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3 生徒会長に襲われました
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それから毎日物を盗まれたり悪口言われたりと地味な嫌がらせが続いた。
まぁでも、俺がガン無視しているせいか段々と嫌がらせが落ち着いてきたようにも思える。
そんなある日だった。クラスの一番可愛い例のΩから昼休み呼び出しを食らった。
なにか用事だろうか。Ωの取り巻きたちに廊下の隅まで連行される。
「なに?」
俺はぶっきらぼうに尋ねた。
「君に頼みがあるんだ」
Ω男子はきゅるきゅるした瞳で首を傾け胸の前で両手を絡めた。
見た目だけは女子よりも女の子している。
「これ生徒会長に渡して来てよ」
そう言ってなにやら手紙のようなものを差し出してくる。
俺は首を傾げながらもとりあえず受け取る。まず生徒会長って誰だ?
っていうかいつも悪口三昧のくせに、どの面下げて俺にお願いしてるんだよ。
ピンクの便箋には生徒会長様へ♡と宛名が書いてある。なんかめんどくさそうだ。
「手紙ぐらい自分で渡しなよ」
紙を突き返すが彼らは受け取る気配はない。
「アオイ様のお願いなんだからもちろん聞くよな?」
アオイ様(?)の取り巻きが俺の肩を軽く押した。
「僕だってそうしたいよ。でもαクラスにΩは行けないルールになってんの。だからβのお願いしてんじゃん。それぐらい察せよ」
アオイ様は偉そうにそう言った。人にものを頼む態度じゃない。
プライドの高そうなこいつがわざわざ俺に頼み事をしているのだからよほど大事な手紙なのかもしれない。
それから何回も断ったが結局押し付けられてしまった。
俺は渋々手紙を生徒会長に持っていくことにした。
「えっーと205の教室だっけ?」
この学園はやたらと広い上にαとΩで校舎が違うので案の定道に迷った。生徒の数もかなりいるらしい。
αの校舎は一歩踏み込むだけで雰囲気がガラリと変わる。見回す限り美男しかいない。ほとんどが高身長のイケメンだ。この上学業、スポーツなんでも万能なんだから恐ろしい。
美男集団の中で俺みたいな平凡なやつはかなり目立っていたと思う。廊下ですれ違う人全員が俺を振り返る。
校内の地図を駆使してどうにか目的の教室までたどり着くことができた。
教室のドアから中を覗くと、明らかに目立つ男が窓際の後ろの席に座っていた。
この美男クラスの中でも埋もれないほどに顔は整っており、もはやオーラが違う。
キリッとした眉に真っ黒の髪の毛は目にかかるぐらいの長さ。
パッチリした切れ長の二重に長いまつげ、すっと通った高い鼻に薄い唇。
そこには彫刻かと思うほどの美形が本を読んでいた。
彼はふと本から視線を外し教室の入り口にいる俺の方を見た。
一目見ればわかるとか言ってたけどあれが生徒会長か…。アオイ様が目をつけるだけあってものすごい美形だ。
今思ったけどアオイ(様)ってなんだよ。確かに女王みたいだけど…。
教室のあちらこちらから視線を感じるけど気にしない気にしない。早く手紙を渡して帰ろう。
俺はズカズカと教室に入り彼の席まで一直線に向かった。
そして生徒会長の目の前まで行き手紙を手渡した。
彼はじっとこちらを見ている。こ、怖い。α怖い。なんか捕食動物に睨みつけられてる気分だ。
「これ…」
この場から早く立ち去りたくてぶっきらぼうに手紙を押し付ける。
生徒会長はゆっくりとピンク色のハートが散りばめられた便箋を受け取った。
「来い」
するといきなり立ち上がり俺の腕を掴んだ。
「えっ、ちょっと…っ」
そのまま強い力でぐいぐい引っ張られ俺は引きずられるようにして教室を後にする。
え、いきなり何??
ど、どこ連れて行かれるんだ…っ。
やばいもしかして怒った?
俺殴られるのか?
そのまま彼は空き教室に入り、自然な流れで俺を壁に押し付けた。
これが壁ドンってやつかぁと思わず感心する。
ぽけーっと顔を眺めていると美形がどんどん距離を詰めてきた。長いまつげから色素の薄い透き通った瞳の中まで見えるほど近づくと
「ん、え?」
そのまま手首を捕らえ唇を重ねてくる。
「??!!」
「んっあっ…むっ」
手足をバタつかせるが力でねじ伏せられてしまう。
こ、こいつ舌入れようとしてる?
