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第34話 自由だ、本当に
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「……全ては僕を縛るくだらない戯言だった」
僕は返り血を浴びながら呟く。
「ゴフッ……馬鹿な……報告では人殺しの覚悟すらないガキだと……やめろ……そんな冷たい目で見下すな……!」
男は血を吐き出し、自らが出した血の海に溺れている。
可哀想だと思わなくも無いが、他人への情に縛られるなんてアホらしい。
「冷たい……? そうかな。僕は自分の殻を一つ破れて気分が良いんだけど」
少し前に、
『本当に嫌な事を強制された時は何をしてでも逆らってやる』
とか決意したよね。
実際僕は他人に奪われるっていう本当に嫌な事を、
人を殺して逆らってみせた訳だ。
……自分の決めた事を実行できるってこんなに嬉しい事だったんだな。
「あー……アッハッハッハッハッ!」
笑いが止まらない。
今まで他人に奪われてきた自由や尊厳を一気に取り戻せたようだ。
「こ、コイツ人刺して笑ってやがる……! ヒイイ!」
信者が一人逃げた。
まあそんな事はどうでもいい。
だって僕は本当の意味で自由になれたんだから。
「さあさあ……今の僕は世界で一番自由なはずだよ!
そんな僕を止められるのかなぁ!?」
「うおお!」
起き上がった信者の内、一人が僕に向かって剣を振り下ろす。
その攻撃を避けて相手の懐に入り込み、ナイフで首を突き刺す。
「へ……ヒュ」
男の首に穴が空いて血が吹き出す。
なんだよ……自由にやったらこんな簡単に勝てるんだな。
今まで同じ人間だからって特別扱いしてたのが馬鹿らしくなってくる。
「う、うおおお!」
ガシッ。
「おっと」
槍を持っていた男が僕に組み付いてきた。
このままだと押し倒されちゃうな。
「えいっ」
ザスッ!
「……!?」
首の後ろ、盆のツボと呼ばれる急所に一突き。
みるみる内に掴む力は弱まっていく。
ドサッ。
「さて……最後はお前だな」
力無い死体を容易く振りほどいて、僕はナイフの男に向き合う。
「クソッ……! お前も殺しを楽しめる奴かよ……!」
「別に殺しは楽しんではないよ。
自由の素晴らしさに感動はしてるけど」
僕がそういうと、男は少し表情を曇らせた。
「……う、嘘つけよ……目はたしかに冷たいけど口元が笑ってるじゃねえか!」
「だからこれは自由にやれてるのが嬉しくて……」
「うるせええぇぇ! 俺は他人を殺すのは好きだけど
殺されそうになるのは嫌いなんだよおおお!」
男は錯乱し、僕の言葉を遮るように叫ぶ。
「ははは、クズ過ぎ。でも自由なのはいいね」
「ああああああああぁぁぁ!」
男がナイフを突き出して走ってきた。
「でもね……他人の自由を、奪おうって言うなら」
僕は男の攻撃を避けて、その腕を突き刺す。
「……あああ」
男は武器を取り落として、ガックリと膝を着いた。
戦意を失ったのか、武器を拾い直そうとはしない。
「自分も奪われる覚悟をしなくちゃね。
……今だって、僕は君に殺される覚悟で戦ったよ」
「このイカレ野郎が……」
バシュ。
「お互いに自由にやった結果だ。文句は無しで頼むよ」
僕は男の首を切り裂いてトドメをさした。
「あー……ハハハ、なんだよもう終わりか。あっけな」
僕はジャケットの袖で顔に着いた血を拭う。
「さて行くか。
どうせまた信者が邪魔してくるだろうけど、返り討ちにしてやればいいし」
やりたい事は戦いじゃない、アシュリーを助ける事だ。
僕は建物へと突入した。
*
アローン君今まで割と普通の主人公だったのに一気に自由厨になっちゃった……
