終生飼育は原則ですから

被保護編 337年

337年12月5

　新年のパーティは絶対に私の服で行くと言い張った。
「新年度のパーティとは違って、ホールは貴族限定なんでしょ。そこに平民だと公言している私がいるには護衛で通すしかない。護衛はドレスを着たら動けない」
「私の側近であれば入れる。通させる。作らせたドレスもあるし、あなたが作っていた物も完成しただろう」
　レイはドレスを着ることを主張するし、ファリオンもドレスがいいと口添えをしたが、オーサーが勝った。

「王妃が指示を徹底していれば、入り口で揉めることになる。ドレスで行くメリットがわからない。だいたいこんな冬に寒い」
　寒いと言われれば無理に着せるのも躊躇う。
　けれどダンスは教えてほしいと頼まれた。男性パートも知りたいらしい。

「私が教える」
　レイが断固として宣言した。そうでしょうね。譲らないでしょうね。
「・・・レイサスは忙しいから、合間を見てファリオンに教えてもらうよ」
　確かにファリオンはオーサーといるから、時間が空いたときにすぐにできる。
　効率的だがそれは駄目だ、オーサー。レイとファリオンをを近付けようとしているが、ダンスについては譲らないと逆効果だ。

「私とは踊りたくない理由を教えてほしい」
「踊りたくないってわけじゃなくて、まず時間的に煩わせるのが悪いし、レイサスと練習するならヒールの高い靴を履かなくちゃいけないし」
「迷惑ではないし、慣れておくのはいいことだろう」
「そうなんだけどね・・・」
　ファリオンはレイより少し背が低いから、靴を履き替えなくても何とかなると考えたのか。相変わらずいろいろ考える。しかし微妙に的を外す。
「じゃあ、お願いします」
「わかった」

　レイはオーサーに関する事では嬉しそうに表情を変える。直接本人相手ではなかなか喜べないのが実情だが。
「今晩から始めよう」
　珍しく本当に嬉しそうだ。オーサーとのダンスか。羨ましい気もする。