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14 放送室にて ※
しおりを挟む「なんでお前がこんなところに…」
上から低い声が降ってくる。
その声の持ち主はキリ生徒会長だった。
会長は屈むと俺に視線を合わせてくる。
それはこっちのセリフだ。なんでこんなところに。さっきの怒鳴り声は生徒会長のだったのか。
彼はその場で俺を抱きしめると肩に頭を擦り付けてきた。
「え」
「お前…。すごいい匂いする…Ωに戻ったのか?」
彼は震えた声で背中に腕をまわす。
え、俺もしかして発情してるのか。そういえばさっきから感じるめまいや体の火照りは発情期の症状と似ている。βになって数ヶ月経つからすっかり忘れていた。
「やばい…お前の…フェロモンで理性飛びそう はぁ…ナギ…」
彼は肩に体重をかけてくる。
そういう彼からもさっきから強いαのフェロモンを感じている。
どういうことだ。βの俺に発情期がきた?なんで…。しかもアオイたちはなんでここにいたんだ。頭がぐるぐるする。
会長もだいぶ息が荒い。これやばいのでは…。密室で発情期のΩとヒートのα。
逃げないと…。そう思っても体はうまく動かなかった。
会長は顔を赤らめながらネクタイを解いた。少し汗ばんだ首はとても煽情的だ。
「ナギ噛ませて」
彼ははっきりと俺の目を見てそういった。余裕がない表情だった。
その言葉に心臓を掴まれたような感覚がした。
でも俺は首を横に振る。
「はぁ、はぁ…い、今…Ωかもしれない…」
「だめか?」
「…」
本当は彼に噛んでほしくてたまらないけど…。でもこんな形で番ってしまったら絶対後で後悔するはずだ。
俺はうつむいた。
すると彼はネクタイを手に取る。そしてそれを俺の首に巻き付けてきた。
「悪い 俺…結構余裕ないみたいだ。できるだけ耐えるがもしものことがあったら逃げてくれ…」
逃げてくれと言うのに彼は俺の腕をきつく掴んでいる。
そして会長はズボンの前を緩めると大きく勃ったものを取り出した。
「…っ」
そのまま深く口づけをしてくる。
ぴちゃぴちゃと唾液の音がして…俺たちは夢中で舌を絡めた。気持ちいい。気持ちいい。もっとほしいもっともっと…。
「…っう…」
彼はキスをしながら右手で自身を慰めた。
「ナギ…」
名前を呼ばれ首元の匂いをかがれる。
彼は鎖骨や肩付近にさっきから歯をたてているがうなじには触れなかった。
ヒート中のαは理性を保つことができないと聞く。なのに。俺が断ったのをちゃんと聞いてくれている?
お互いの唇をなめ、舌を絡めながら見つめ合う。
彼は深いキスをしながら自分の手に白い液を吐き出した。
「…はぁ…」
びゅくびゅくと大量の精液がでている。
彼は長いまつげを伏せ気持ちよさそうに眉を寄せた。
その表情がとても色っぽくて目が離せなくなった。
しばらくすると彼はまた目を開けキスを再開する。
「だめだ…おさまりそうにない。悪いが出ていってくれ」
そして苦しそうに肩を押した。
「…っ」
俺はどうにか立ち上がりドアへ向かう。
一瞬彼が俺の手を強く掴んだ。欲情した顔で苦しそうにこちらを見ている。
しかしその手はすぐに離された。
俺はためらいながらも廊下へ飛びでた。
その後保健室に行き、抑制剤を飲んだことで症状は落ち着いた。
もしもあのとき噛まれていたら番になっていたのだろうか。
やつのことだから噛まれるかと思ったのに噛まれなかった。
辛い中必死に耐えて最後は本能に逆らい逃してくれた。本当はいいやつなのか…?
あのとき、Ωに戻ったときの彼の匂いが忘れられない。今までかいだどの匂いよりも心地よくて…。いつもよりはっきりとαの匂いを感じたんだ。
キスもすごく気持ちよかった。体がこの人だと叫んでいた。
俺は今βだから気づかないだけで本当に会長が俺の運命なのか…?
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