でき損ないの僕ら

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幼馴染みと再会

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「もしかして、隼人はやと?」

「お前は……秀一しゅういちか?」

俺たちが再会したのは、最悪なタイミングだった。



ちょうど公園で喧嘩売ってきた三人組をボコっていたところだった。

しかも、ちょうど今、胸倉を掴んで何発か顔面に入れ相手が気絶。そして返り血が付着しているという修羅場……


(まじか、このタイミングで会うのかよ)

俺は顔についていた返り血を拭いながら秀一に聞く

「あー、何でここきたんだ。結構騒いでたから喧嘩してんのはわかってただろ」

「えっと……隼人の姿が見えて、もしかしてと思ったら……」

「はぁ、今度からは近寄んなよ。俺じゃなかったらどうすんだよ」

「うん……そうだねごめん」

「……」

「……久しぶりだね。学校じゃほとんど会わないし」

「そりゃ、お前の特進科と俺の普通科じゃ棟が離れてるしな。……それに、最近は学校さぼってっし」


「そうなんだ……隼人はもう塾には行かないの?」

「行かねぇよ。意味ねえだろ、特進からは外れたし……」




俺が塾に通ってたのは両親が行かせたかったから。


 元々、俺は野球やサッカーをしたかった。普通の子供みたいに自分のやりたいことをしてみたかった。友達と遊びたかった。
 だが、両親は俺の交友関係にも口出しをした。そんな中、唯一両親が交友を許可したのが秀一だった。恐らく、秀一も同じような状態だったからだろう。俺と秀一は互いに唯一の友達だった。互いに親の言いなりみたいに生きていた……



そんな俺と秀一の生き方を全く別のものにしたのは高校の受験だった。




 俺は元々あまり物覚えが良い方ではなかった。時間をかけてようやく上位の成績に食い込めるというのが俺の限界だ。そんな状態で、高校の特進科を受験。

 俺は…………高校受験に失敗した。

 高校には受かりはしたが、併願していた普通科に受かった。そんな俺を両親は罵った。
 そして、更なる教育を施そうと俺をさらに管理しようとした。

 そんな両親を見て、俺はグレた。もう限界だった。両親の言うことを今までは何とか聞いてやってきたが、その結果がこれだと思ったらもうどうでもよくなった。
 高校に入る時には金髪にし、ザ不良といった装いをした。そこからそんな俺に喧嘩を売ってくる不良を倒していった。体格に恵まれていたため、初めての喧嘩でも怪我は多少したが負けはしなかった。


 結果、高校生活は喧嘩が中心となってしまった。



 最初は、戸惑っていたはずの喧嘩という行為も今は何かを発散するかのようにやっていた。相手がボロボロになるにつれて俺の心は何かが満たされた気がした。


 今日もあと少しで何かが満たされたように感じる事ができる、といった所で秀一に声をかけられた。

 秀一とは高校受験失敗から距離を置いた。

 今までの親の言いなりだった自分と決別したかったからだ。
 秀一が特進科に合格したことは受験番号を見て知っていたし、俺とは今後関わらない方がいいと思った。

 距離を置き始めた頃は秀一から連絡が来ていたが、俺は無視をした。そして、次第に連絡はなくなっていた。



それなのに、どうしてそんな悲しそうにするんだよ!

一方的に距離を置いてきた相手である俺と同じ空間にいなくて済むというのになぜ悲しそうにするのだろうか……


そんな秀一の顔を見ていると、1人から抜け出したことの罪悪感が俺を襲う
(もうこいつとは生きる世界が違う……俺と話さない方がこいつのためだ)

 そして、もう話しかけるなと言おうとした時、秀一は何かを決意した表情で俺に提案してきた。


「ねぇ、隼人……もしよければまた話さない?」




俺たちはそれから家の近くの公園で会うようになった。
俺は断ることもできたが、秀一の縋るような眼が気になり気付けば首を縦に振っていた。



「! じゃ、じゃあ、今度は来週の火曜日にここで話そう!」


(ちっ、……そんなに喜ぶんじゃねぇよ)

「ああ」




公園で会うにつれ、次第に関係は以前ほどとは言えないものの良好になっていった。



 あの日公園で出会ってからちょうど半年経った日のことだ。

 今日は珍しいことに俺が先に来て、秀一は普段よりも遅く公園にやってきた。

そして、いつもより暗い顔をした秀一が俺にこんなことを聞いてきた。
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