男は唇の間に無理やり舌をねじこみさっきから歯を舌先でノックしている。
俺は必死で首を横に振った。
うわっな、なんだよこれ…っっ。
「暴れるな。口開けろ」
彼は明らかに欲情した瞳で俺を見つめた。
やばいやばい。逃げないとまずい。そうΩの本能が叫んでいる。
俺は必死に抵抗するが力が違いすぎて全然振り払うことができない。
イケメンは抵抗する俺を見て眉をひそめ、強くぎゅっと抱きしめた。
彼の心臓の鼓動が聞こえる。すごいドクドクしてる…?
しばらくされるがままに抱きしめられ、心臓の音に気を取られているとなんかお尻の方に違和感があった。
「ん?」
振り返って見ると男は大きいゴツゴツした手で俺の尻を触っていた。
背筋がゾワッとする。
「うわっやめろ」
一瞬俺が口を開けたのを男はは見逃さなかった。
あっという間に顎を捕まれ、口の中に厚い舌が侵入してくる。
くちゅりと音がした。
今まで感じたことがないヌルリとした感触に体がびくっと揺れる。
や、やばいなにこれ気持ちいい…。
頭がとろんとして一瞬意識が持っていかれそうになったが俺はすぐさま彼の舌を思い切り噛んだ。
「…っなにすんだ」
男は痛みで顔を歪める。
「それはこっちのセリフだ!変態!」
俺は一瞬怯んだ彼を突き飛ばし距離を取った。
「変態?誘ってきたのはそっちだろ」
男は怪訝そうにこちらを見る。
「は?」
そしてポケットからピンクの便箋を取り出した。
「どう見てもラブレターだろ」
「俺からじゃない。Ωのクラスメイトからだよ!」
「あ?」
生徒会長は不機嫌そうに眉をひそめた。
「お前は別のΩからのラブレターを俺に持ってきたのか?」
声のトーンがどんどん低くなっていく。
う…。
αのプレッシャーに押しつぶされそうになりながら俺は後ろのドアまでゆっくり後退した。
そして勢いよくドアを開けると教室の外へ逃げ出した。
「おいまて!ナギ!」
後ろで俺を呼ぶ声がするが無視だ。あれ?名前なんて教えたっけ。というかあの美形どこかで見たような気もするけど…。
まぁ、もうどうでもいい。あいつが生徒会長って時点でこの学園の風紀は終わってるだろ。
俺はΩクラスに駆け込んだ。
まぁでも、俺がガン無視しているせいか段々と嫌がらせが落ち着いてきたようにも思える。
そんなある日だった。クラスの一番可愛い例のΩから昼休み呼び出しを食らった。
なにか用事だろうか。Ωの取り巻きたちに廊下の隅まで連行される。
「なに?」
俺はぶっきらぼうに尋ねた。
「君に頼みがあるんだ」
Ω男子はきゅるきゅるした瞳で首を傾け胸の前で両手を絡めた。
見た目だけは女子よりも女の子している。
「これ生徒会長に渡して来てよ」
そう言ってなにやら手紙のようなものを差し出してくる。
俺は首を傾げながらもとりあえず受け取る。まず生徒会長って誰だ?
っていうかいつも悪口三昧のくせに、どの面下げて俺にお願いしてるんだよ。
ピンクの便箋には生徒会長様へ♡と宛名が書いてある。なんかめんどくさそうだ。
「手紙ぐらい自分で渡しなよ」
紙を突き返すが彼らは受け取る気配はない。
「アオイ様のお願いなんだからもちろん聞くよな?」
アオイ様(?)の取り巻きが俺の肩を軽く押した。
「僕だってそうしたいよ。でもαクラスにΩは行けないルールになってんの。だからβのお願いしてんじゃん。それぐらい察せよ」
アオイ様は偉そうにそう言った。人にものを頼む態度じゃない。
プライドの高そうなこいつがわざわざ俺に頼み事をしているのだからよほど大事な手紙なのかもしれない。
それから何回も断ったが結局押し付けられてしまった。
俺は渋々手紙を生徒会長に持っていくことにした。
「えっーと205の教室だっけ?」
この学園はやたらと広い上にαとΩで校舎が違うので案の定道に迷った。生徒の数もかなりいるらしい。
αの校舎は一歩踏み込むだけで雰囲気がガラリと変わる。見回す限り美男しかいない。ほとんどが高身長のイケメンだ。この上学業、スポーツなんでも万能なんだから恐ろしい。
美男集団の中で俺みたいな平凡なやつはかなり目立っていたと思う。廊下ですれ違う人全員が俺を振り返る。
校内の地図を駆使してどうにか目的の教室までたどり着くことができた。
