終生飼育は原則ですから

被保護編 338年

338年11月1-2

　夏祭りのことは聞いたけれど、レイサス様の熱意にオーサーが迷惑しているようだという噂も聞いた。どんな様子だったのか想像できる。
　どうして受け入れられないのかしら。
　レイサス様が付き合われた方は、皆さん少しでもレイサス様の近くにいたくて必死だったのに、オーサーは少しでも離れようとする。レイサス様は近寄るために大変。

「本当に付き合えばいいのに。国民は喜ぶわ。私も、王妃様も、みんな喜ぶのに」
「クリス・・・」
「私は本心から言っているわ。オーサーと付き合えればレイサス様は何よりうれしいでしょうし、付き合えなければ何をしても不幸だわ」
「・・・大げさな」
「どうしてあなたにはわからないのかしら。レイサス様がそんなに嫌い？」
「・・・嫌いなら、もうとっくにここから離れている」
「好きなら受け入れて差し上げれば？」
「レイサスには感謝しているから幸せになってほしい。私では彼のためにならない。クリスのような人こそ相応しい」

　なぜ自分の価値を認めないのかしら。オーサーが来て変えたから、全てがよくなったのに。
「私はあなたが相応しいと思っているし、あなた以外はそう思っているの」
　落ち込んだよう。

　レイサス様も早くどうにかしてくださらないかしら。私たちがこんなに協力しているのに、当事者お二人が嫌い合っているわけでもないのに、どうして離れていくのかしら。