終生飼育は原則ですから

被保護編 337年

337年10月2-1

　パーティには行く。先に酒を飲んでおいた方がいいか。
　遅い時間になってから着崩した服とだらしない歩き方で会場に入り、挨拶してくる奴らには適当にうなずき、テーブルの瓶をつかんで外に出る。
　母上の所に連れて行こうとする奴も、もう来ない。

　兄上はいつものようだった。変わりはない。ご無事でよかった。
　俺の事は一瞬見るだけで無視する。いつもと同じだ。
　昔はもっと気に掛けてくれた。けれどそれを母上が見つけると兄上に冷たい目を向ける。俺は兄上から遠ざかった方がいい。

　いつもの場所で時間を潰そう。
　この季節、テラスに出る奴らはほとんどいない。さらに奥に行けばいつも一人になれる。

　しかし今日は先客がいた。
　黒い奴だ。
　最近の噂の的。
　兄上の命の恩人で、今は貴族の目付け役をやっているらしい。男か女か、議論している奴もいる。

　兄上が連れてきて使っている人間。優秀なんだろう。
　行く場所もないから話してみたが、酒を飲まれた。一度だけでなく何回か瓶を奪われた。そんなに飲むか？

　なぜか軍に一緒に行くことにもなった。
　軍に行けるとこいつが喜んだときにわかった。こいつ、女だ。
　兄上の恋人なのか？　俺が連れて行っていいのか？
　しかし連れて行く日時まで約束させられた。本当に行きたいのか。