11 / 365
保護編
4-1
しおりを挟む
ともやは週に三、四回、寝る前に外を走っている。
なんて危ない事をするのか。
そう言ったら日本の犯罪率、検挙率、治安について教えられた。
それでも心配なので私も一緒に走り、今は私が毎日走り、ともやは週に3、4回、私が走り出してしばらく経ってから走り出し、帰りに追いついて一緒に家に入っている。
ともやは十五分間くらい、汗をかかない位走るだけで脚の筋肉を保ち、肩凝りと腰痛が改善されると言う。
ともやは武術もできるらしい。
カラテを習っていたから、変質者がもし出ても逃げる時間分くらいの不意はつけると言う。
しかしカラテと言っても演舞で、組み手はそんなに強くない。まず真剣にやった事がない。演舞も試合に出た事がない。あくまで初歩の趣味だが、それでも不意をつくには充分だという。
私が外を走っていても車が通るだけで人と会うことはない。それでもともやは無防備すぎる。
イユリスは、特に王都ロユデは概して治安はいいが、夜に女性が独りで歩くのは避けた方がいい。ここでも用心するに越したことはないだろう。
この前は外に買い物に連れて行ってくれた。
ともやが初めてスカートをはいた。初めて脚を見た。とても綺麗だ。
雑誌やテレビの女性の脚は細い。細い棒のようだ。この世界、この日本に相応しいのだろう。だがもう少し筋肉がなければ歩くことも難しいのではないか。
ともやの脚は細いけれど筋肉の動きが見える。彼女が走って保っている筋肉。
ずいぶんと周囲に注目された。髪の色は明るい者もいるが、ほとんどが黒い髪黒い瞳だ。
ソファリスの東部にはこういった民がいるとは聞くが、このような眺めなのだろうか。
ともやは歩くのが早い。
私はかなり早足で、女性と歩くときは半分くらいの速度に落とすように心掛けているが、ともやとだとそれほどゆっくり歩かなくていい。有難い。
どの店も湖のように大きなガラスを使い、多彩な商品が溢れている。周囲の人間には明らかに汚れた格好をした者がいない。だらしない服装をした者はいるが、それは流行だという事は学習済みだ。
豊かな国だ。これだけの人が休日を取れ、買い物の為に歩いている。これだけの人間でも買いつくせないほど大量多彩の、包装までされた商品がある。
八十年前に戦争で何も無くなったと聞いたが、ここまでになったのは電気の力か。
いや電気によって色々な労力が省略できるが、電気で動く機械がなければ意味がない。機械を作るにも電気を使うというから鳥と卵か。
外を歩き、店を見るのは楽しかった。いつもよりもともやが綺麗なのを見るのは楽しい。
そして手を繋いで歩くというのも楽しかった。イユリスでも付き合っている男女は手を繋ぐ。日本でも繋いで歩いている者達がいた。
ともやは立ち止まる度に私を見て待ってと言う。それなら手を繋いで横にいた方が動きがわかる。
彼女は周囲の者に比べても細く、背が高い。手も細かった。
ともやはかなり疲れたようだ。
しかし欲しかった本を買えたと、車に戻ってから満面の笑みを浮かべていた。
そういえば、ともやはあまり笑わない。微笑むことはあるがそれ以上に笑うことはめったに無い。やはり私が負担になっているのか。
買い物に行って、ますます金を稼ぎたいと思う。ともやに、せめて金だけでも返したい。
小遣いとして金を渡されてはいたが、ともやが苦労して得た金で買うようなものはなかった。本はともやが持っているし、服もくれた。
返そうとすると、遣う事があるかもしれないから持っていた方がいいと受け取らなかった。
欲しいものは、自分で稼げる能力だ。
なんて危ない事をするのか。
そう言ったら日本の犯罪率、検挙率、治安について教えられた。
それでも心配なので私も一緒に走り、今は私が毎日走り、ともやは週に3、4回、私が走り出してしばらく経ってから走り出し、帰りに追いついて一緒に家に入っている。
ともやは十五分間くらい、汗をかかない位走るだけで脚の筋肉を保ち、肩凝りと腰痛が改善されると言う。
ともやは武術もできるらしい。
カラテを習っていたから、変質者がもし出ても逃げる時間分くらいの不意はつけると言う。
しかしカラテと言っても演舞で、組み手はそんなに強くない。まず真剣にやった事がない。演舞も試合に出た事がない。あくまで初歩の趣味だが、それでも不意をつくには充分だという。
私が外を走っていても車が通るだけで人と会うことはない。それでもともやは無防備すぎる。
イユリスは、特に王都ロユデは概して治安はいいが、夜に女性が独りで歩くのは避けた方がいい。ここでも用心するに越したことはないだろう。
この前は外に買い物に連れて行ってくれた。
ともやが初めてスカートをはいた。初めて脚を見た。とても綺麗だ。
雑誌やテレビの女性の脚は細い。細い棒のようだ。この世界、この日本に相応しいのだろう。だがもう少し筋肉がなければ歩くことも難しいのではないか。
ともやの脚は細いけれど筋肉の動きが見える。彼女が走って保っている筋肉。
