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13 事件発生
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ある日のことだった。昼休み、いつものようにレイマと食事に行こうと席をたったところをアオイに引き止められた。
「ねぇ」
アオイは前の席に座り、足を組むと俺の方を振り返った。香水だろうか。お花のいい匂いがした。
「なに…?」
また何か面倒なことを頼まれるのだろうか。彼と関わるとろくなことがない気がする。いやいやながら返事をすると彼は俺をきつく睨みつけた。
「君、生徒会長様のなんなの」
ほらね。
「なんでもないよ。顔見知りってだけで…」
「嘘でしょ。トークだってみんなブロックされたのに君だけまだやり取りしてるじゃん!」
やり取りはしてない。勝手に送られてくるだけだ。というか人のスマホ勝手に見るなよ…。
「βのくせに調子乗ってない?」
アオイが馬鹿にするように口の端を上げた。
「…」
「まぁいいや。平凡βなんてΩに勝てないってことわからせてやるよ」
そう言って彼は去っていった。
その後あんな事件が起こるなんて全く想定していなかったんだ。
放課後のことだった。
俺は先生に頼まれて資料を放送室に取りに行くことになった。面倒な雑用を押し付けられてしまった。
放送室はΩ棟にある。長い廊下を歩きようやく到着した。
あれ?鍵が開いてる?
ドアノブに手をかけると何故か鍵があいていた。おかしいな。鍵はあいてないからと言われて職員室までわざわざ取りに行ったのに…。もしかして誰かいるのだろうか?でもこんな放課後に一体誰が…。
俺はおそるおそるドアを引く。すると
「出ていけ!!」
バンッッ
「ひっ」
誰かの怒鳴り声が中から聞こえた。同時に強く壁を叩く音もした。や、やばいやばいやっぱり誰かいたんだ。入ってくるなってことか。
俺は急いでドアを閉めて廊下へ出た。
すると勢いよくドアが開き、誰かが飛び出してくる。
「うわっ」
危うくぶつかるところだった。あっぶないなぁ。
走り去る後ろ姿は見覚えのある人物だった。
あれってアオイ…?彼が通ったあとは甘い甘い花の香りがする。昼とは比べ物にならないぐらいの香りに頭がくらくらした。
突如足に力が入らなくなって俺はその場にへたり込む。
何故かわからないけど視界が霞んだ。廊下がぐにゃりと歪んで体が重い。はぁはぁはぁと耳元で聞こえる大きな呼吸音が自分のものだと気づいた。
体が熱い。
どうしよう誰かに助けてもらわないと倒れそうだ。いきなりの体調不良に俺はパニックになっていた。そういえばさっき放送室の中に誰かいたような気がする…。
俺は残りの力を振り絞ってドアを開けた。
放送室は密室だからかすごい花の香りが充満している。
ドアを閉めもたれかかるように座った。
誰か…。
するとコツコツと足音が前から近づいてきた。
よかった。やっぱり誰かいたんだ!
「ねぇ」
アオイは前の席に座り、足を組むと俺の方を振り返った。香水だろうか。お花のいい匂いがした。
「なに…?」
また何か面倒なことを頼まれるのだろうか。彼と関わるとろくなことがない気がする。いやいやながら返事をすると彼は俺をきつく睨みつけた。
「君、生徒会長様のなんなの」
ほらね。
「なんでもないよ。顔見知りってだけで…」
「嘘でしょ。トークだってみんなブロックされたのに君だけまだやり取りしてるじゃん!」
やり取りはしてない。勝手に送られてくるだけだ。というか人のスマホ勝手に見るなよ…。
「βのくせに調子乗ってない?」
アオイが馬鹿にするように口の端を上げた。
「…」
「まぁいいや。平凡βなんてΩに勝てないってことわからせてやるよ」
そう言って彼は去っていった。
その後あんな事件が起こるなんて全く想定していなかったんだ。
放課後のことだった。
俺は先生に頼まれて資料を放送室に取りに行くことになった。面倒な雑用を押し付けられてしまった。
放送室はΩ棟にある。長い廊下を歩きようやく到着した。
あれ?鍵が開いてる?
ドアノブに手をかけると何故か鍵があいていた。おかしいな。鍵はあいてないからと言われて職員室までわざわざ取りに行ったのに…。もしかして誰かいるのだろうか?でもこんな放課後に一体誰が…。
俺はおそるおそるドアを引く。すると
「出ていけ!!」
バンッッ
「ひっ」
誰かの怒鳴り声が中から聞こえた。同時に強く壁を叩く音もした。や、やばいやばいやっぱり誰かいたんだ。入ってくるなってことか。
俺は急いでドアを閉めて廊下へ出た。
すると勢いよくドアが開き、誰かが飛び出してくる。
「うわっ」
危うくぶつかるところだった。あっぶないなぁ。
走り去る後ろ姿は見覚えのある人物だった。
あれってアオイ…?彼が通ったあとは甘い甘い花の香りがする。昼とは比べ物にならないぐらいの香りに頭がくらくらした。
突如足に力が入らなくなって俺はその場にへたり込む。
何故かわからないけど視界が霞んだ。廊下がぐにゃりと歪んで体が重い。はぁはぁはぁと耳元で聞こえる大きな呼吸音が自分のものだと気づいた。
体が熱い。
どうしよう誰かに助けてもらわないと倒れそうだ。いきなりの体調不良に俺はパニックになっていた。そういえばさっき放送室の中に誰かいたような気がする…。
俺は残りの力を振り絞ってドアを開けた。
放送室は密室だからかすごい花の香りが充満している。
ドアを閉めもたれかかるように座った。
誰か…。
するとコツコツと足音が前から近づいてきた。
よかった。やっぱり誰かいたんだ!
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