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被保護編 338年
338年2月3-2
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王妃からのドレス。
春のパーティに着てほしいと王妃から直接贈られては、拒否する事は難しい。
だが彼女はドレスを着たくない。
ドレスを着たくないのは彼女だけで、王妃まで含めて全員着せたいので拒絶は不可能だ。
「王宮には私も移るし、レイサスに近すぎる。ここでドレスを着ていったら、確実に愛人だとみなされる」
「恋人だと思われるのが嫌なのか?」
「結婚も婚約もしていない王太子に女が纏わりついていたら評判が下がる。レイサスの結婚に差支えがある。だからさっさと」
「あなたには悪いが、恋人役をしてくれたほうが有難い。そういう相手でもいないと大変なんだ」
「・・・あぁ」
仕方がないと諦めた。レイは上手い言い方だった。
実際レイへの申し込みは激増した。政敵がいなくなり太子位は確実になった。国は発展しつつある。二十六歳の評判の美男である王子。
「だけど私では風除けにもならないんじゃないかな。平民だからお姫様達の敵にはなれないし、眼中になくて意味がないんじゃ」
着ない理由を考えたらしい。
「あなた次第だ。あなたが私と仲睦まじい所を見せ、誰も入る余地がないと思わせてくれれば助かる」
「仲・・・」
絶望的な表情に笑える。そんな顔をしなくても。
「結局最初の、評判を落とすから」
「それでも諦めない相手から探す」
「・・・わかった。善処します」
項垂れて猫を撫でている。
「贈られた中から何を着るか決めましょう。レイの衣装も合わせる必要があります」
オーサーの動きは重かったが、私とレイは意気揚々と立ち上がった。
春のパーティに着てほしいと王妃から直接贈られては、拒否する事は難しい。
だが彼女はドレスを着たくない。
ドレスを着たくないのは彼女だけで、王妃まで含めて全員着せたいので拒絶は不可能だ。
「王宮には私も移るし、レイサスに近すぎる。ここでドレスを着ていったら、確実に愛人だとみなされる」
「恋人だと思われるのが嫌なのか?」
「結婚も婚約もしていない王太子に女が纏わりついていたら評判が下がる。レイサスの結婚に差支えがある。だからさっさと」
「あなたには悪いが、恋人役をしてくれたほうが有難い。そういう相手でもいないと大変なんだ」
「・・・あぁ」
仕方がないと諦めた。レイは上手い言い方だった。
実際レイへの申し込みは激増した。政敵がいなくなり太子位は確実になった。国は発展しつつある。二十六歳の評判の美男である王子。
「だけど私では風除けにもならないんじゃないかな。平民だからお姫様達の敵にはなれないし、眼中になくて意味がないんじゃ」
着ない理由を考えたらしい。
「あなた次第だ。あなたが私と仲睦まじい所を見せ、誰も入る余地がないと思わせてくれれば助かる」
「仲・・・」
絶望的な表情に笑える。そんな顔をしなくても。
「結局最初の、評判を落とすから」
「それでも諦めない相手から探す」
「・・・わかった。善処します」
項垂れて猫を撫でている。
「贈られた中から何を着るか決めましょう。レイの衣装も合わせる必要があります」
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