君が僕を呼んだから

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1章 死。【奈落】

4話

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俺は地下の牢屋に入れられた。その際に、魔法が使えないようにと魔封じの手枷をされた。


捕縛後、散々愚弟によって斬りつけられた体は血がにじみ、服は赤く染まっていた。そして手当てもなにもされないまま、俺は牢屋へと入れられた。
しかし、俺は他人と比べると回復能力が高かったため今朝斬られた傷もほとんどが塞がりがかっていた。

「これが幸運かはわからんがな」

1人暗い牢屋で呟いた。この能力があることで助かっていることが多いのは事実だが、同時に恐れられる原因にもなっていた。



この世界には、人間以外にもさまざまな種族がいる。大きく分けると獣人、精霊、天人、魔人。人種としてはこれに人間を入れた5つだ。

人間は繁殖力が高く他の種族よりも数は多かった。
しかし、人間は個人の力で見るとどの種族よりも弱い。魔力は基本的には獣人よりは多かったが、それ以外の種族には圧倒的に劣っていた。また、力はどの種族よりも弱く、寿命も短かった。


そんな人間の中で魔力が他種族よりも多く、力も人間では考えられないくらい強かった俺は、異質なものとして恐れられていた。

俺のように力が強く魔力も高い種族は魔人ぐらいだったのだが、その魔人という種族は酷く好戦的であったため、年中戦争をしていた。基本的には、国内で戦争していたが、時々他の国に強者がいると聞くと喧嘩をふっかけ戦争をしていた。


俺の印象が魔人と被ったせいで、さらに恐れられた。

俺は普通に人間である両親から産まれているので、魔人のはずがないのだが、無駄に整った容姿となぜか片目が紅いことがさらに俺が魔人の血が混じっていると思われる原因となった。


父上は銀髪碧眼、母上は金髪碧眼。


そのため、紅い目が産まれることはあり得ないと噂された。そんな噂など気にしなくても良いといってくれた母である皇后も、弟が産まれたと同時に亡くなっていた。

しかし、俺は幼い頃一度だけ父上から聞いたことがあった。

「お前はもともと両目とも碧眼であったのだがな…あの森から帰って来たと報告を受けたときには変化していた…何があったのか、聞いたが何もお前は覚えていなかったのだ。」


こう言われたことを覚えていたため、俺は母上が思うほど気にしていなかった。ただ、どうして紅くなったのかは気になったが、当時のことを俺は覚えていなかったし、探る術も他になかったため諦めた。






そんな過去のことを考えていた。



今の俺では出来ることが他にはなにもないのだ。
「ソフィアは無事だろうか」


カイセルとイカれ女に対する怒りや、自身の怪我等について考えを落ち着けたことで、最後に目にしたソフィアのことが気になっていた。




???「フフフ、僕の登場まであと少しかな?」
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