オッドルーク

第一章「オッドルーク」

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「私、殺される為に生まれてきたの。」

風に吹かれて心地よくカーテンが揺らめく。
部屋に差し込む太陽の光に照らされ綺麗な青い髪をより一層艶やかになびかせた少女は、溶けるように澄んだ瞳を腰掛けた窓枠から外の世界へ向け、不釣り合いに残酷な言葉をぽつりと零した。

「……じゃあ、殺されたい？」

少女の前でその様子を眺めていた少年が静かに問うた。
話かけられた事が少女にとっては意外だったのか、沈んだ目に少し光を宿し、彼女はゆっくりと振り返る。

少年は、決して同情をしているようでも非難しているようでもなかった。ただ、純粋に問いかけている。
不思議な彩を持つ瞳が、しっかりと少女を捉えていた。 
少年の問いかけに直ぐには応えなかった少女は、そっとその手に持つ小さな青い薔薇の花に視線を落とした。

「…あのね…………私、本当は生きていたいの…」

ぽたり、少女の手に雫が落ちた。

「でも…もういいの。」

そして、か細い声でそう言うと彼女は力なく微笑んだ。

「……せめて、生きて。そして、いずれこの残酷な世界をどうか、終わらせて。」

祈るようにそう呟くと、
目をつぶった彼女はクローバーの花が舞う外の世界へと、背中からまるで吸い込まれるように


────落ちていった。


絶えずカーテンが風に吹かれている。
しかしそこには、先程まで座っていたはずの少女の姿は無い。
残された少年は驚いた様子もなく、誰もいなくなった部屋にそよぎ続けるカーテンを刹那の間眺めた。

「……先に手を出したのは、向こうだからな。」

ぽつりとこぼした少年は、そう言って静かに目を閉じた。

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