そんな彼も良いと思う人は応援よろしくお願いします。
僕は返り血を浴びながら呟く。
「ゴフッ……馬鹿な……報告では人殺しの覚悟すらないガキだと……やめろ……そんな冷たい目で見下すな……!」
男は血を吐き出し、自らが出した血の海に溺れている。
可哀想だと思わなくも無いが、他人への情に縛られるなんてアホらしい。
「冷たい……? そうかな。僕は自分の殻を一つ破れて気分が良いんだけど」
少し前に、
『本当に嫌な事を強制された時は何をしてでも逆らってやる』
とか決意したよね。
実際僕は他人に奪われるっていう本当に嫌な事を、
人を殺して逆らってみせた訳だ。
……自分の決めた事を実行できるってこんなに嬉しい事だったんだな。
「あー……アッハッハッハッハッ!」
笑いが止まらない。
今まで他人に奪われてきた自由や尊厳を一気に取り戻せたようだ。
「こ、コイツ人刺して笑ってやがる……! ヒイイ!」
信者が一人逃げた。
まあそんな事はどうでもいい。
だって僕は本当の意味で自由になれたんだから。
「さあさあ……今の僕は世界で一番自由なはずだよ!
そんな僕を止められるのかなぁ!?」
「うおお!」
起き上がった信者の内、一人が僕に向かって剣を振り下ろす。
その攻撃を避けて相手の懐に入り込み、ナイフで首を突き刺す。
「へ……ヒュ」
男の首に穴が空いて血が吹き出す。
なんだよ……自由にやったらこんな簡単に勝てるんだな。
今まで同じ人間だからって特別扱いしてたのが馬鹿らしくなってくる。
「う、うおおお!」
ガシッ。
「おっと」
槍を持っていた男が僕に組み付いてきた。
このままだと押し倒されちゃうな。
「えいっ」
ザスッ!
「……!?」
首の後ろ、盆のツボと呼ばれる急所に一突き。
みるみる内に掴む力は弱まっていく。
ドサッ。
「さて……最後はお前だな」
力無い死体を容易く振りほどいて、僕はナイフの男に向き合う。
「クソッ……! お前も殺しを楽しめる奴かよ……!」
「別に殺しは楽しんではないよ。
自由の素晴らしさに感動はしてるけど」
僕がそういうと、男は少し表情を曇らせた。
「……う、嘘つけよ……目はたしかに冷たいけど口元が笑ってるじゃねえか!」
「だからこれは自由にやれてるのが嬉しくて……」
「うるせええぇぇ! 俺は他人を殺すのは好きだけど
殺されそうになるのは嫌いなんだよおおお!」
男は錯乱し、僕の言葉を遮るように叫ぶ。
「ははは、クズ過ぎ。でも自由なのはいいね」
「ああああああああぁぁぁ!」
男がナイフを突き出して走ってきた。
「でもね……他人の自由を、奪おうって言うなら」
僕は男の攻撃を避けて、その腕を突き刺す。
「……あああ」
男は武器を取り落として、ガックリと膝を着いた。
戦意を失ったのか、武器を拾い直そうとはしない。
「自分も奪われる覚悟をしなくちゃね。
……今だって、僕は君に殺される覚悟で戦ったよ」
「このイカレ野郎が……」
バシュ。
「お互いに自由にやった結果だ。文句は無しで頼むよ」
僕は男の首を切り裂いてトドメをさした。
「あー……ハハハ、なんだよもう終わりか。あっけな」
僕はジャケットの袖で顔に着いた血を拭う。
「さて行くか。
どうせまた信者が邪魔してくるだろうけど、返り討ちにしてやればいいし」
やりたい事は戦いじゃない、アシュリーを助ける事だ。
僕は建物へと突入した。
*
アローン君今まで割と普通の主人公だったのに一気に自由厨になっちゃった……
そんな彼も良いと思う人は応援よろしくお願いします。
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