【BL】【R18】金がないのでヴァンパイアに血と体を売ってる人間の話

ペーパーナイフ

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4 初吸血

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翌日俺は街で特殊な素材でできた人工の牙を2本購入した。
それをロウ様の元へと持っていくと、彼はひどく嫌そうな顔をした。

「入れ歯なんて絶対に嫌だ!」

「入れ歯じゃないです。犬歯に装着するだけで牙になるんですって」

「入れ歯みたいなものだろ!」

「牙が生えるまでの練習ですよ。ほら怖くないですから」
俺は無理やり口を開けさせる。

「別に!怖がってるわけじゃないっ」
すると彼は渋々牙を装着してくれた。

中性的な顔に大きな牙はよく似合っていた。
手鏡を渡してみると、彼は見惚れたように自分の歯を眺めた。
「まぁ、大きな牙も悪くはないな」

なんか少し可愛い。俺は思わず吹き出した。

「ふっ」

それにロウ様はムッとする。

「なに笑ってるんだよ。今日は昨日の分たくさん飲んでやるから覚悟しとけ」

そう言って俺をベッドまで連れて行くと、押し倒した。ギシッとベッドに乗り上げ俺の上に跨がる。

俺のシャツのボタンを外そうとするがうまくできないみたいで少し戸惑っている。
彼は時間をかけて第4ボタンまで外すと、耳元から鎖骨にかけて首筋に指を這わせた。

「どこを噛めばいい」

「どこでも大丈夫ですよ」

彼は俺の首にゆっくりと唇を近づけると、舌で軽くペロリと舐める。

「ここ、ここを噛むからな」
温かい吐息が首をくすぐる。

「ん…っはい…」

そして噛み付いた。
がぶりと思い切り動脈に牙を突き刺したためか、血がぶしゃっと勢いよく吹き出し彼の顔を汚した。

「いだっ」

「わっ」
血が思いの外飛び散ったことに驚いたのか彼は急いで傷口を舌で塞いだ。

「んぅ…っっ」
痛みに涙が滲む。ルークがどれだけ吸血が上手いのか改めて感じた。

「すごい…出てくる」
彼は激しく舌を動かし溢れ出る血を舐め取った。

や、やばい。いつもルークがいくときに噛むからこの体勢で噛まれると夜のことを思い出してしまう。

じゅるじゅると血を飲む音が聞こえる。
そしてはぁはぁと少し荒い呼吸が耳をくすぐった。

俺は無意識に腰を揺らして足を擦りつけた。やばい気持ちいいっ。
奥を激しく突くあの感覚を思い出すと中がじんじんとしてきた。

彼が傷口をぬるぬるした舌で擦るから…。

「あぁ…っ」
思わず声が出てしまった。

それに気づいた彼がバッと顔を上げる。
蜂蜜色の瞳が間近で大きく見開かれた。

「…っ」
俺の表情をみて彼はごくりと喉を鳴らす。


「き、傷口塞がったから!今日はもう帰れ!」

「え」

「はやく!」
そしてくるりと俺に背中を向けると怒鳴った。
やばいこれはやってしまった…。
気持ち悪いと思われたかもしれない。

「あのえっと…ごめんなさい」

恥ずかしさと困惑から早くこの場を後にしたくて急いでドアの方へ向かいペコリと頭を下げた。

「…」


しかしドアを閉める寸前、
「また明日もこい」

彼はそう言った。
え、また来てもいいのか?
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