ずいぶんと周囲に注目された。髪の色は明るい者もいるが、ほとんどが黒い髪黒い瞳だ。
ソファリスの東部にはこういった民がいるとは聞くが、このような眺めなのだろうか。
ともやは歩くのが早い。
私はかなり早足で、女性と歩くときは半分くらいの速度に落とすように心掛けているが、ともやとだとそれほどゆっくり歩かなくていい。有難い。
どの店も湖のように大きなガラスを使い、多彩な商品が溢れている。周囲の人間には明らかに汚れた格好をした者がいない。だらしない服装をした者はいるが、それは流行だという事は学習済みだ。
豊かな国だ。これだけの人が休日を取れ、買い物の為に歩いている。これだけの人間でも買いつくせないほど大量多彩の、包装までされた商品がある。
八十年前に戦争で何も無くなったと聞いたが、ここまでになったのは電気の力か。
いや電気によって色々な労力が省略できるが、電気で動く機械がなければ意味がない。機械を作るにも電気を使うというから鳥と卵か。
外を歩き、店を見るのは楽しかった。いつもよりもともやが綺麗なのを見るのは楽しい。
そして手を繋いで歩くというのも楽しかった。イユリスでも付き合っている男女は手を繋ぐ。日本でも繋いで歩いている者達がいた。
ともやは立ち止まる度に私を見て待ってと言う。それなら手を繋いで横にいた方が動きがわかる。
彼女は周囲の者に比べても細く、背が高い。手も細かった。
ともやはかなり疲れたようだ。
しかし欲しかった本を買えたと、車に戻ってから満面の笑みを浮かべていた。
そういえば、ともやはあまり笑わない。微笑むことはあるがそれ以上に笑うことはめったに無い。やはり私が負担になっているのか。
買い物に行って、ますます金を稼ぎたいと思う。ともやに、せめて金だけでも返したい。
小遣いとして金を渡されてはいたが、ともやが苦労して得た金で買うようなものはなかった。本はともやが持っているし、服もくれた。
返そうとすると、遣う事があるかもしれないから持っていた方がいいと受け取らなかった。
欲しいものは、自分で稼げる能力だ。
5
お気に入りに追加
104
あなたにおすすめの小説
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
完結 R18 媚薬を飲んだ好きな人に名前も告げずに性的に介抱して処女を捧げて逃げたら、権力使って見つけられ甘やかされて迫ってくる
シェルビビ
恋愛
ランキング32位ありがとうございます!!!
遠くから王国騎士団を見ていた平民サラは、第3騎士団のユリウス・バルナムに伯爵令息に惚れていた。平民が騎士団に近づくことも近づく機会もないので話したことがない。
ある日帰り道で倒れているユリウスを助けたサラは、ユリウスを彼の屋敷に連れて行くと自室に連れて行かれてセックスをする。
ユリウスが目覚める前に使用人に事情を話して、屋敷の裏口から出て行ってなかったことに彼女はした。
この日で全てが終わるはずなのだが、ユリウスの様子が何故かおかしい。
「やっと見つけた、俺の女神」
隠れながら生活しているのに何故か見つかって迫られる。
サラはどうやらユリウスを幸福にしているらしい
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
【R18】聖女のお役目【完結済】
ワシ蔵
恋愛
平凡なOLの加賀美紗香は、ある日入浴中に、突然異世界へ転移してしまう。
その国には、聖女が騎士たちに祝福を与えるという伝説があった。
紗香は、その聖女として召喚されたのだと言う。
祭壇に捧げられた聖女は、今日も騎士達に祝福を与える。
※性描写有りは★マークです。
※肉体的に複数と触れ合うため「逆ハーレム」タグをつけていますが、精神的にはほとんど1対1です。
【R18】騎士たちの監視対象になりました
ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。
*R18は告知無しです。
*複数プレイ有り。
*逆ハー
*倫理感緩めです。
*作者の都合の良いように作っています。
騎士団長の欲望に今日も犯される
シェルビビ
恋愛
ロレッタは小さい時から前世の記憶がある。元々伯爵令嬢だったが両親が投資話で大失敗し、没落してしまったため今は平民。前世の知識を使ってお金持ちになった結果、一家離散してしまったため前世の知識を使うことをしないと決意した。
就職先は騎士団内の治癒師でいい環境だったが、ルキウスが男に襲われそうになっている時に助けた結果纏わりつかれてうんざりする日々。
ある日、お地蔵様にお願いをした結果ルキウスが全裸に見えてしまった。
しかし、二日目にルキウスが分身して周囲から見えない分身にエッチな事をされる日々が始まった。
無視すればいつかは収まると思っていたが、分身は見えていないと分かると行動が大胆になっていく。
文章を付け足しています。すいません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる