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1章 死。【奈落】
2話
しおりを挟む気が付いた後、俺はひたすら歩き続けた。
「まさか、、、ここは奈落、か?」
俺はひとつの結論を導き出した。
それは、この暗い空間はお伽噺として語られている奈落という、地獄でも天国でもない死後の世界だというものだ。
俺は体感としてここに1ヶ月はここにいる。その間はずっと飲まず食わずだったが、飢餓を感じることもなく、生きていた。普通であれば、空腹を感じるだろうし、死んでいることだって考えられる。そして導き出した答えが、奈落だ。
「はぁ~」
俺はここに来て何度目かわからないため息をついた。
そして、怒りが沸き上がった。
「なんで俺が奈落になんて落ちなきゃ行けないんだよ!?」
「どうして!何で俺が!冤罪でこんなとこに落とされなきゃならないんだよ!」
「俺は、カイセルの婚約破棄はおかしいと訴えただけなのに…」
俺は元々メリューク皇国の皇太子だった。
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