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第19話 約束
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「さあお客さん………こいつは一点物の珍品さ……目に嵌めたらなんと『鑑定』が使えるようになっちまう!」
「……ほほう」
街に出た僕はアシュリーのお見舞いに行く為に歩いていた。
そんな中、市場で強引な商人に捕まってしまったのだ……
けれどそれは僕にとって幸運だった。
「『鑑定の魔眼』か……」
商人の言う通り、装備すれば誰でも鑑定が使えるようになる。
先日拾った魔導書と同じタイプの装備だ。
正直、鑑定を使えるようにはなりたい……
それに金色のカラコンみたいてカッコいいし……
「どうやらお客さんはコイツの価値が解ってるみたいだな……いよし!
特別サービスとして金貨七十枚の所を金貨五十枚で譲るぜ!」
「!? よっしゃ買ったぁ!」
僕は昨日もらったギルドからの報奨金を袋ごと商人に渡し、鑑定の魔眼は購入した。
これでまた出来ることが増えたぞぉ!
*
「……それで? まんまと乗せられて全財産差し出したと」
「はい……」
どうしてこうなったのだろうか。
病院でアシュリーに鑑定の魔眼を自慢したのだが、
今僕は金銭感覚について真面目な説教をされている。
おかしいな……こういう反応は想像して無かったぞ。
「……なんかほっといたら借金してそうで心配になってきた」
「いや流石に借金はしませんよ……」
アシュリーは呆れた様な表情でこちらを見つめている。
「でもほら、これ便利だよ? 『鑑定』」
僕をそう唱えると目の前にステータスウィンドウが浮かぶ。
-----------------------------------------------------------------------------------------
名前:リバティー
種族:人間
年齢:13歳
HP:22/20→22
MP:19/18→19
腕力:10→11+7
↳攻撃力:18
体力:9→10
魔力:4→5
敏捷:21(18+3)
頑丈:13+15
↳防御力:28
スキル
格闘術Lv2
回復魔法Lv3
補助魔法Lv2
ナイフ術Lv1
縮地法
斬耐性Lv2
麻痺攻撃
光魔法Lv1
鑑定
-----------------------------------------------------------------------------------------
「ほら、こんな風に何時でも確認出来る訳だし……」
「……」
アシュリーが呆れ顔からジト目になって見つめてくる。
「もはや何も言うまい」そう言いたげだ……
「……えっと。これからは軽々しく大きい買い物はしません」
「ん」
彼女は満足気に頷いた。
「まあ、僕の事はこの辺にしておいて……」
僕は咳払いをして和やかな空気を断ち、真剣にアシュリーの目を見つめた。
「聞きたい事があるんだよ。
君の住んでる村の事だ」
「……」
そう切り出すと、彼女も雰囲気の変化を感じ取ったらしい。
朗らかな様子だったのが一転して、無表情へと変わる。
「あの村は……良い所だと思う。
優しくて、親切な人ばかりで。でも、明らかにおかしい奴が一人いるよね?」
「……」
「ソエラ。ソエラ・シージ。
あいつは何なの? なんの権利があってあんな風に……」
僕がその名を出すと、アシュリーは下を向いて顔に影を作った。
名前すら聞きたくないって感じだ。
「私が今言えるのは……彼は外からやってきた人で、本当はなんの権利も無い。そのくらい……」
アシュリーは重そうに唇を動かし、それだけ言うと顔を逸らしてしまった。
……村や彼女の様子からただ事じゃないことだけは分かる。
出来ることなら、力になりたい。
「やっぱり……話してくれない?」
「……前にも言ったと思うけど、秘密が有るのはお互い様」
そして僕が動く為には、まずこの言い分をどうにかしないといけない。
まずは僕が正直に全てを話さないと……
「お互い様……」
だけど今は駄目だ。
何も解決出来てない今話しても、
無駄に背負わせたり巻き込んだりしてしまうだけだから。
「分かった。僕なりにどうにかケリをつけてくる。
そしたら全部正直に話すからさ……アシュリーも全部話して欲しい」
「……なんでリバティーはそこまで気にかけてくれるの?」
おいおい、君がそれを言うか。
「うーん……どっちかと言うと僕が方がそれを言いたいな。
服装の事とか昇格試験とか……先に気にかけてくれたのは君の方じゃん。
僕はその恩を返したいの。それに……」
「それに?」
「友達の力になりたいんだ。その子が自分を疎かにしがちなら尚更ね」
「……分かった。約束する。リバティーが話してくれたら全部話す」
「その言葉が聞けて良かった。じゃあ早速頑張って来るよ」
僕は病室を出た。
「これでもう後には退けないな……」
パチン! 自分の両頬を叩いて気合いを入れる。
「ハウンド家の事情は解決してやる、絶対に」
*
話も盛り上がってきたので今日は二話公開です。
応援よろしくお願いします
「……ほほう」
街に出た僕はアシュリーのお見舞いに行く為に歩いていた。
そんな中、市場で強引な商人に捕まってしまったのだ……
けれどそれは僕にとって幸運だった。
「『鑑定の魔眼』か……」
商人の言う通り、装備すれば誰でも鑑定が使えるようになる。
先日拾った魔導書と同じタイプの装備だ。
正直、鑑定を使えるようにはなりたい……
それに金色のカラコンみたいてカッコいいし……
「どうやらお客さんはコイツの価値が解ってるみたいだな……いよし!
特別サービスとして金貨七十枚の所を金貨五十枚で譲るぜ!」
「!? よっしゃ買ったぁ!」
僕は昨日もらったギルドからの報奨金を袋ごと商人に渡し、鑑定の魔眼は購入した。
これでまた出来ることが増えたぞぉ!
*
「……それで? まんまと乗せられて全財産差し出したと」
「はい……」
どうしてこうなったのだろうか。
病院でアシュリーに鑑定の魔眼を自慢したのだが、
今僕は金銭感覚について真面目な説教をされている。
おかしいな……こういう反応は想像して無かったぞ。
「……なんかほっといたら借金してそうで心配になってきた」
「いや流石に借金はしませんよ……」
アシュリーは呆れた様な表情でこちらを見つめている。
「でもほら、これ便利だよ? 『鑑定』」
僕をそう唱えると目の前にステータスウィンドウが浮かぶ。
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名前:リバティー
種族:人間
年齢:13歳
HP:22/20→22
MP:19/18→19
腕力:10→11+7
↳攻撃力:18
体力:9→10
魔力:4→5
敏捷:21(18+3)
頑丈:13+15
↳防御力:28
スキル
格闘術Lv2
回復魔法Lv3
補助魔法Lv2
ナイフ術Lv1
縮地法
斬耐性Lv2
麻痺攻撃
光魔法Lv1
鑑定
-----------------------------------------------------------------------------------------
「ほら、こんな風に何時でも確認出来る訳だし……」
「……」
アシュリーが呆れ顔からジト目になって見つめてくる。
「もはや何も言うまい」そう言いたげだ……
「……えっと。これからは軽々しく大きい買い物はしません」
「ん」
彼女は満足気に頷いた。
「まあ、僕の事はこの辺にしておいて……」
僕は咳払いをして和やかな空気を断ち、真剣にアシュリーの目を見つめた。
「聞きたい事があるんだよ。
君の住んでる村の事だ」
「……」
そう切り出すと、彼女も雰囲気の変化を感じ取ったらしい。
朗らかな様子だったのが一転して、無表情へと変わる。
「あの村は……良い所だと思う。
優しくて、親切な人ばかりで。でも、明らかにおかしい奴が一人いるよね?」
「……」
「ソエラ。ソエラ・シージ。
あいつは何なの? なんの権利があってあんな風に……」
僕がその名を出すと、アシュリーは下を向いて顔に影を作った。
名前すら聞きたくないって感じだ。
「私が今言えるのは……彼は外からやってきた人で、本当はなんの権利も無い。そのくらい……」
アシュリーは重そうに唇を動かし、それだけ言うと顔を逸らしてしまった。
……村や彼女の様子からただ事じゃないことだけは分かる。
出来ることなら、力になりたい。
「やっぱり……話してくれない?」
「……前にも言ったと思うけど、秘密が有るのはお互い様」
そして僕が動く為には、まずこの言い分をどうにかしないといけない。
まずは僕が正直に全てを話さないと……
「お互い様……」
だけど今は駄目だ。
何も解決出来てない今話しても、
無駄に背負わせたり巻き込んだりしてしまうだけだから。
「分かった。僕なりにどうにかケリをつけてくる。
そしたら全部正直に話すからさ……アシュリーも全部話して欲しい」
「……なんでリバティーはそこまで気にかけてくれるの?」
おいおい、君がそれを言うか。
「うーん……どっちかと言うと僕が方がそれを言いたいな。
服装の事とか昇格試験とか……先に気にかけてくれたのは君の方じゃん。
僕はその恩を返したいの。それに……」
「それに?」
「友達の力になりたいんだ。その子が自分を疎かにしがちなら尚更ね」
「……分かった。約束する。リバティーが話してくれたら全部話す」
「その言葉が聞けて良かった。じゃあ早速頑張って来るよ」
僕は病室を出た。
「これでもう後には退けないな……」
パチン! 自分の両頬を叩いて気合いを入れる。
「ハウンド家の事情は解決してやる、絶対に」
*
話も盛り上がってきたので今日は二話公開です。
応援よろしくお願いします
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