教室のドアから中を覗くと、明らかに目立つ男が窓際の後ろの席に座っていた。
この美男クラスの中でも埋もれないほどに顔は整っており、もはやオーラが違う。
キリッとした眉に真っ黒の髪の毛は目にかかるぐらいの長さ。
パッチリした切れ長の二重に長いまつげ、すっと通った高い鼻に薄い唇。
そこには彫刻かと思うほどの美形が本を読んでいた。
彼はふと本から視線を外し教室の入り口にいる俺の方を見た。
一目見ればわかるとか言ってたけどあれが生徒会長か…。アオイ様が目をつけるだけあってものすごい美形だ。
今思ったけどアオイ(様)ってなんだよ。確かに女王みたいだけど…。
教室のあちらこちらから視線を感じるけど気にしない気にしない。早く手紙を渡して帰ろう。
俺はズカズカと教室に入り彼の席まで一直線に向かった。
そして生徒会長の目の前まで行き手紙を手渡した。
彼はじっとこちらを見ている。こ、怖い。α怖い。なんか捕食動物に睨みつけられてる気分だ。
「これ…」
この場から早く立ち去りたくてぶっきらぼうに手紙を押し付ける。
生徒会長はゆっくりとピンク色のハートが散りばめられた便箋を受け取った。
「来い」
するといきなり立ち上がり俺の腕を掴んだ。
「えっ、ちょっと…っ」
そのまま強い力でぐいぐい引っ張られ俺は引きずられるようにして教室を後にする。
え、いきなり何??
ど、どこ連れて行かれるんだ…っ。
やばいもしかして怒った?
俺殴られるのか?
そのまま彼は空き教室に入り、自然な流れで俺を壁に押し付けた。
これが壁ドンってやつかぁと思わず感心する。
ぽけーっと顔を眺めていると美形がどんどん距離を詰めてきた。長いまつげから色素の薄い透き通った瞳の中まで見えるほど近づくと
「ん、え?」
そのまま手首を捕らえ唇を重ねてくる。
「??!!」
「んっあっ…むっ」
手足をバタつかせるが力でねじ伏せられてしまう。
こ、こいつ舌入れようとしてる?
男は唇の間に無理やり舌をねじこみさっきから歯を舌先でノックしている。
俺は必死で首を横に振った。
うわっな、なんだよこれ…っっ。
「暴れるな。口開けろ」
彼は明らかに欲情した瞳で俺を見つめた。
やばいやばい。逃げないとまずい。そうΩの本能が叫んでいる。
俺は必死に抵抗するが力が違いすぎて全然振り払うことができない。
イケメンは抵抗する俺を見て眉をひそめ、強くぎゅっと抱きしめた。
彼の心臓の鼓動が聞こえる。すごいドクドクしてる…?
しばらくされるがままに抱きしめられ、心臓の音に気を取られているとなんかお尻の方に違和感があった。
「ん?」
振り返って見ると男は大きいゴツゴツした手で俺の尻を触っていた。
背筋がゾワッとする。
「うわっやめろ」
一瞬俺が口を開けたのを男はは見逃さなかった。
あっという間に顎を捕まれ、口の中に厚い舌が侵入してくる。
くちゅりと音がした。
今まで感じたことがないヌルリとした感触に体がびくっと揺れる。
や、やばいなにこれ気持ちいい…。
頭がとろんとして一瞬意識が持っていかれそうになったが俺はすぐさま彼の舌を思い切り噛んだ。
「…っなにすんだ」
男は痛みで顔を歪める。
「それはこっちのセリフだ!変態!」
俺は一瞬怯んだ彼を突き飛ばし距離を取った。
「変態?誘ってきたのはそっちだろ」
男は怪訝そうにこちらを見る。
「は?」
そしてポケットからピンクの便箋を取り出した。
「どう見てもラブレターだろ」
「俺からじゃない。Ωのクラスメイトからだよ!」
「あ?」
生徒会長は不機嫌そうに眉をひそめた。
「お前は別のΩからのラブレターを俺に持ってきたのか?」
声のトーンがどんどん低くなっていく。
う…。
αのプレッシャーに押しつぶされそうになりながら俺は後ろのドアまでゆっくり後退した。
そして勢いよくドアを開けると教室の外へ逃げ出した。
「おいまて!ナギ!」
後ろで俺を呼ぶ声がするが無視だ。あれ?名前なんて教えたっけ。というかあの美形どこかで見たような気もするけど…。
まぁ、もうどうでもいい。あいつが生徒会長って時点でこの学園の風紀は終わってるだろ。
俺はΩクラスに駆け込んだ。
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