終生飼育は原則ですから

被保護編 339年

339年11月4-1

　一週間寝込んだ。
　具合が悪いときはひとりにしてほしいと頼んだら、朝晩の確認ですませてくれたみたいだ。
　横になりすぎて背中が痛い。

　あれは二日目か三日目か、鎮痛剤で頭痛を抑えて手紙を書いた。間に合っただろうか。
　熱も出ていたからおかしなことを書いていないといいけど。ソウシュウが校閲しただろうから大丈夫か。

　筋肉が落ちてしまった。また鍛えないとな。
　そう思うけど動く気になれない。
　なんか気力がわかない。

　本を読む気にもならない。
　この邸の中を見てきた方がいいけど、見てどうするんだろう。脱出経路を探すわけでもないし。
　イスに座っている。たぶん無我の境地に近い。時々考えてるだけで、間は何も考えてない。

　猫に会いたい。
　フィゾは返したけど、返されたらしい。そう聞いた気がするけど夢かな。
　まずいな。私が本を読む気にならないのはかなりまずい。

　いきなりドアが開いてソウシュウが入ってきた。
　夜か。日暮れが早いから、夕方か夜か時間がよくわからない。
「起きて大丈夫なのか？」
　不思議だ。なんでこの人がいるんだろう。私が選んだからだけど。
　レイサスは、私が回復して出て行くまで入ってこなかった。

「何か食べなさい」
　食事が運ばれてきて、ソウシュウは座って食べている。私にスープを薦めてくれる。
　食べないとね。ここで私は寝ているわけにはいかない。義務を果たさないと。何のために残ったのか。