終生飼育は原則ですから

被保護編 339年

339年7月3

　一日立ちっぱなしだったし、夏の外の作業で汗もかいた。
　風呂に入って眠りたいんだけど、まだ眠れないしまた疲れるんだろうな。

　まんまと壇上に上げられて、しかも頬にキスって、何考えてるのか。
　コウジュ様が見ていた。笑顔ではあったけど、内心はどうだろう。おもしろくはないでしょう。

　それなのに反省会もせずに部屋にこもるって、それは屋台の責任者としてどうなんだ。
　きちんと後片付けができたか確認したいし、生徒にも客にも怪我や体調不良がなかったか聞いておきたい。
　そう主張すると、レイサスはクリスたち教頭を呼んで報告させた。
　特に異常はないし、撤収も終わったそうだ。よかった。

　よかったけど、報告が終わったらすぐに連れて行かれた。確かにさっさと自分の部屋に行って休みたいけど、普通は反省会と称して労いの食事会ぐらい開くものなんだって。
　それは言い張ってもだめだった。

　先に風呂に入りたかったけど、先に一度しないとだめだった。
　その後、まだ動きたくない私を風呂に連れて行って、服を脱がせて洗ってくれるけど、どれも自分でできる。
　けれど髪を洗ってくれ、体も洗う。

　レイサスは素手で洗うというか、隈なく触るししつこく触る。
　足元が滑るしつかまるところもないから無理。
<私の首に手を回して>
<レイサス、風呂から出てからに>
<風呂の中の方が、後始末が簡単だろう？>
　熱いな。入って来てしまったので、レイサスの首にしがみついた。もうこうなったら早く終わらせてもらわないと。
　男の人の体はいつも熱いけど、一番熱い。
　早く終わらせてもらう必要は私の方にある。レイサスは余裕があっても、私は保留されると辛い。

　確かに風呂場だと始末は簡単だけど、とても疲れる。もう約束の上限に達しましたので。
<必要ない>
　風呂から出て体を拭いて服を着ようとすると、レイサスに止められて、ベッドまで運ばれた。当然のごとくレイサスが入ってくるけど、約束はどうなった。

　いつまでこんなに求められるんだろうな。
　レイサスは気が長いからまだ一、二年はいけるのかな。
　だけどその前に、私は身を引かないと。私がいると発散できてしまうんだろう。いなくなれば相手を探すだろう。

　ただの人形になれたら楽なんだろうけどね。レイサスの望みを満たすだけで、何も考えないでいられれば。
　このままを続けられればいいのにね。