終生飼育は原則ですから

乃浦

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被保護編 339年

339年7月2-1

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 ロユデの夏祭りには、おば様とお姉様と一度、お姉様と一度、来たことがある。
 学校に入って、夏祭りにきっと行けると楽しみだったけど、自分たちで屋台を出すなんて、きっともっと楽しい。

 私は委員になって、他のみなさんといろいろ計画を立てた。
 その計画は穴が多くて、オーサー様からたくさん指摘されて、たくさん改善しなければいけなかったけれど、練習して校内でお店も出してみて、当日が楽しみになった。

「キーナさんはどう思いますか? もっと甘い方がいいとか、辛い方がいいとか、口に合わないとか、何か意見はありませんか?」
 オーサー様は聞いてくださったけれど、教えてくれた料理はどれも珍しくておいしい。

 いも餅はパンケーキに似ているけれど、もっともちもちして弾力があるし、あのたれは初めてだった。
 豆腐は少し甘くていろいろな味がする。全員が少しだけ食べさせてもらったけど、もっと食べてみたい。
 カレーは不思議。初めて食べた味なのにおいしかった。あんなにスパイスを使う料理もあるのね。

 当日は、みんな最初は混乱してしまった。いきなりたくさんの人が来たから決めていたことができなくて、お客様に迷惑をかけてしまった。
 普通科ではオーサー様が前に出てやり方を見せていたそうだ。
 兵術科のカレーは、ソファリスの皇子様と皇女様が料理を持っていったとか。

 けれど少し慣れると、自分たちでできるようになった。後ろでは王太子様がいも餅をこね、オーサー様がたれを作ってくれたりしたけれど。
 王太子様がこんなことをされるとは思っていなかった。お上手だったことにも驚いた。
 そしてオーサー様と息が合っていた。会話をしなくても必要なことがわかっていて、通じ合っていた。

 学校で、王太子様がプロポーズをしたとは聞いた。そしてオーサー様は答えなかったと。
 答えてくださればよかったのに、そうしないうちにソファリスの皇女が来てしまった。
 皇女様もいい方だと思う。私たちを手伝ってくれたし。

 けれどやっぱりオーサー様が一番王太子様に似合うと思う。頭がよく、優しく、厳しく、美しく、強く、人に好かれる。
 だから私はオーサー様と王太子様に票を入れた。テティもそうしたと言っていた。
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