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1章 死。【奈落】
5話
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ソフィアのことが気になっていると、牢屋の入り口が騒がしくなってきた。
「なんだ?」
するとそこには俺を今朝散々斬りつけた愚弟とイカれ女がいた。ふたりは俺を見つけると、ニコニコしながらやって来た。
「なんのようだカイセル?指示に従ったんだ。ソフィアは無事なんだろうな!」
俺はそう言ってカイセルを睨む。マリアのことはもはや居ないものとして扱った。この女がいると基本的に話が進まなくなるからだ。
しかし、それがいけなかったようだ
「ラディ様は私のことが見えないのかしら?あ~あ、やっぱりあの女がいけないんだわっ!忌々しい!ソフィア・カリストロっ! あいつがいるから、ラディ様は私を見てくださらないんだわ! ラディ様、安心してください! あの公爵という身分をかさにきているあの女に脅されてるんですよねっ? 私があなたを解放してあげますからっ!」
……やはりこの女はイカれている。話が全く噛み合わない。しかもソフィアが身分をかさにきているだと? それはおまえのことだろうが!
この女がソフィアのことを貶す度に俺の心は荒ぶっていった。
しかし、今この女をこれ以上刺激すれば、ソフィアに危害がいくかもしれない。そんな考えが頭をよぎり、俺は唇を噛み締めて反抗することを耐えていた。しかし、やはりこのマリアという女はイカれていた。
「黙ってるってことは、やっぱりあの女が脅しているんですね! もう許せません! カイセル様、あの女を直ちに始末してください!」
なんとこの女は黙っていることを肯定したととらえ、ソフィアを始末しようとしはじめたのだ。
「……黙って聞いていれば、お前の頭はいったいどうなっているんだ? 治せるかはわからんが、一度宮廷の医者に見せてみてはどうだ?きっと、脳がほとんど詰まっていない代わりに綿でも詰まっているのだろうな」
ソフィアが始末されることを黙ってみている俺ではない。
とりあえず、ソフィアに向けている怒りを俺に向けさせればいい
そう考えマリアを挑発したはいいが、この女は面の皮が厚いうえにやはりイカれているようだ……
「なっ!?なんてことをおっしゃるの!私の慈悲がわからないなんて!! 皇帝を殺し、処刑される運命にあるあなたを助けようとしたのにっ!」
そう言って、カイセルの胸に顔を押し付け泣いたふりを始めた
「お前がこうなるように仕向けたんだろうがっ!」
「私、そんなことしてないわっ! ぐすんぐすん カイセルさまぁ、ラディ様が私を犯人に仕立てようとしていますぅ。 ぐすんぐすん」
「兄上、いや、もう兄上というのも腹立たしいっ! マリアを泣かせたなっ! 次期后妃を侮辱したこと、後悔させてやるっ! お前は皇帝を暗殺したこと、また、次期后妃を侮辱した! 以上の罪状からお前は処刑だっ!」
……愚弟よ、なぜ気付かない?やはりこいつは愚かだな……
もはや収拾もつかない現場に、俺は処刑だと言われたにも関わらず、まるで他人事のように、この国は今後大丈夫なのだろうかと考えていた。
その次の日
俺は民や貴族たちが集まっている広場で、愚弟により皇帝暗殺の犯人とされ、散々罵詈雑言を浴びせられ民達からは石を投げつけられ、あげく斬首刑と処され死んだ。
そのはずだったのだが、、、気づいたらなぜか奈落にいた。
「やはり意味がわからん!」
「なんだ?」
するとそこには俺を今朝散々斬りつけた愚弟とイカれ女がいた。ふたりは俺を見つけると、ニコニコしながらやって来た。
「なんのようだカイセル?指示に従ったんだ。ソフィアは無事なんだろうな!」
俺はそう言ってカイセルを睨む。マリアのことはもはや居ないものとして扱った。この女がいると基本的に話が進まなくなるからだ。
しかし、それがいけなかったようだ
「ラディ様は私のことが見えないのかしら?あ~あ、やっぱりあの女がいけないんだわっ!忌々しい!ソフィア・カリストロっ! あいつがいるから、ラディ様は私を見てくださらないんだわ! ラディ様、安心してください! あの公爵という身分をかさにきているあの女に脅されてるんですよねっ? 私があなたを解放してあげますからっ!」
……やはりこの女はイカれている。話が全く噛み合わない。しかもソフィアが身分をかさにきているだと? それはおまえのことだろうが!
この女がソフィアのことを貶す度に俺の心は荒ぶっていった。
しかし、今この女をこれ以上刺激すれば、ソフィアに危害がいくかもしれない。そんな考えが頭をよぎり、俺は唇を噛み締めて反抗することを耐えていた。しかし、やはりこのマリアという女はイカれていた。
「黙ってるってことは、やっぱりあの女が脅しているんですね! もう許せません! カイセル様、あの女を直ちに始末してください!」
なんとこの女は黙っていることを肯定したととらえ、ソフィアを始末しようとしはじめたのだ。
「……黙って聞いていれば、お前の頭はいったいどうなっているんだ? 治せるかはわからんが、一度宮廷の医者に見せてみてはどうだ?きっと、脳がほとんど詰まっていない代わりに綿でも詰まっているのだろうな」
ソフィアが始末されることを黙ってみている俺ではない。
とりあえず、ソフィアに向けている怒りを俺に向けさせればいい
そう考えマリアを挑発したはいいが、この女は面の皮が厚いうえにやはりイカれているようだ……
「なっ!?なんてことをおっしゃるの!私の慈悲がわからないなんて!! 皇帝を殺し、処刑される運命にあるあなたを助けようとしたのにっ!」
そう言って、カイセルの胸に顔を押し付け泣いたふりを始めた
「お前がこうなるように仕向けたんだろうがっ!」
「私、そんなことしてないわっ! ぐすんぐすん カイセルさまぁ、ラディ様が私を犯人に仕立てようとしていますぅ。 ぐすんぐすん」
「兄上、いや、もう兄上というのも腹立たしいっ! マリアを泣かせたなっ! 次期后妃を侮辱したこと、後悔させてやるっ! お前は皇帝を暗殺したこと、また、次期后妃を侮辱した! 以上の罪状からお前は処刑だっ!」
……愚弟よ、なぜ気付かない?やはりこいつは愚かだな……
もはや収拾もつかない現場に、俺は処刑だと言われたにも関わらず、まるで他人事のように、この国は今後大丈夫なのだろうかと考えていた。
その次の日
俺は民や貴族たちが集まっている広場で、愚弟により皇帝暗殺の犯人とされ、散々罵詈雑言を浴びせられ民達からは石を投げつけられ、あげく斬首刑と処され死んだ。
そのはずだったのだが、、、気づいたらなぜか奈落にいた。
「やはり意味がわからん!」
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