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第1章 碧斗、小学1年生。あさひ、高校2年生。
8.
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まずは作戦会議だ、やっぱグラグドエルのいっぱい出て来る回のアニメを見せるのが…
ん?
角を曲がろうと思ったけど、思わず隠れてしまった。
見たことある後ろ姿があったから。
あれはあさひだ!!!
もう一度そろーっと角から顔を出してのぞいてみた。
わかる、あれは絶対あさひだ。
後ろ姿だけど、あの髪色髪質、制服だってスカートの長さだって靴だってあさひだ。おれが間違えるわけない。
でも隠れてしまった理由は…
「………?」
その目の前に知らない男と知らない女がいたから。
女が男の腕を組んで、ぴったりくっついて、なのににらむようにあさひを見てる。
人生経験少ないおれだってわかる、これは絶対しゅらばな予感しかしない!
この緊張感、ヒロがグラグドエルとそうぐうした時に似てる!
…お、落ち着くんだおれ!
急な現場突入はよくない!状況判断だ!
ヒロだってむやみに突っ込んだりはしないもんな!!
深呼吸だ、深呼吸するんだ!!
だけど、…あさひは今どんな顔してるんだろう?
後ろ姿からあさひの顔はわからない。
「もうあさひとは別れるつもりだったんだけど、あさひが嫌って言うから」
男が話し出した。それに対して、くっついた女が「ほらね!」って合いの手のように付け足している。
「……っ」
その瞬間理解した。
これだけで十分だった、状況把握をするのに必要な情報は全部含まれてた。なんならもうこれ以上聞きたくない。
「俺的にはもう別れたも当然だったし。これであさひも諦めついたろ?」
あさひを悲しませる言葉なんか聞きたくない…!!!
もう考えてる場合じゃなかった。
グッと右足を踏み込んで勢いよく飛び出した。
あさひの前に、両手を広げ守るようにして。
キッと見上げて男の方を見た。
「なんっだよ、チビッ子」
おれの身長からはもちろん到底叶わない相手、男もそれをわかっている。
「見てんじゃねーよ!」
ドンッと鈍い音がした。
それと同時、焦ったあさひの呼ぶ声も聞こえた。
「碧斗!!!」
男におもっきり肩を蹴り飛ばされてそのまま後ろに倒れ込んだから。
でも全然平気だ、なぜならこのしっこくのランドセルがクッションになっておれは無傷だから!すごいんだぞ、ランドセルは!小学生なめんなよ!!
言っとくけど、おれはめちゃくちゃ怒ってるからな?
「お前サイテーだな」
「はぁ?」
パタパタと体をはたきながらを立ち上がる。
「碧斗大丈夫??」
あさひが心配そうに近寄って来た。
大丈夫だからと、手をにぎる。こんなこと大したことじゃないし、こんなことでやられるようなおれじゃない。
だってそんなんじゃあ、大事なあさひのこと守れないから!
「好きな子泣かすなんてサイテーだ!」
「は?好きな子って誰?あさひのこと?じゃあ違うな、もう好きじゃないから」
あさひを泣かすやつは許さない。
おれの好きな子を泣かすやつなんて絶対に許さない!
おれは絶対に好きな子を泣かさない!
でもあさひは絶対におれの前では泣かないんだ!!
すぅーっと大きく息を吸った。
背負っていたランドセルを下ろして、両手でぎゅっと肩ひもを掴んだ。精いっぱいぐーっと後ろにやって助走をつける。
「必殺…!ランドセルどーーーーーーんっ!!!!」
全力を込めてしっこくのランドセルをこれ以上ない力で投げつけた。
ランドセルってやつは小学生が6年間持つんだ、それはそれはかなり丈夫に作られていることもあって角ばったフォルムは当たり所によっては致命傷なほど強いんだ。普通に痛い。
顔は高さ的に無理だけど、急所はおれからだと狙いやすいからな!!
「いってッ」
ナイス命中率!さすがしっこくのランドセル!!
「行くよ、あさひ!」
すぐに投げ飛ばしたランドセルを回収してあさひの手を引いて走った。そのまま一気に、全速力で。
「おい!ちょっと待てよ!」
男はその場に倒れ込んだまま動けずにこっちを見てるだけで、くっついてた女は気付いたら離れていて呆れた目で見ていた。
引いてたな、あれは引くよな。なんてカッコ悪い。
ん?
