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26 お友達 ★ロウ視点
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ようやく学校のチャイムがなった。もうすぐ文化祭は終わりの時間だ。本来ならばクラスに帰って片付けをしないといけないけど、今はそんな余裕はない。
ずっと欲しかったものが手に入るチャンスなのだから。
ノイスを背負って歩いているとようやく昇降口が見えてきた。
しかし後ろから声がかけられる。
「ノイス?」
振り返るとそこにいたのはルーク先輩だった。彼は怪訝そうにこちらへ駆け寄るとノイスの肩を叩いた。
チッ。タイミングが悪い…。
「先輩…」
「彼、具合悪いの?熱は?」
先輩は心配そうに俺に尋ねた。
「えっと」
「んーふぁあ…」
すると背中で大きくあくびする声が聞こえた。
ノイスはグデーっと俺の背中に張り付いている。
「熱はないみたいだけど…どうしたの?眠いの?」
「んーー…」
先輩の問いかけに彼は眠たそうに返事をした。
「そっか、じゃあ僕と帰ろう?一応病院連れて行くから。ロウくんありがとね。後は僕にまか…」
ルークはノイスを引き取ろうと彼の腰に手を回した。
「やだっ」
しかし彼は一向に俺から離れようとしない。
「やだやだっ」
「ロウくんに迷惑かかるから」
「やだっロウから離れたくないっ」
そう駄々をこねて強く抱きついてきた。
すると先輩は驚いたように目を見開く。ちょっとした優越感で心臓が跳ねた。
「こう言ってるので…俺が送ります」
そう歩き出そうとしたところを先輩はなお引き止めた。
「なんで?」
顔を曇らせノイスの肩を強くつかむ。なんとなく背筋がヒヤッとした。
「ロウがぁだぁーーーいすきだから!」
しかし惚れ薬を飲んでいる彼にその空気が伝わるはずもなく…。大声でそう叫ぶと俺の首に頬を寄せた。その様子を見て先輩は心底不快そうに顔を歪めた。
「帰るよ」
そして聞いたこともないほど低い声で一言。
「やだって!」
ルークはノイスを無理やり引き剥がそうとするが背中から降りる気配は一向にない。
ん?帰るってなんだ…?
「ねぇもしかして彼に何か飲ませた?酒とか」
ふと先輩はこちらを睨みつけた。
「いえ…間違えて惚れ薬の飴食べたんです」
「はぁ…なるほどね。わかった。今から解毒薬買いに行くからそこのベンチで待ってて」
先輩は廊下のベンチを指差すと駆け足で去っていった。
さてどうしようか。本音を言えばノイスにはずっとこのままでいてほしい。連れて帰りたい。
でもやっぱり双方の合意でするのが一番か…。ノイスの悲しむ顔は見たくない。
先輩と会話して少し頭が冷静になってきた。
もしも告白したら付き合ってくれるかな…。
俺はノイスを背中から降ろしベンチに座った。すると、俺の膝の上に座ってニコニコしながら視線を合わせてくる。
かわいい。
「はぁーぁ。あと少しだったのになぁ」
「なにがぁー?」
キョトンとしながらノイスは頬をつついた。
「なんでもなーい」
もしも恋人になれたらこのぐらい甘えてくれるのかな。そんな空想に思いを馳せていると、ルーク先輩が返ってきた。はやかったな。
「はぁ、はぁ…」
息を切らしている。だいぶ急いでくれたようだ。先輩は俺の横に腰を下ろすと、飴の袋を破った。
そしてノイスの腰を掴み、自身の膝へと座らせる。
「これ食べて」
先輩は透明な飴を口元へ近づけた。
「んーーっやだっやだっ」
唇に押し付けたり食べるよう促すが、なかなか口を開けないので苦戦しているようだ。
「ノイス」
先輩が低い声で急かす。
「ロウっ助けて」
しかし俺にぞっこんの彼は困り顔でこちらへ手を伸ばした。
「チッ」
え?今誰か舌打ちしなかった?気のせいか?
ルーク先輩は大きくため息をつくと観念したように飴を口に放り込んだ。それをばりばりと歯で砕く。
なんで食べて…。そして。
そして、無理やりノイスの顎を掴むとキスをした。
「は」
いきなりのことに頭が真っ白になる。
「ん…んむっぅ…うぅ」
ルークは膝の上に座る彼を後ろから抱きしめ、ばたつかせる手足を拘束した。
左手で嫌がる両手を一つにまとめ上げ右手で顎をつかむ。
「…ぁぅ…っ」
行動を制限されたノイスはビクビクと体を揺らし声を漏らした。
ルークは砕いた飴をノイスへと口移しで流し込むと舌を絡める。
唇の間から赤い舌がちらりと見えた。しかし視線はずっとこちらを向いている。まるで見せつけるかのように濃厚なキスをした。
これは…牽制…?
