2 / 6
何で僕らは生きてるのかな
しおりを挟む
「ねぇ、隼人何で僕らは今生きてるのかな」
「………いきなりどうした?」
「……あ。いや……ごめん。何でもないよ」
秀一は笑ってごまかそうとしたが
「…またおばさんに何か言われたのか」
「……」
「はぁ、なあ秀一。俺ら人間はなにもかも完璧じゃなければ生きていけない訳じゃない」
「……」
「実際、俺はこんなんだけど普通に生きてる。……俺はお前が生きていてくれるだけで嬉しい」
「……ふふ。ありがとう」
(そんな風に笑うなよ……)
「なぁ、秀一。いっそのこと家出しないか?」
「……それ、は…………できないよ」
「……俺はお前がこのまま潰れそうで心配なんだよ」
「……ありがとう隼人。でも大丈夫だよ!今回は僕が悪いんだ。僕がもっと頑張れば母さんも心配しなくてすむ。それに僕には隼人がいるから……大丈夫」
「……」
そう言い、こちらに笑顔を向ける秀一に、俺は「そうか」としか返せなかった。
この時の大丈夫は、まるで自分に言い聞かせているようだったが、俺はそれには触れなかった。
しかし、この時何としても説得するべきだったと後悔することになる。
この日から2日後、俺は喧嘩中に頭を鉄パイプで殴られ意識を失い、病院に搬送された。
「くそ、良いところで……おい!サツ来たから行くぞ!」
殴った男は急いで仲間を起こし担ぐとその場を去った。
ギリギリ保っていた俺の意識も薄れ、最後に思たのは明日は秀一と会う日だったなということだった。
幸いなことに、意識を失ってすぐに警察官が来たことで、それ以上ボコられることもなく、警察官が呼んだ救急車で病院に緊急搬送された。
誰かが事前に通報していたことに初めて感謝した。
病院に搬送された一週間後、俺は目を覚ました。そして、この時ばかりは両親が来た。
両親は、俺が目を覚ましたのを見るとほっとしていた。
「隼人! よかったわ目を覚まして、今お医者さんが来るわよ」
……なんだかんだいろいろと言ってはいるが、よかったとは言っても大丈夫か?とは聞いてくれない。
(ふっ、まぁ言われたところでだけどな)
この人たちの「よかった」は、自分達の息子が喧嘩中に死ぬというので世間体が悪くなることを気にして出たんだろう……
エゴだな。
どうせこいつらは今でも俺を人形か何かだと思ってんだろ。
医者の診察も終わり、あと数日様子見をしたら退院だと言われた。
そして、久しぶりに両親と話をした。といっても、一方的に両親が話しているだけだったが。
「隼人聞いてるの、こっちを向きなさい!」
「早紀さん。もう少し声を抑えて」
「 あ、ごめんなさい隼也さん。はぁ~…………あ、そういえば、あなたはまだ聞いてないでしょ? 」
「……」
(早く終わってくれ)
「隣の家に同い年の子いたでしょ」
そう言われたとき、ドキッとした。何故このタイミングで言われるのかわからなかった。そして、この時やっと顔を上げ母親の顔を見て、嫌な汗が出た。
「あの子、自殺未遂起こして救急搬送されたのよ」
母はその後も何か言っているようだったが、俺の意識は秀一が自殺未遂を起こしたことについてしか考えられなくなっていた。
そして、その言葉の意味を理解できなかった。
「………いきなりどうした?」
「……あ。いや……ごめん。何でもないよ」
秀一は笑ってごまかそうとしたが
「…またおばさんに何か言われたのか」
「……」
「はぁ、なあ秀一。俺ら人間はなにもかも完璧じゃなければ生きていけない訳じゃない」
「……」
「実際、俺はこんなんだけど普通に生きてる。……俺はお前が生きていてくれるだけで嬉しい」
「……ふふ。ありがとう」
(そんな風に笑うなよ……)
「なぁ、秀一。いっそのこと家出しないか?」
「……それ、は…………できないよ」
「……俺はお前がこのまま潰れそうで心配なんだよ」
「……ありがとう隼人。でも大丈夫だよ!今回は僕が悪いんだ。僕がもっと頑張れば母さんも心配しなくてすむ。それに僕には隼人がいるから……大丈夫」
「……」
そう言い、こちらに笑顔を向ける秀一に、俺は「そうか」としか返せなかった。
この時の大丈夫は、まるで自分に言い聞かせているようだったが、俺はそれには触れなかった。
しかし、この時何としても説得するべきだったと後悔することになる。
この日から2日後、俺は喧嘩中に頭を鉄パイプで殴られ意識を失い、病院に搬送された。
「くそ、良いところで……おい!サツ来たから行くぞ!」
殴った男は急いで仲間を起こし担ぐとその場を去った。
ギリギリ保っていた俺の意識も薄れ、最後に思たのは明日は秀一と会う日だったなということだった。
幸いなことに、意識を失ってすぐに警察官が来たことで、それ以上ボコられることもなく、警察官が呼んだ救急車で病院に緊急搬送された。
誰かが事前に通報していたことに初めて感謝した。
病院に搬送された一週間後、俺は目を覚ました。そして、この時ばかりは両親が来た。
両親は、俺が目を覚ましたのを見るとほっとしていた。
「隼人! よかったわ目を覚まして、今お医者さんが来るわよ」
……なんだかんだいろいろと言ってはいるが、よかったとは言っても大丈夫か?とは聞いてくれない。
(ふっ、まぁ言われたところでだけどな)
この人たちの「よかった」は、自分達の息子が喧嘩中に死ぬというので世間体が悪くなることを気にして出たんだろう……
エゴだな。
どうせこいつらは今でも俺を人形か何かだと思ってんだろ。
医者の診察も終わり、あと数日様子見をしたら退院だと言われた。
そして、久しぶりに両親と話をした。といっても、一方的に両親が話しているだけだったが。
「隼人聞いてるの、こっちを向きなさい!」
「早紀さん。もう少し声を抑えて」
「 あ、ごめんなさい隼也さん。はぁ~…………あ、そういえば、あなたはまだ聞いてないでしょ? 」
「……」
(早く終わってくれ)
「隣の家に同い年の子いたでしょ」
そう言われたとき、ドキッとした。何故このタイミングで言われるのかわからなかった。そして、この時やっと顔を上げ母親の顔を見て、嫌な汗が出た。
「あの子、自殺未遂起こして救急搬送されたのよ」
母はその後も何か言っているようだったが、俺の意識は秀一が自殺未遂を起こしたことについてしか考えられなくなっていた。
そして、その言葉の意味を理解できなかった。
10
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
[BL]デキソコナイ
明日葉 ゆゐ
BL
特別進学クラスの優等生の喫煙現場に遭遇してしまった校内一の問題児。見ていない振りをして立ち去ろうとするが、なぜか優等生に怪我を負わされ、手当てのために家に連れて行かれることに。決して交わることのなかった2人の不思議な関係が始まる。(別サイトに投稿していた作品になります)
たまにはゆっくり、歩きませんか?
隠岐 旅雨
BL
大手IT企業でシステムエンジニアとして働く榊(さかき)は、一時的に都内本社から埼玉県にある支社のプロジェクトへの応援増員として参加することになった。その最初の通勤の電車の中で、つり革につかまって半分眠った状態のままの男子高校生が倒れ込んでくるのを何とか支え抱きとめる。
よく見ると高校生は自分の出身高校の後輩であることがわかり、また翌日の同時刻にもたまたま同じ電車で遭遇したことから、日々の通勤通学をともにすることになる。
世間話をともにするくらいの仲ではあったが、徐々に互いの距離は縮まっていき、週末には映画を観に行く約束をする。が……

理香は俺のカノジョじゃねえ
中屋沙鳥
BL
篠原亮は料理が得意な高校3年生。受験生なのに卒業後に兄の周と結婚する予定の遠山理香に料理を教えてやらなければならなくなった。弁当を作ってやったり一緒に帰ったり…理香が18歳になるまではなぜか兄のカノジョだということはみんなに内緒にしなければならない。そのため友だちでイケメンの櫻井和樹やチャラ男の大宮司から亮が理香と付き合ってるんじゃないかと疑われてしまうことに。そうこうしているうちに和樹の様子がおかしくなって?口の悪い高校生男子の学生ライフ/男女CPあります。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

視線の先
茉莉花 香乃
BL
放課後、僕はあいつに声をかけられた。
「セーラー服着た写真撮らせて?」
……からかわれてるんだ…そう思ったけど…あいつは本気だった
ハッピーエンド
他サイトにも公開しています


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる