甘い香りがする君は誰より甘くて、少し苦い。

めぇ

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Sweet2.天井くんは初めての男の子

4.)

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「じゃあみなさん、今からドリームパークランドへ向かいます。バスで1時間かかりますからね、気分が悪くなった人は言ってくださーい!」

柿本先生がバスの一番前で叫んでる、大型バスは後ろの席まではそれくらい声を張らないと聞こえないから。

今日はいよいよ遠足の日、天気もいいし夏服になったし気分が変わる。

みんなにしおりも配られたしドリームパークランド楽しみだなぁ。

ちなみにドリームパークランドはこの辺じゃ有名な遊園地で、誰もが1回は行ったことあると思うそんな遊園地なの。

「小桃ごめん、私酔うから寝るわ」

「いいよいいよ、寝てて!大丈夫?もう酔ってる?」

「ううん、まだいいけど酔う前に寝たいから。せっかくバスは隣なのにごめん」

「遊園地楽しむ方が大事だからいいよ!」

バスの席はくじじゃなくて好きな子同士だった、絶対それは逆じゃない?ってみんな思った。遊園地の中の方が時間長いのに。

隣の窓際に座るはすみんはバス酔いがひどいからって乗り込むと同時にさっそく寝る姿勢を取っていた。
酔いやすいからって窓際を譲ったのはいいんだけど、全く酔わない私は眠くもならないし廊下側を見てただヒマ…しおりでも読んでようかな。1時間もそれはもたないか。

「……。」

天井くんは何してるかな?

前から3列目の私の席からずーっと後ろ、1番後ろの右端が天井くんの席だった。

窓際ってことは天井くんも酔いやすいのかなぁ。

行きのバスの車内はガヤガヤ賑わっててみんな楽しそうにしてる。だけどまだお菓子もお弁当も開けてないこの空間は何の匂いもしなくて、天井くんを感じられないな…なんて思いながら。

「では遊園地の中では班行動です、かならずみんなで行動するように!先生たちは入口のところにいるからね、何かあったらそこまで来てね!」

気付いたら私も寝ちゃってたっぽい。

目を開けたらドリームパークランドに着いてた。

バスを順番に降りて、入園ゲートの前で整列をする。全クラス5組あるから最初に着いた私たち1組は並びながらちょっと待ってる時間があって。

「あ、小桃ちゃんやっほー!」

パッと目が合った隣のクラスの桜太くんに手を振られた。

「柊羽も!」

「おぉ」

前に並んでた天井くんにも手を振りながらこっちに近付いて来た。

「柊羽と小桃ちゃん同じ班なのー?」

「うん、くじで決まった」

「へぇいいな~!」

いいな…!?
って何がいいんだろう、そこはちょっと気になっちゃうじゃん。

「小桃ちゃん遊園地好き?」

「え、うん…好き!絶叫系はあんまり得意じゃないけどコーヒーカップとか好き!」

「あ~オレも!いっぱい回したよねコーヒーカップ!!」

「う、うん!ね!」

想像したら桜太くんはめっちゃ回しそうだなぁ、そこまで回さなくてもいいかな。

「各班の班長はマップ渡すから取りに来てくださーい!」

園内マップは班に1つもらえるみたいで、柿本先生が前から叫んでいた。それを聞いて天井くんが取りに前の方へ歩いて行く。

「え、柊羽って班長なの!?」

「そうだよ、ジャンケンで負けたんだけどね天井くん」

班長とか大変そうだしジャンケン勝ててよかったなぁって、だけど班長とかリーダーとかそんなイメージのない天井くんは不安じゃないかなって少し心配したりもする。

「ねぇねぇ小桃ちゃん」

「ん、なに?」

みんなで行動して楽しむだけだからそんな難しいことはないと思うけどね、私も今日はすっごく楽しみにして来たし。

だって天井くんと同じ班なんだもんね?

これでもっと仲良くなれたら、友達レベルも上がるし!上げてきたい友達レベル!

クラスで喋るの私ぐらいって言うなら。

「小桃ちゃんって柊羽のことどう思ってるの?」

今、見透かされたのかと思った。私が何を考えてたのか読まれちゃったのかなって無駄にドキッとしちゃって。

「え…?」

目を合わせる、大きな瞳全部に私を映して。少しかがんで下からじーっと桜太くんが見て来る。

「どうって…?」

「そのまま!どう思ってるのかなって!」

私が天井くんのこと…

そんなの別に私は…

「友達だよ」

“小桃とはよく話すしね”

天井くんだってそう言ってたし、私と天井くんは友達だと思う。私もそう思ってるもん。

「ふーん、そっか!」

ニカッと口を開けて笑った。

それはどーゆう意味だったのかな?

それだけ言って桜太くんが自分のクラスの方へ戻って行く、その後姿を見つめて。

なんでそんなこと私に聞いたんだろう?
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