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18 番

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「こんなことだろうと思った」


その時だった。いきなり部屋のドアが開かれた。

そして会長と女の人が入ってくる。あれ?あの人は確か廊下であった外人の方…?

会長は俺のもとへ駆け寄るとレイマを引き剥がした。
レイマは床に投げ飛ばされ尻餅をつく。

彼は俺の顔を覗き込んで、

「間に合ってよかった…」
心底ホッとした表情でそういった。

「かえせ!僕のナギだ」
レイマが下から会長を睨みつけ吠えた。


「発情促進剤を使って無理やり番になろうとするのは立派な犯罪だ」
それを会長は冷たく一蹴する。

促進剤?どうりでさっきから体が熱いのか。

「それにお前にはもう番がいるだろう」

「レイマ!」
その時金髪の女性がレイマのもとへ駆け寄った。

「な、なんでここに…」
彼は明らかに動揺している。

「運命をほっておいて浮気か」

「うるさい!ナギは別だ!」

「レイマ、浮気したの?ねぇ、私レイマの彼女だよね?ならなんで連絡くれないの?日本に帰ってから電話全然してくれないし数ヶ月前の別れ話私納得してないよ」

「…っ」

「私ね、会長さんから連絡があったの。レイマが浮気してるかもしれないって。だからわざわざ日本に来たんだよ。今日もここにレイマがいるって教えてもらったから飛んできたんだ。ねぇレイマちゃんとお話しようよ」

「…」

「私達運命だよね?ならなんで浮気するの?他のΩに目移りしないように教え込まないとかな」

「ひっ」
美女は早口でまくしたてるとレイマに詰め寄った。

「キリさん。ねぇ今晩はここに泊まっていいかな。代わりに私のお部屋使っていいから。レイマと夜通しお話したいの」

「ええ、勿論大丈夫です。ナギ、行くぞ」

会長はそう言って俺を抱き上げた。そのまま部屋を出る。

彼からはとても落ち着く香りがした。なんだこれ。頭がボーッとして彼のことしか考えられない。
顔も声も、細身なのにしっかりした体も、匂いも彼の全部に心臓がドキドキする。

俺は無意識に彼の首へ腕を回した。

「かいちょ…」


彼は鍵を使って部屋に入ると俺をそっとベッドに寝かせた。

じっと熱っぽい瞳で俺を見つめる。暫く視線が絡みあった。
「かいちょう…」

「ナギ…」

たったそれだけなのに息があがる。
俺は彼の手を取り軽くひっぱった。

「抱いて…」
さっきから彼が欲しくて欲しくて体がムズムズしている。体の全部が彼を求める。彼が運命だとさっきから心臓がうるさい。早く触って欲しい。俺のα。

「…いいのか」

「うん…」

「熱に浮かされているだけで後で後悔しないか」

「しない、キリがほしい」

「わかった。ようやくお前を手に入れることができる」

キリはゆっくりとベッドにあがった。
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