終生飼育は原則ですから

乃浦

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被保護編 339年

339年5月3-1

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 コウセンとは夜に話す。イユリスに来て一ヵ月が過ぎただけだが、コウセンがかなり育っている。早い。オーサーは一体どうやっているのだろうか。

 コウセンに聞いても特筆すべき事はされていない。ただいつも見られていると言っていた。
 そしてコウセンはオーサーを見ていて気づいたらしい。全ての行動には意味があると。

 自分の行動には意図がない。何かを狙って行動する事はなく、その行動の影響を考えてもいないと気付いたらしい。遅い。ずっと言っても理解させられなかった事を気付かせた。オーサーはどうやったのか。

 レイサス様は充分優秀な人だった。オーサーがいなくても国は安泰だ。
 人の意見を聞く事ができ、取捨選択が早い。感情で左右されない。感情で動くのはオーサーに対してだけだ。彼女の事を本当に愛している。

 妾もパンツをはくことにした。
 街で売られている雑誌を読むと、女性に向くパンツのはき方などが載っている。小柄な女性には丈が短めがいいと、オーサーのコメントが書いてあった。
 街で売られている物を買ってはいてみると、皆褒めてくれた。動きやすい。馬に乗るにはやはりパンツの方がいい。だがやはりこういう物はオーサーのようなスタイルの方が似合う。

 オーサーがパンツをはいた長い脚で移動している姿は惚れ惚れする。働いている女性が多いが、その者達も見ている。
 時々レイサス様と並んで移動するが、ついていくのが大変だ。コウセンもそうらしい。
 オーサーは気を遣って、レイサス様との用件を早く終わらせ一人で移動しようとするが、レイサス様は時間の許す限り同行する。振り切ろうとするオーサーと、離れずについていくレイサス様と、小走りで後に続く妾たちは、周りで見ていれば面白いだろう。

 オーサーは本当にレイサス様から離れるつもりらしい。仕事以外の会話を聞いたことがない。
 レイサス様はこの一ヵ月で判断する限り、理想の結婚相手だ。まして平民だというオーサーには臨むべくもない相手だろう。なぜそんなに簡単に身を引けるのか。
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