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保護編
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ともやは週に三、四回、寝る前に外を走っている。
なんて危ない事をするのか。
そう言ったら日本の犯罪率、検挙率、治安について教えられた。
それでも心配なので私も一緒に走り、今は私が毎日走り、ともやは週に3、4回、私が走り出してしばらく経ってから走り出し、帰りに追いついて一緒に家に入っている。
ともやは十五分間くらい、汗をかかない位走るだけで脚の筋肉を保ち、肩凝りと腰痛が改善されると言う。
ともやは武術もできるらしい。
カラテを習っていたから、変質者がもし出ても逃げる時間分くらいの不意はつけると言う。
しかしカラテと言っても演舞で、組み手はそんなに強くない。まず真剣にやった事がない。演舞も試合に出た事がない。あくまで初歩の趣味だが、それでも不意をつくには充分だという。
私が外を走っていても車が通るだけで人と会うことはない。それでもともやは無防備すぎる。
イユリスは、特に王都ロユデは概して治安はいいが、夜に女性が独りで歩くのは避けた方がいい。ここでも用心するに越したことはないだろう。
この前は外に買い物に連れて行ってくれた。
ともやが初めてスカートをはいた。初めて脚を見た。とても綺麗だ。
雑誌やテレビの女性の脚は細い。細い棒のようだ。この世界、この日本に相応しいのだろう。だがもう少し筋肉がなければ歩くことも難しいのではないか。
ともやの脚は細いけれど筋肉の動きが見える。彼女が走って保っている筋肉。
ずいぶんと周囲に注目された。髪の色は明るい者もいるが、ほとんどが黒い髪黒い瞳だ。
ソファリスの東部にはこういった民がいるとは聞くが、このような眺めなのだろうか。
ともやは歩くのが早い。
私はかなり早足で、女性と歩くときは半分くらいの速度に落とすように心掛けているが、ともやとだとそれほどゆっくり歩かなくていい。有難い。
どの店も湖のように大きなガラスを使い、多彩な商品が溢れている。周囲の人間には明らかに汚れた格好をした者がいない。だらしない服装をした者はいるが、それは流行だという事は学習済みだ。
豊かな国だ。これだけの人が休日を取れ、買い物の為に歩いている。これだけの人間でも買いつくせないほど大量多彩の、包装までされた商品がある。
八十年前に戦争で何も無くなったと聞いたが、ここまでになったのは電気の力か。
いや電気によって色々な労力が省略できるが、電気で動く機械がなければ意味がない。機械を作るにも電気を使うというから鳥と卵か。
外を歩き、店を見るのは楽しかった。いつもよりもともやが綺麗なのを見るのは楽しい。
そして手を繋いで歩くというのも楽しかった。イユリスでも付き合っている男女は手を繋ぐ。日本でも繋いで歩いている者達がいた。
ともやは立ち止まる度に私を見て待ってと言う。それなら手を繋いで横にいた方が動きがわかる。
彼女は周囲の者に比べても細く、背が高い。手も細かった。
ともやはかなり疲れたようだ。
しかし欲しかった本を買えたと、車に戻ってから満面の笑みを浮かべていた。
そういえば、ともやはあまり笑わない。微笑むことはあるがそれ以上に笑うことはめったに無い。やはり私が負担になっているのか。
買い物に行って、ますます金を稼ぎたいと思う。ともやに、せめて金だけでも返したい。
小遣いとして金を渡されてはいたが、ともやが苦労して得た金で買うようなものはなかった。本はともやが持っているし、服もくれた。
返そうとすると、遣う事があるかもしれないから持っていた方がいいと受け取らなかった。
欲しいものは、自分で稼げる能力だ。
なんて危ない事をするのか。
そう言ったら日本の犯罪率、検挙率、治安について教えられた。
それでも心配なので私も一緒に走り、今は私が毎日走り、ともやは週に3、4回、私が走り出してしばらく経ってから走り出し、帰りに追いついて一緒に家に入っている。
ともやは十五分間くらい、汗をかかない位走るだけで脚の筋肉を保ち、肩凝りと腰痛が改善されると言う。
ともやは武術もできるらしい。
カラテを習っていたから、変質者がもし出ても逃げる時間分くらいの不意はつけると言う。
しかしカラテと言っても演舞で、組み手はそんなに強くない。まず真剣にやった事がない。演舞も試合に出た事がない。あくまで初歩の趣味だが、それでも不意をつくには充分だという。
私が外を走っていても車が通るだけで人と会うことはない。それでもともやは無防備すぎる。
イユリスは、特に王都ロユデは概して治安はいいが、夜に女性が独りで歩くのは避けた方がいい。ここでも用心するに越したことはないだろう。
この前は外に買い物に連れて行ってくれた。
ともやが初めてスカートをはいた。初めて脚を見た。とても綺麗だ。
雑誌やテレビの女性の脚は細い。細い棒のようだ。この世界、この日本に相応しいのだろう。だがもう少し筋肉がなければ歩くことも難しいのではないか。
ともやの脚は細いけれど筋肉の動きが見える。彼女が走って保っている筋肉。
ずいぶんと周囲に注目された。髪の色は明るい者もいるが、ほとんどが黒い髪黒い瞳だ。
ソファリスの東部にはこういった民がいるとは聞くが、このような眺めなのだろうか。
ともやは歩くのが早い。
私はかなり早足で、女性と歩くときは半分くらいの速度に落とすように心掛けているが、ともやとだとそれほどゆっくり歩かなくていい。有難い。
どの店も湖のように大きなガラスを使い、多彩な商品が溢れている。周囲の人間には明らかに汚れた格好をした者がいない。だらしない服装をした者はいるが、それは流行だという事は学習済みだ。
豊かな国だ。これだけの人が休日を取れ、買い物の為に歩いている。これだけの人間でも買いつくせないほど大量多彩の、包装までされた商品がある。
八十年前に戦争で何も無くなったと聞いたが、ここまでになったのは電気の力か。
いや電気によって色々な労力が省略できるが、電気で動く機械がなければ意味がない。機械を作るにも電気を使うというから鳥と卵か。
外を歩き、店を見るのは楽しかった。いつもよりもともやが綺麗なのを見るのは楽しい。
そして手を繋いで歩くというのも楽しかった。イユリスでも付き合っている男女は手を繋ぐ。日本でも繋いで歩いている者達がいた。
ともやは立ち止まる度に私を見て待ってと言う。それなら手を繋いで横にいた方が動きがわかる。
彼女は周囲の者に比べても細く、背が高い。手も細かった。
ともやはかなり疲れたようだ。
しかし欲しかった本を買えたと、車に戻ってから満面の笑みを浮かべていた。
そういえば、ともやはあまり笑わない。微笑むことはあるがそれ以上に笑うことはめったに無い。やはり私が負担になっているのか。
買い物に行って、ますます金を稼ぎたいと思う。ともやに、せめて金だけでも返したい。
小遣いとして金を渡されてはいたが、ともやが苦労して得た金で買うようなものはなかった。本はともやが持っているし、服もくれた。
返そうとすると、遣う事があるかもしれないから持っていた方がいいと受け取らなかった。
欲しいものは、自分で稼げる能力だ。
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