【BL】【R18】金がないのでヴァンパイアに血と体を売ってる人間の話

28 告白

「ノイスもあいつのことが好きなの？」

そう言ってルークは俺の瞳を覗き込んだ。瞳の奥に光はない。

「ちが…」

「ロウがだぁいすきって言ってたけど？」

すると彼はわざとアホっぽくそう言った。もしかして俺のマネだろうか。

「ふはっ」

「何笑ってるの？」

思わず吹き出すと彼は眉をひそめた。だってそのモノマネは悪意がありすぎる。
笑いのツボに入ってしまった俺はケラケラとお腹をかかえて笑った。

「ルークっ…そんなアホそうな顔できるんだなって思って…あははっ」

俺の笑い声につられて、ムスッとしていた彼も口の端が引きつった。そしてふっと笑みを溢す。

「はぁーーー」

ルークは大きくため息をつくと腰を引いた。ぢゅぼっと音がしてちんぽが引き抜かれる。

「んぅっ」

そしてそのまま俺の上へと覆いかぶさってきた。

「重いって」

「なーんか怒ってるのがバカらしくなった」

「やっぱり怒ってたんだ。迷惑かけてごめんな」

「そうじゃない。迷惑とか思ったことないから」

「そっか」
ならなんでそんなに不機嫌だったんだろう。俺がぐるぐる考えを巡らしている間彼は一言も喋らなかった。
しばらく部屋に沈黙がおとずれる。

そのとき、思いもよらない言葉が聞こえた。

「僕もノイスに大好きって言われたいんだけど」

「へ？」

天井を向いていた視線を彼の方へ移す。とはいっても俺の上にうつ伏せになっているから表情は見えない。

「始めはさ。血を飲むだけでよかったんだ。気が合うし一緒にいて楽しくて」

するとポツポツと呟くように彼は話し始めた。

「でも、ノイスのことを知っていくうちにどんどん惹かれていって、もっと一緒にいたいなって思うようになった。だからすごく困った」

「う、うん…」

「僕には親が決めた婚約者がいるから、本気にならないように頑張ってたんだけどね。やっぱり諦めきれないんだ」

それって。

「僕はノイスが好き」

ルークははっきりとそう告げた。

俺が好き？
頭は混乱しているのに、何故か好きという言葉はストンと胸の奥に落ちた。

「君が他の人と楽しそうにするのが嫌だ。君のことを好きなのは僕だけでいい」

心臓がバクバクした。こんなにくっついていて聞こえないだろうか。

「ずっと前からノイスが好きなんだ…」

「で、でも…シャーロットさんは」
婚約者さんは？あんなに仲良さそうだったのに。
思わず俺は彼の言葉を遮った。

「シャーロットさんとの婚約は親が勝手に決めたことだからお互い恋愛感情はないよ」

「そう…なんだ」

「彼女は凄く優しい人だから、必死に歩み寄る努力をしてくれた。でも昨日打ち明けたんだ」

「う…うん」
俺は戸惑いながらも彼の話に耳を傾けた。

「俺には好きな人がいるんですって。そしたら彼女笑ってた。そうだと思いましたって」

彼は上体を起こすと視線をあわせた。サラリと彼の金髪が揺れる。

「俺とシャーロットさん似ているんだって」

「というと…？」

「彼女にも好きな女性がいるらしい」

好きな女性ってことは…。そっかシャーロットさんも同性愛者だったんだ。

「婚約は破棄することにしたんだ。やっぱり自分の人生だから自分で決めたいって。君と出会ってそう思うようになった」

「ねぇノイス」
彼はベッドの上に正座をするとまっすぐにこちらを見つめた。

「僕は、体だけじゃなくてノイスの心がほしい」

「君の、ことが好きです。僕と付き合ってくれませんか」

ドクンと心臓がはねた。そして心の中に温かいものがじんわりと広がる。

かぁーっと顔が赤くなった。

好きという言葉は何度も頭の中で反響する。




そっか俺ルークのことが好きだったんだ。

だから彼が婚約者さんと一緒にいるとき心が痛かったのか。

そのとき俺はやっと自分の気持ちに気がついた。