角を曲がろうと思ったけど、思わず隠れてしまった。
見たことある後ろ姿があったから。
あれはあさひだ!!!
もう一度そろーっと角から顔を出してのぞいてみた。
わかる、あれは絶対あさひだ。
後ろ姿だけど、あの髪色髪質、制服だってスカートの長さだって靴だってあさひだ。おれが間違えるわけない。
でも隠れてしまった理由は…
「………?」
その目の前に知らない男と知らない女がいたから。
女が男の腕を組んで、ぴったりくっついて、なのににらむようにあさひを見てる。
人生経験少ないおれだってわかる、これは絶対しゅらばな予感しかしない!
この緊張感、ヒロがグラグドエルとそうぐうした時に似てる!
…お、落ち着くんだおれ!
急な現場突入はよくない!状況判断だ!
ヒロだってむやみに突っ込んだりはしないもんな!!
深呼吸だ、深呼吸するんだ!!
だけど、…あさひは今どんな顔してるんだろう?
後ろ姿からあさひの顔はわからない。
「もうあさひとは別れるつもりだったんだけど、あさひが嫌って言うから」
男が話し出した。それに対して、くっついた女が「ほらね!」って合いの手のように付け足している。
「……っ」
その瞬間理解した。
これだけで十分だった、状況把握をするのに必要な情報は全部含まれてた。なんならもうこれ以上聞きたくない。
「俺的にはもう別れたも当然だったし。これであさひも諦めついたろ?」
あさひを悲しませる言葉なんか聞きたくない…!!!
もう考えてる場合じゃなかった。
グッと右足を踏み込んで勢いよく飛び出した。
あさひの前に、両手を広げ守るようにして。
キッと見上げて男の方を見た。
「なんっだよ、チビッ子」
おれの身長からはもちろん到底叶わない相手、男もそれをわかっている。
「見てんじゃねーよ!」
ドンッと鈍い音がした。
それと同時、焦ったあさひの呼ぶ声も聞こえた。
「碧斗!!!」
男におもっきり肩を蹴り飛ばされてそのまま後ろに倒れ込んだから。
でも全然平気だ、なぜならこのしっこくのランドセルがクッションになっておれは無傷だから!すごいんだぞ、ランドセルは!小学生なめんなよ!!
言っとくけど、おれはめちゃくちゃ怒ってるからな?
「お前サイテーだな」
「はぁ?」
パタパタと体をはたきながらを立ち上がる。
「碧斗大丈夫??」
あさひが心配そうに近寄って来た。
大丈夫だからと、手をにぎる。こんなこと大したことじゃないし、こんなことでやられるようなおれじゃない。
だってそんなんじゃあ、大事なあさひのこと守れないから!
「好きな子泣かすなんてサイテーだ!」
「は?好きな子って誰?あさひのこと?じゃあ違うな、もう好きじゃないから」
あさひを泣かすやつは許さない。
おれの好きな子を泣かすやつなんて絶対に許さない!
おれは絶対に好きな子を泣かさない!
でもあさひは絶対におれの前では泣かないんだ!!
すぅーっと大きく息を吸った。
背負っていたランドセルを下ろして、両手でぎゅっと肩ひもを掴んだ。精いっぱいぐーっと後ろにやって助走をつける。
「必殺…!ランドセルどーーーーーーんっ!!!!」
全力を込めてしっこくのランドセルをこれ以上ない力で投げつけた。
ランドセルってやつは小学生が6年間持つんだ、それはそれはかなり丈夫に作られていることもあって角ばったフォルムは当たり所によっては致命傷なほど強いんだ。普通に痛い。
顔は高さ的に無理だけど、急所はおれからだと狙いやすいからな!!
「いってッ」
ナイス命中率!さすがしっこくのランドセル!!
「行くよ、あさひ!」
すぐに投げ飛ばしたランドセルを回収してあさひの手を引いて走った。そのまま一気に、全速力で。
「おい!ちょっと待てよ!」
男はその場に倒れ込んだまま動けずにこっちを見てるだけで、くっついてた女は気付いたら離れていて呆れた目で見ていた。
引いてたな、あれは引くよな。なんてカッコ悪い。
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