終生飼育は原則ですから

被保護編 338年

338年3月6-1

　街ではパンツをはいた女性が増えてきた。
　ふくらんだスカートではなく、すとんとしたスカートも流行っている。
　凛々しいか儚いか、どちらかがいいらしい。

　どちらもオーサーの影響だ。
　オーサーはパーティで王妃のドレスを着たが、その後あった商人のパーティでは自分で作ったドレスを着た。
　パーティで皆が着ていたふくらんだスカートのドレスではなく、体の線に沿うような柔らかい生地のスカートで、アクセサリーも含めて会場にいた女性達が食い入るように見ていた。
　それは男もだが。特に兄上が。

　オーサーは兄上にはついてこなくていいと言ったのに、絶対に行くと離れなかった。
　それはそうだろうが、オーサーの意図の邪魔にはなった。
　オーサーはもっと他の者と近く話し、情報も聞き出したかっただろうに、兄上がいると緊張した者達がなかなか近寄れず、話が弾まない。
　遠巻きに二人の姿に見入っている。

　さすが商人が多かっただけあって、その時の服装と似た服が作られて流行っている。
　流行を作るか。
　そうすれば消費が活発になると言っていたが、本当に出来るのか。
　オーサーは「レイサスの影響はすごい」と言うが、オーサーの影響だろう。

　兄上が溺愛しているという噂は、兄上の意図通り、オーサーに近付く男の牽制にはなっている。
　しかしそれでも前より誘いは増えた。前は店主が商売のために近付いてきたが、今は店主の息子が寄ってくる。一石二鳥を狙ってだろうが、手を出せば家が無くなる。止めた方がいい。