ノイスはルーク先輩のこと友達とか言ってたけど絶対嘘だろ。友達というよりかは…。
ずっと欲しかったものが手に入るチャンスなのだから。
ノイスを背負って歩いているとようやく昇降口が見えてきた。
しかし後ろから声がかけられる。
「ノイス?」
振り返るとそこにいたのはルーク先輩だった。彼は怪訝そうにこちらへ駆け寄るとノイスの肩を叩いた。
チッ。タイミングが悪い…。
「先輩…」
「彼、具合悪いの?熱は?」
先輩は心配そうに俺に尋ねた。
「えっと」
「んーふぁあ…」
すると背中で大きくあくびする声が聞こえた。
ノイスはグデーっと俺の背中に張り付いている。
「熱はないみたいだけど…どうしたの?眠いの?」
「んーー…」
先輩の問いかけに彼は眠たそうに返事をした。
「そっか、じゃあ僕と帰ろう?一応病院連れて行くから。ロウくんありがとね。後は僕にまか…」
ルークはノイスを引き取ろうと彼の腰に手を回した。
「やだっ」
しかし彼は一向に俺から離れようとしない。
「やだやだっ」
「ロウくんに迷惑かかるから」
「やだっロウから離れたくないっ」
そう駄々をこねて強く抱きついてきた。
すると先輩は驚いたように目を見開く。ちょっとした優越感で心臓が跳ねた。
「こう言ってるので…俺が送ります」
そう歩き出そうとしたところを先輩はなお引き止めた。
「なんで?」
顔を曇らせノイスの肩を強くつかむ。なんとなく背筋がヒヤッとした。
「ロウがぁだぁーーーいすきだから!」
しかし惚れ薬を飲んでいる彼にその空気が伝わるはずもなく…。大声でそう叫ぶと俺の首に頬を寄せた。その様子を見て先輩は心底不快そうに顔を歪めた。
「帰るよ」
そして聞いたこともないほど低い声で一言。
「やだって!」
ルークはノイスを無理やり引き剥がそうとするが背中から降りる気配は一向にない。
ん?帰るってなんだ…?
「ねぇもしかして彼に何か飲ませた?酒とか」
ふと先輩はこちらを睨みつけた。
「いえ…間違えて惚れ薬の飴食べたんです」
「はぁ…なるほどね。わかった。今から解毒薬買いに行くからそこのベンチで待ってて」
先輩は廊下のベンチを指差すと駆け足で去っていった。
さてどうしようか。本音を言えばノイスにはずっとこのままでいてほしい。連れて帰りたい。
でもやっぱり双方の合意でするのが一番か…。ノイスの悲しむ顔は見たくない。
先輩と会話して少し頭が冷静になってきた。
もしも告白したら付き合ってくれるかな…。
俺はノイスを背中から降ろしベンチに座った。すると、俺の膝の上に座ってニコニコしながら視線を合わせてくる。
かわいい。
「はぁーぁ。あと少しだったのになぁ」
「なにがぁー?」
キョトンとしながらノイスは頬をつついた。
「なんでもなーい」
もしも恋人になれたらこのぐらい甘えてくれるのかな。そんな空想に思いを馳せていると、ルーク先輩が返ってきた。はやかったな。
「はぁ、はぁ…」
息を切らしている。だいぶ急いでくれたようだ。先輩は俺の横に腰を下ろすと、飴の袋を破った。
そしてノイスの腰を掴み、自身の膝へと座らせる。
「これ食べて」
先輩は透明な飴を口元へ近づけた。
「んーーっやだっやだっ」
唇に押し付けたり食べるよう促すが、なかなか口を開けないので苦戦しているようだ。
「ノイス」
先輩が低い声で急かす。
「ロウっ助けて」
しかし俺にぞっこんの彼は困り顔でこちらへ手を伸ばした。
「チッ」
え?今誰か舌打ちしなかった?気のせいか?
ルーク先輩は大きくため息をつくと観念したように飴を口に放り込んだ。それをばりばりと歯で砕く。
なんで食べて…。そして。
そして、無理やりノイスの顎を掴むとキスをした。
「は」
いきなりのことに頭が真っ白になる。
「ん…んむっぅ…うぅ」
ルークは膝の上に座る彼を後ろから抱きしめ、ばたつかせる手足を拘束した。
左手で嫌がる両手を一つにまとめ上げ右手で顎をつかむ。
「…ぁぅ…っ」
行動を制限されたノイスはビクビクと体を揺らし声を漏らした。
ルークは砕いた飴をノイスへと口移しで流し込むと舌を絡める。
唇の間から赤い舌がちらりと見えた。しかし視線はずっとこちらを向いている。まるで見せつけるかのように濃厚なキスをした。
これは…牽制…?
ノイスはルーク先輩のこと友達とか言ってたけど絶対嘘だろ。友達というよりかは…。
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