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「お前…」


生徒会長の他に生徒会の方々も一緒にいた。
「あれ?会長の知り合いですか?」
可愛らしいΩの小柄な男の子が会長に話しかける。彼は副会長だ。よく会長とお似合いだと噂されている人。

「あぁ、お前なんでこんなところにいるんだ」
それはこっちのセリフだ。

「俺たちは旅行に来てて…生徒会の方々もですか?」
俺の問いかけに副会長が答える。

「そうだよ~奇遇だね。夏休みだから遊びに行くことにしたんだぁ」
たまたま同じ日に同じ宿で鉢合わせるなんてすごい偶然だな。俺は会長をまじまじと見つめる。夏休み前の事件から長らく顔を合わせてなかった気がする。

彼は俺が手に持った部屋の鍵番号をちらりと見て眉をひそめた。

「お前らもしかして同じ部屋とってるのか?」

「う、うん」
俺の返事に彼は明らかに嫌そうな顔をする。
『あまり嫉妬させないでくれ』
この前の発言が頭をよぎる。俺はなんだか申し訳ない気持ちになった。


「ちょっと来い」
彼はそう言って俺の手を引くと、皆と少し離れたところまで連れて行った。

「お前はもっとΩとしての自覚を持て。チョーカーも何故つけない」
周りに人がいないことを確認すると、会長は俺の首にそっと触れる。

「いや、一応持ってはいるんだけど…」
でもつけるのなんか嫌なんだよな。一応今はβだし。チョーカーなんかつけてたら自意識過剰みたいじゃん…。

「お前はいつΩになるかわからないんだよな。αと一緒の部屋にいてもしものことがあったらどうする」

「いや、レイマは友達だから!」
彼の目を見てはっきり友達だと宣言した。
長年付き合ってるけど危険なことなんて無かったし。

「はぁーー」
彼は大きくため息をついた。

「だめだ。俺が別の部屋を取るからそっちに泊まれ」

「いいってばっ」
会長にそこまで面倒見てもらうのも申し訳なくて手を振り払った。
レイマに襲われるなんてことないだろ。
なんか好きな人いるっぽいし。

「おいっ」

「大丈夫ちゃんとチョーカーはつけるよ」
俺はそう言ってレイマたちのもとへ戻った。

後ろで会長がなにか言っているが聞こえない。
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