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6 運命とか心当たりないです…

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運命ってなんだっけ。運命の番のことか。それって確かαとΩが惹かれ合うあれだよな。出会った瞬間に匂いでわかるってやつ。いや、まったく身に覚えがないんだが…。


キリは俺の首筋に顔を埋めるとスンスン匂いを嗅いでいる。少しくすぐったい。

「俺の匂いはわかるか?」

会長の匂い…。
「なんかシトラスみたいなのはするけど…」
そんなに強く感じたことはない。

「あと俺βだから多分人間違いだと思うよ…」
ようやく頭が回ってきた。

「間違えるわけないだろ」
生徒会長は俺の額をコツコツ指でつつく。
 
「お前については調べた。もともとΩなんだろ。俺がΩにもどしてやる」

え…。じょ、冗談じゃない…っ。俺は平凡なβでいたいんだよ。なんで…。

「俺βでいいです…」

「お前がβでいたくてもΩにする」

「なんで…」

「俺の運命だからだ。番にしたい」

いや、そんなこと言われても…。毎回襲われてたのは運命だからなのか?
でもいまいちピンとこない。

俺は困惑して彼を見つめた。

さあ、どうやってここから逃げようか。
そう必死に頭を巡らせていると暗い廊下の先からポツリと光が見えた。

「ナギ!探したよこんなところで座ってどうしたの」
光の正体はレイマだった。
助かったぁ。

「怪我でもしてるの?」
彼は駆け寄って心配する。俺はあまり体に力が入らなくて視線で訴えかけた。

レイマは俺の首元に一瞬顔を近づけると頬を少し赤らめた。

ん?

しかし次の瞬間には険しい表情になる。

「触るな」
そのとき生徒会長の低い声が廊下に響いた。

レイマは会長をキッと睨みつけた。

「ナギ帰るぞ」
会長は俺の腕を強引にひく。

「い、いい…俺レイマと帰るから」

「あ?」

俺はどうにか立ち上がりレイマの服の裾をつかんで暗闇に向かって歩きだす。

「ナギ!おいまて!」
キリの静止の声を聞かずに俺は早足でその場を去った。

「俺!Ωになんて戻りたくないし!運命とか心当たりないんで!」

そう叫んだ。
あまり知らないαにいきなりそんなこと言われてもはいそうですかなんて言えない。
それに面倒いΩに戻るなんて絶対ゴメンだ。
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