終生飼育は原則ですから

乃浦

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被保護編 337年

337年5月6

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 町は小さな田舎の町でした。
 馬で行くと、停めている馬を見ている人が必要なので歩いていく。

 町にあるのはパン屋と食料品店と雑貨屋と郵便局兼教会というか宗教施設。領地の冠婚葬祭を取り仕切る。
 国から維持費が出ているそう。
 あとは領主からと利用する領民が支払う利用料で、日本風に言うなら住職か神主が生活している。正式には代祀主と言うらしい。国王に代わって祭祀を行う。

 代祀主や代祀官になる学校がロユデにあるそう。どこの国でもそういう仕組みはあるんだね。
 変なことを言うと三人から私の国はどうなのか聞かれそうだから、ふんふんと会話を流す。興味深いけど危ない話題だ。

 なるほど。穀物が高い。
 肉は塩漬けや缶詰で、生の固まり肉の四倍くらいの値段らしい。生肉はリーラントだと、それぞれの家庭で家畜をつぶすから売れない。
 パンは塩漬け肉よりちょっと安いくらいの値段。高いな。

 たぶんイユリスの土地はヨーロッパに似ている。
 穀物の栽培には地力が足りないので牧草を伸ばし動物を飼う。動物の糞を肥料にするって方法。

 「主食」というのは日本的な考えだと本で読んだことがある。
 ヨーロッパの主食は、強いて言うなら肉だと。穀物は常食するには貴重で、肉は労力をかけずに育てられる。イユリスはそれに近いんだろう。

 私は米にそれほど執着はないけど、やっぱりたまには食べたい。
 そして醤油。何より醤油。大豆と麦でしょ。
 味噌は作ったことがあるし醤油の作り方も知ってはいる。麹を捕まえられたらね。アスペルギルス・オリゼ。君にすごく会いたいよ。

 調味料は想像通りシンプルでした。砂糖、塩、唐辛子、酢。
 ナンプラーとか豆板醤とか醤油とか醤油とか醤油とか・・・。昆布か鰹節もほしい。これは素材を見つければ何とか。きっと素材が取れるところには近いものがあるはず。

 商品は数少ないけれど、とても収穫があった。やっぱり実地で見るといろいろわかる。
 パン屋のお菓子がおいしそうだったので、ええと何人だ、子爵夫妻と三人と私とメイドさん二人の八人分を買ってみる。お金はレイサスからもらいました。
 初めてこの世界で買い物をした。この世界は貨幣。紙幣はない。貨幣だと重いね。紙幣が流通すればいいのに。どれくらいの段階を超えれば紙幣を使えるだろう。

 お菓子はイーディがなぜかお金を払おうとしてくれたけど、譲らずに後ろに下がらせた。私の初めての買い物なんだから。言えないけど。子爵家にはお世話になっているから私からの贈り物ってことで。
 帰り道は結構な大荷物のお菓子をイーディが持ってくれた。紳士だね。
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