32 / 55
第五章 クラス対抗戦!
第30話 さあ対抗戦!
しおりを挟む
ざっわざわざわ……
「えーこの学園恒例となったこの対抗戦ですが、これには長い歴史が有り……」
時の流れというのは早い物で、あっという間に対抗戦当日になってしまった。
ダラダラと長く続く校長の話のせいかあくびがそこら中から聞こえる。
だが俺の精神はかつてないほどの緊張感に包まれていて、
出るあくびも引っ込んでしまう。
「次は生徒代表の挨拶です」
司会進行役の生徒の声に導かれ、見覚えのある顔が朝礼台に上がる。
「……どうも皆さん。生徒代表兼、黄色組代表のセイラ・リドゥーです」
以前はエリトが勤めていた黄色組代表だが、
彼の転学に伴いセイラに受け継がれたようだ。
挨拶の内容は当たり障りの無い内容だったが、何度か目が合った。
彼女とは決着をつけなければならない。
それは向こうも同じ思いらしい。
「……以上、生徒代表の挨拶でした。ありがとうございました」
その後も運動会のような挨拶やスピーチが続き、俺らが行動を許されたのは
朝の九時頃の事だった。
*
「ふぅ……まだ何もやって無いのにちょっと疲れてきた……」
「お前は赤組代表の挨拶をやっただろう?」
「まぁそうだけどさ。本番はこれからじゃん?」
校庭の東側に寄せ集められた赤組達の最奥で、俺はマロンと雑談をしていた。
「念の為確認するけど、スケジュールはどんなんだっけ……」
クラス対抗戦プログラムの冊子を開き、中を確認する。
9:00~11:00
舞、大規模呪文集団詠唱等、得点に関わらない催し物。(任意参加)
11:30~13:30
赤組、青組、黄組対抗の団体戦。
13:30~14:00
昼食。
14:30~15:00
二位、三位のチームによる決勝進出を掛けた大将戦。
15:30~16:00
一位、大将戦勝利チームのリーダー同士の決戦。
勝者のチームが優勝となる。
16:30
閉会式。
……よし。大体大丈夫だな。
つまり団体戦で一位通過なら確実に決勝の決戦に出れる。
俺と奈緒の決着が着くのはそこだ。
「気合い入れないとな……」
「ああ、せっかく狙うなら優勝だな。私も本気で行く」
「はは、頼もしいよ」
*
ノーティスとマロンがそんな会話をしているちょうど反対側。
校庭の西側に集められた青組の集まりから、ノーティスを睨みつける者が居た。
「……まったく。
どいつもこいつもセイラとノーティスの事を取り上げやがって……」
彼は学生とは思えない大きな腹を揺らし、鼻を鳴らしながら
学級新聞の記事を握りつぶした。
「……ラグロさん。大丈夫ですかね?俺達は商人の集まりですし、
戦いとなると不得手ですよ……戦いが得意なマロンさんとかは
引き抜かれちゃってますし……」
「関係ないんだよそんな事!どいつもこいつも俺様なんか居ないみたいに扱いやがってた……それも今日の対抗戦で終わりだ!頼んだぞ……お前さえいれば何とかなるんだよ」
ラグロと呼ばれた青組のリーダーは隣に立っていた銀髪で細身な少年に向かって声をかける。彼は赤組の制服に身を包んでいた。
「ラグロ。任せてくれよ」
彼はただ一言だけ言って目を閉じて集中し始めた。
その様はなにか強いオーラのような物を感じさせる。
(ククク……セイラ、ノーティスの二強は今日で終わりだ……
一番すごいのはこのラグロ様だって事を教えてやるぜ……)
体型に似合わない茶髪をかきあげながら、ラグロは心の中で宣言した。
「えーこの学園恒例となったこの対抗戦ですが、これには長い歴史が有り……」
時の流れというのは早い物で、あっという間に対抗戦当日になってしまった。
ダラダラと長く続く校長の話のせいかあくびがそこら中から聞こえる。
だが俺の精神はかつてないほどの緊張感に包まれていて、
出るあくびも引っ込んでしまう。
「次は生徒代表の挨拶です」
司会進行役の生徒の声に導かれ、見覚えのある顔が朝礼台に上がる。
「……どうも皆さん。生徒代表兼、黄色組代表のセイラ・リドゥーです」
以前はエリトが勤めていた黄色組代表だが、
彼の転学に伴いセイラに受け継がれたようだ。
挨拶の内容は当たり障りの無い内容だったが、何度か目が合った。
彼女とは決着をつけなければならない。
それは向こうも同じ思いらしい。
「……以上、生徒代表の挨拶でした。ありがとうございました」
その後も運動会のような挨拶やスピーチが続き、俺らが行動を許されたのは
朝の九時頃の事だった。
*
「ふぅ……まだ何もやって無いのにちょっと疲れてきた……」
「お前は赤組代表の挨拶をやっただろう?」
「まぁそうだけどさ。本番はこれからじゃん?」
校庭の東側に寄せ集められた赤組達の最奥で、俺はマロンと雑談をしていた。
「念の為確認するけど、スケジュールはどんなんだっけ……」
クラス対抗戦プログラムの冊子を開き、中を確認する。
9:00~11:00
舞、大規模呪文集団詠唱等、得点に関わらない催し物。(任意参加)
11:30~13:30
