オーセンスハート

1

ゴミ集め場に人が落ちて

なんなんだ、一体

別に、総てを悲観するわけじゃない。

こんな御時世だ。人生たまにゃスリリングな経験したってバチは当たらない。
しかしそれとこれとは別だ。

こんなグダグダな展開、世間でいうハードボイルドなタフガイも泣いて逃げるだろう。

泣かないだけ俺もマシだけど…。

そうだな。なんで『こうなった』のか、ちょっと頭の中を整理しよう。



あぁ、そうだ。
俺、確かミリノに言われてイダーで待ち合わせしてたんだ。

そしたら小腹が空いて、なんか買おうと思ってぶらぶらしてたら安くて色のいいリンゴがあって。
それを四つ買って、ほかを見て回ろうとして

すぐ脇のゴミ集め場に人が落ちてきて―――――――。

あぁ、そうだ。
それで、ビックリして…とりあえず大丈夫かと声をかけたら、

「ふわぁっ、なにこれ！？昼なのに１０秒で真っ暗！？この歳ではやくも失明！？」

いや、ダンボール被って、ゴミの上でもがいてる女の子ってどうかと思うけど。

とにかくほっとけなかった。
それでダンボールを剥いで、手を貸して、それで去ろうと思った。
それだけでいいと思った。

なのに、

「いたぞ、あそこだ！！」
……なんか厳つい風体の大男（見る限りではファイター）がこっちを指さして叫んでるし。

「いた！！。あのガキっ！！」
……なんか４人に増えてるし。しかも全員ファイターって…。

「あ、あの・・・キミ」
耳元でソプラノボイスがこう言った。

「ボク、、、追われてるみたいだから、どっか逃げたほうがいいよ？」

……なんかあんまし聞きたくない単語を聞いたなぁ
…追われている？

「おい、なんだあの男のガキっ。訊いてねぇぞ！？」
「大方、仲間だろ」

―――――――え？

「かまわねぇ、捕まえちまおう！！」



これがつい５分前に起こった出来事。
話を要約するとだな

まあ、なんていうか……
いま、追われてたりします。
ホント、勘弁してくれ。