのだろうな」
ソフィアが始末されることを黙ってみている俺ではない。
とりあえず、ソフィアに向けている怒りを俺に向けさせればいい
そう考えマリアを挑発したはいいが、この女は面の皮が厚いうえにやはりイカれているようだ……
「なっ!?なんてことをおっしゃるの!私の慈悲がわからないなんて!! 皇帝を殺し、処刑される運命にあるあなたを助けようとしたのにっ!」
そう言って、カイセルの胸に顔を押し付け泣いたふりを始めた
「お前がこうなるように仕向けたんだろうがっ!」
「私、そんなことしてないわっ! ぐすんぐすん カイセルさまぁ、ラディ様が私を犯人に仕立てようとしていますぅ。 ぐすんぐすん」
「兄上、いや、もう兄上というのも腹立たしいっ! マリアを泣かせたなっ! 次期后妃を侮辱したこと、後悔させてやるっ! お前は皇帝を暗殺したこと、また、次期后妃を侮辱した! 以上の罪状からお前は処刑だっ!」
……愚弟よ、なぜ気付かない?やはりこいつは愚かだな……
もはや収拾もつかない現場に、俺は処刑だと言われたにも関わらず、まるで他人事のように、この国は今後大丈夫なのだろうかと考えていた。
その次の日
俺は民や貴族たちが集まっている広場で、愚弟により皇帝暗殺の犯人とされ、散々罵詈雑言を浴びせられ民達からは石を投げつけられ、あげく斬首刑と処され死んだ。
そのはずだったのだが、、、気づいたらなぜか奈落にいた。
「やはり意味がわからん!」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる