でき損ないの僕ら

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何で僕らは生きてるのかな

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「ねぇ、隼人はやと何で僕らは今生きてるのかな」

「………いきなりどうした?」
「……あ。いや……ごめん。何でもないよ」

秀一は笑ってごまかそうとしたが

「…またおばさんに何か言われたのか」
「……」
「はぁ、なあ秀一しゅういち。俺ら人間はなにもかも完璧じゃなければ生きていけない訳じゃない」
「……」
「実際、俺はこんなんだけど普通に生きてる。……俺はお前が生きていてくれるだけで嬉しい」

「……ふふ。ありがとう」

(そんな風に笑うなよ……)
「なぁ、秀一。いっそのこと家出しないか?」

「……それ、は…………できないよ」

「……俺はお前がこのまま潰れそうで心配なんだよ」

「……ありがとう隼人。でも大丈夫だよ!今回は僕が悪いんだ。僕がもっと頑張れば母さんも心配しなくてすむ。それに僕には隼人がいるから……大丈夫」

「……」


そう言い、こちらに笑顔を向ける秀一に、俺は「そうか」としか返せなかった。
この時の大丈夫は、まるで自分に言い聞かせているようだったが、俺はそれには触れなかった。

しかし、この時何としても説得するべきだったと後悔することになる。




この日から2日後、俺は喧嘩中に頭を鉄パイプで殴られ意識を失い、病院に搬送された。




「くそ、良いところで……おい!サツ来たから行くぞ!」

殴った男は急いで仲間を起こし担ぐとその場を去った。
ギリギリ保っていた俺の意識も薄れ、最後に思たのは明日は秀一と会う日だったなということだった。

幸いなことに、意識を失ってすぐに警察官が来たことで、それ以上ボコられることもなく、警察官が呼んだ救急車で病院に緊急搬送された。

誰かが事前に通報していたことに初めて感謝した。



病院に搬送された一週間後、俺は目を覚ました。そして、この時ばかりは両親が来た。

両親は、俺が目を覚ましたのを見るとほっとしていた。

「隼人! よかったわ目を覚まして、今お医者さんが来るわよ」


……なんだかんだいろいろと言ってはいるが、よかったとは言っても大丈夫か?とは聞いてくれない。

(ふっ、まぁ言われたところでだけどな)

この人たちの「よかった」は、自分達の息子が喧嘩中に死ぬというので世間体が悪くなることを気にして出たんだろう……

エゴだな。
どうせこいつらは今でも俺を人形か何かだと思ってんだろ。


医者の診察も終わり、あと数日様子見をしたら退院だと言われた。
そして、久しぶりに両親と話をした。といっても、一方的に両親が話しているだけだったが。

「隼人聞いてるの、こっちを向きなさい!」
早紀さきさん。もう少し声を抑えて」
「 あ、ごめんなさい隼也としやさん。はぁ~…………あ、そういえば、あなたはまだ聞いてないでしょ? 」

「……」
(早く終わってくれ)

「隣の家に同い年の子いたでしょ」

そう言われたとき、ドキッとした。何故このタイミングで言われるのかわからなかった。そして、この時やっと顔を上げ母親の顔を見て、嫌な汗が出た。

「あの子、自殺未遂起こして救急搬送されたのよ」

母はその後も何か言っているようだったが、俺の意識は秀一が自殺未遂を起こしたことについてしか考えられなくなっていた。
そして、その言葉の意味を理解できなかった。
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