赤組、青組、黄組対抗の団体戦。
13:30~14:00
昼食。
14:30~15:00
二位、三位のチームによる決勝進出を掛けた大将戦。
15:30~16:00
一位、大将戦勝利チームのリーダー同士の決戦。
勝者のチームが優勝となる。
16:30
閉会式。
……よし。大体大丈夫だな。
つまり団体戦で一位通過なら確実に決勝の決戦に出れる。
俺と奈緒の決着が着くのはそこだ。
「気合い入れないとな……」
「ああ、せっかく狙うなら優勝だな。私も本気で行く」
「はは、頼もしいよ」
*
ノーティスとマロンがそんな会話をしているちょうど反対側。
校庭の西側に集められた青組の集まりから、ノーティスを睨みつける者が居た。
「……まったく。
どいつもこいつもセイラとノーティスの事を取り上げやがって……」
彼は学生とは思えない大きな腹を揺らし、鼻を鳴らしながら
学級新聞の記事を握りつぶした。
「……ラグロさん。大丈夫ですかね?俺達は商人の集まりですし、
戦いとなると不得手ですよ……戦いが得意なマロンさんとかは
引き抜かれちゃってますし……」
「関係ないんだよそんな事!どいつもこいつも俺様なんか居ないみたいに扱いやがってた……それも今日の対抗戦で終わりだ!頼んだぞ……お前さえいれば何とかなるんだよ」
ラグロと呼ばれた青組のリーダーは隣に立っていた銀髪で細身な少年に向かって声をかける。彼は赤組の制服に身を包んでいた。
「ラグロ。任せてくれよ」
彼はただ一言だけ言って目を閉じて集中し始めた。
その様はなにか強いオーラのような物を感じさせる。
(ククク……セイラ、ノーティスの二強は今日で終わりだ……
一番すごいのはこのラグロ様だって事を教えてやるぜ……)
体型に似合わない茶髪をかきあげながら、ラグロは心の中で宣言した。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
転生したらやられ役の悪役貴族だったので、死なないように頑張っていたらなぜかモテました
平山和人
ファンタジー
事故で死んだはずの俺は、生前やりこんでいたゲーム『エリシオンサーガ』の世界に転生していた。
しかし、転生先は不細工、クズ、無能、と負の三拍子が揃った悪役貴族、ゲルドフ・インペラートルであり、このままでは破滅は避けられない。
だが、前世の記憶とゲームの知識を活かせば、俺は『エリシオンサーガ』の世界で成り上がることができる! そう考えた俺は早速行動を開始する。
まずは強くなるために魔物を倒しまくってレベルを上げまくる。そうしていたら痩せたイケメンになり、なぜか美少女からモテまくることに。
美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
【完結】元・おっさんの異世界サバイバル~前世の記憶を頼りに、無人島から脱出を目指します~
コル
ファンタジー
現実世界に生きていた山本聡は、会社帰りに居眠り運転の車に轢かれてしまい不幸にも死亡してしまう。
彼の魂は輪廻転生の女神の力によって新しい生命として生まれ変わる事になるが、生まれ変わった先は現実世界ではなくモンスターが存在する異世界、更に本来消えるはずの記憶も持ったまま貴族の娘として生まれてしまうのだった。
最初は動揺するも悩んでいても、この世界で生まれてしまったからには仕方ないと第二の人生アンとして生きていく事にする。
そして10年の月日が経ち、アンの誕生日に家族旅行で旅客船に乗船するが嵐に襲われ沈没してしまう。
アンが目を覚ますとそこは砂浜の上、人は獣人の侍女ケイトの姿しかなかった。
現在の場所を把握する為、目の前にある山へと登るが頂上につきアンは絶望してしてしまう。
辺りを見わたすと360度海に囲まれ人が住んでいる形跡も一切ない、アン達は無人島に流れ着いてしまっていたのだ。
その後ケイトの励ましによりアンは元気を取り戻し、現実世界で得たサバイバル知識を駆使して仲間と共に救助される事を信じ無人島で生活を始めるのだった。
※この作品は「小説家になろう」さん、「カクヨム」さん、「ノベルアップ+」さん、「ノベリズム」さんとのマルチ投稿です。
世界最強の勇者は伯爵家の三男に転生し、落ちこぼれと疎まれるが、無自覚に無双する
平山和人
ファンタジー
世界最強の勇者と称えられる勇者アベルは、新たな人生を歩むべく今の人生を捨て、伯爵家の三男に転生する。
しかしアベルは忌み子と疎まれており、優秀な双子の兄たちと比べられ、学校や屋敷の人たちからは落ちこぼれと蔑まれる散々な日々を送っていた。
だが、彼らは知らなかったアベルが最強の勇者であり、自分たちとは遥かにレベルが違うから真の実力がわからないことに。
そんなことも知らずにアベルは自覚なく最強の力を振るい、世界中を驚かせるのであった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる