5 / 17
5 スパルタ朝練?
しおりを挟む
翌朝、やばい体がだるい…。今日はせっかくの休日だというのにまさか風邪か…?
なんかこう体が鉛になったようなだるさだ。でも別にのどは痛くないし鼻水も出ていない。
俺がベッドでぐったりしていると二段ベッドの階段を登ってきた榊がひょこっと顔を出した。
「生きてるか」
「んー死にそう風邪かも…」
枕に突っ伏して助けを求める。
「まぁ常人が僕の魔力をあんなに浴びたらそうなるだろな 行くぞ」
彼はそう言うと俺を無理やりベッドから引きずり降ろし寮の訓練場へと向かった。
訓練所はとても広くいろいろな魔法器具が置いてあった。榊は練習場の一番奥、まるで射撃場のような場所まで俺を引っ張っていくと指を指す。
「さぁ、魔力を発散しろ」
「発散?」
「そうだ あの的に当ててみろ」
あの的って…射撃場一番奥のあの豆粒みたいな的に?いや、無理だろ…。視力2の俺でも見えないぞ。
まぁとりあえずやってみることにする。
まず魔法ってどうやって撃つんだ…。
しかたないこの前の授業を思い出そう。
まずは指先に集中して…精一杯火を想像するんだったな。
すると…
その瞬間俺の指先からそれそれは大きな炎がぼわっと上がった。炎は天井までのぼり建物にどんどん炎が燃え移ってゆく。
「うわぁぁっ!」
え、え、やばいやばい火事だ火事だ!!
おさないかけないしゃべらないあとなんだっけ…えっとえっと
「きゃーーっっ火事!!!」
練習場は一瞬にしてパニックになった。
皆逃げ惑い腰を抜かす者もいる。
これかなりやばいのでは!!!
その時榊が一瞬手を大きく振りかざした。
その瞬間燃えていた炎がパッと跡形もなく消し飛ぶ。
練習場にはしばらく静寂が訪れた。
そしていきなりの拍手喝采。
すげー!すげーさすが榊様だ パチパチパチパチパチパチ
俺もつられて拍手したら思いっきり耳を引っ張られた。
「いででで…」
「お前は何をしているんだ!練習場になんの恨みがある!僕はあの的を撃てと言ったんだぞ」
はいわかってますごめんなさいでもできないんです…。
「いいか、こうやるんだ」
榊が人差し指を軽くふるだけでビュンっと風を切る音がする。
そしてガッという音と共に奥の的、ど真ん中に氷の破片がぶっ刺さった。
すげーーー。
…ん?まてよ?これ前にも見覚えが…。
も、もしかしてこいつ昨日、俺にこれを撃ったのか…??
さーっと血の気が引いてゆく。こわっ、完全に殺す気じゃん。
俺は榊を若干引き気味で見つめる。
すると彼が顔をくしゃっとさせて笑った。
「お前は驚いたり感心したり怯えたり表情がコロコロ変わるな」
ケラケラ笑っている。こいつこんなに笑うのか…。
ひとしきり笑ったあと彼は、さぁ今度はお前の番だと言わんばかりに的を指さした。
で、できる気がしない。俺は見様見真似で指を振った。
すると今度は大きな風が巻き起こり、的をすべてなぎ倒した。
こ、これはこれですごいのでは?
俺がドヤ顔で榊の方振り向くと彼は腹を抱えてゲラゲラ笑っていた。
「笑うなよ!」
「だってお前…的を…ふはははは」
何がそんなに面白いのか。俺はムッとする。
でも、この前の実習のときみたいなバカにされた不快感は不思議となかった。
「こんなこともできないとはな…この前の授業ではそこそこの魔力を持っているように見えたがお前魔力を操れないのか」
ぎくっ。あれはもらった魔力なんですとは言えない。
「ど、どうやるんだよ 教えて」
「ふんっ礼儀がなってないな 教えてください榊様だろう」
「おしえてくださいさかきさま…」
「よろしい」
それから俺は魔力が尽きるまで彼に特訓してもらった。激しく魔力を消費しているのにも関わらず数時間は持った。
すごい魔力だ。
俺は練習のおかげですこし氷を操ることができるようになった。氷は彼の得意魔法らしい。
俺が失敗するたび耳を引っ張るところ以外は教え方は完璧だった。
「いででで…だから引っ張るなよ!耳が伸びるだろっ」
「お前が失敗しなければいいだけの話だ」
もう体の魔力はほとんど残っていないみたいだ。体はスッキリとして気分がいい。
指先の炎も時間とともに弱々しくなっていった。
「冬っ」
もうそろそろ部屋へ帰ろうかと思っていたとき俺を呼ぶ声が聞こえた。
振り返るとジャージ姿の水瀬がこちらに駆けてきた。
「おおっ水瀬おはよう、いやこんにちはか」
「冬が朝からここにいるの珍しいね」
「まぁな お前はいつもここ使ってるのか」
「うん、時間があるときは」
そちらの人は?と彼が榊に目をやり視線で訴えかけてくる。
「こいつは同居人の榊 それでこっちは俺の幼馴染の水瀬 よろしくな」
ふたりとも軽く頭を下げ挨拶をしている。この顔面魔力つよつよの二人と一緒にいると俺の肩身が狭い…。
「冬、昼食まだだよね 一緒に食堂へ行かない?」
水瀬が食事に誘ってくる。
「榊も行くか?」
「いや、僕はまだここで魔力使ってく」
「じゃあまたな!練習ありがとな」
「んー」
俺たちは練習場を後にした。
水瀬がジャージから着替えたいと言ったのでまずは水瀬の部屋に行くことにした。
なんかこう体が鉛になったようなだるさだ。でも別にのどは痛くないし鼻水も出ていない。
俺がベッドでぐったりしていると二段ベッドの階段を登ってきた榊がひょこっと顔を出した。
「生きてるか」
「んー死にそう風邪かも…」
枕に突っ伏して助けを求める。
「まぁ常人が僕の魔力をあんなに浴びたらそうなるだろな 行くぞ」
彼はそう言うと俺を無理やりベッドから引きずり降ろし寮の訓練場へと向かった。
訓練所はとても広くいろいろな魔法器具が置いてあった。榊は練習場の一番奥、まるで射撃場のような場所まで俺を引っ張っていくと指を指す。
「さぁ、魔力を発散しろ」
「発散?」
「そうだ あの的に当ててみろ」
あの的って…射撃場一番奥のあの豆粒みたいな的に?いや、無理だろ…。視力2の俺でも見えないぞ。
まぁとりあえずやってみることにする。
まず魔法ってどうやって撃つんだ…。
しかたないこの前の授業を思い出そう。
まずは指先に集中して…精一杯火を想像するんだったな。
すると…
その瞬間俺の指先からそれそれは大きな炎がぼわっと上がった。炎は天井までのぼり建物にどんどん炎が燃え移ってゆく。
「うわぁぁっ!」
え、え、やばいやばい火事だ火事だ!!
おさないかけないしゃべらないあとなんだっけ…えっとえっと
「きゃーーっっ火事!!!」
練習場は一瞬にしてパニックになった。
皆逃げ惑い腰を抜かす者もいる。
これかなりやばいのでは!!!
その時榊が一瞬手を大きく振りかざした。
その瞬間燃えていた炎がパッと跡形もなく消し飛ぶ。
練習場にはしばらく静寂が訪れた。
そしていきなりの拍手喝采。
すげー!すげーさすが榊様だ パチパチパチパチパチパチ
俺もつられて拍手したら思いっきり耳を引っ張られた。
「いででで…」
「お前は何をしているんだ!練習場になんの恨みがある!僕はあの的を撃てと言ったんだぞ」
はいわかってますごめんなさいでもできないんです…。
「いいか、こうやるんだ」
榊が人差し指を軽くふるだけでビュンっと風を切る音がする。
そしてガッという音と共に奥の的、ど真ん中に氷の破片がぶっ刺さった。
すげーーー。
…ん?まてよ?これ前にも見覚えが…。
も、もしかしてこいつ昨日、俺にこれを撃ったのか…??
さーっと血の気が引いてゆく。こわっ、完全に殺す気じゃん。
俺は榊を若干引き気味で見つめる。
すると彼が顔をくしゃっとさせて笑った。
「お前は驚いたり感心したり怯えたり表情がコロコロ変わるな」
ケラケラ笑っている。こいつこんなに笑うのか…。
ひとしきり笑ったあと彼は、さぁ今度はお前の番だと言わんばかりに的を指さした。
で、できる気がしない。俺は見様見真似で指を振った。
すると今度は大きな風が巻き起こり、的をすべてなぎ倒した。
こ、これはこれですごいのでは?
俺がドヤ顔で榊の方振り向くと彼は腹を抱えてゲラゲラ笑っていた。
「笑うなよ!」
「だってお前…的を…ふはははは」
何がそんなに面白いのか。俺はムッとする。
でも、この前の実習のときみたいなバカにされた不快感は不思議となかった。
「こんなこともできないとはな…この前の授業ではそこそこの魔力を持っているように見えたがお前魔力を操れないのか」
ぎくっ。あれはもらった魔力なんですとは言えない。
「ど、どうやるんだよ 教えて」
「ふんっ礼儀がなってないな 教えてください榊様だろう」
「おしえてくださいさかきさま…」
「よろしい」
それから俺は魔力が尽きるまで彼に特訓してもらった。激しく魔力を消費しているのにも関わらず数時間は持った。
すごい魔力だ。
俺は練習のおかげですこし氷を操ることができるようになった。氷は彼の得意魔法らしい。
俺が失敗するたび耳を引っ張るところ以外は教え方は完璧だった。
「いででで…だから引っ張るなよ!耳が伸びるだろっ」
「お前が失敗しなければいいだけの話だ」
もう体の魔力はほとんど残っていないみたいだ。体はスッキリとして気分がいい。
指先の炎も時間とともに弱々しくなっていった。
「冬っ」
もうそろそろ部屋へ帰ろうかと思っていたとき俺を呼ぶ声が聞こえた。
振り返るとジャージ姿の水瀬がこちらに駆けてきた。
「おおっ水瀬おはよう、いやこんにちはか」
「冬が朝からここにいるの珍しいね」
「まぁな お前はいつもここ使ってるのか」
「うん、時間があるときは」
そちらの人は?と彼が榊に目をやり視線で訴えかけてくる。
「こいつは同居人の榊 それでこっちは俺の幼馴染の水瀬 よろしくな」
ふたりとも軽く頭を下げ挨拶をしている。この顔面魔力つよつよの二人と一緒にいると俺の肩身が狭い…。
「冬、昼食まだだよね 一緒に食堂へ行かない?」
水瀬が食事に誘ってくる。
「榊も行くか?」
「いや、僕はまだここで魔力使ってく」
「じゃあまたな!練習ありがとな」
「んー」
俺たちは練習場を後にした。
水瀬がジャージから着替えたいと言ったのでまずは水瀬の部屋に行くことにした。
12
お気に入りに追加
1,159
あなたにおすすめの小説
【報告】こちらサイコパスで狂った天使に犯され続けているので休暇申請を提出する!
しろみ
BL
西暦8031年、天使と人間が共存する世界。飛行指導官として働く男がいた。彼の見た目は普通だ。どちらかといえばブサ...いや、なんでもない。彼は不器用ながらも優しい男だ。そんな男は大輪の花が咲くような麗しい天使にえらく気に入られている。今日も今日とて、其の美しい天使に攫われた。なにやらお熱くやってるらしい。私は眉間に手を当てながら報告書を読んで[承認]の印を押した。
※天使×人間。嫉妬深い天使に病まれたり求愛されたり、イチャイチャする話。
【R18】【Bl】奴隷出身の俺は最低主人に内緒で王子と浮気します
ペーパーナイフ
BL
幼い頃、奴隷商に売られ奴隷になったライアは辛い日々になんとか耐えていた。そんな彼を救ったのはエルビス・グレイという年上の貴族だった。
彼はボロボロのライアを買い取り食事を、愛を与えてくれた。しかし幸せな生活は長くは続かなかった。彼もまた月日が経つに連れて愛は冷め、ライアに暴力を振るうようになったからだ。
「お前は誰のおかげで生きていられるんだ?」
それが彼の口癖だった。
もう二度と人も愛も信じない。やけくそになった俺はこっそり街に出て夜遊びを計画する。現実逃避になればそれで良かった。でも、そこで出会った金髪青目の男ヴィルはとても美しい人で…。
「ライア、君をあんなところにいさせたくないんだ」
虐げられていた主人公が優しい王子様に拾われ、主人を見返し幸せになる話。
⚠
ダークな話です。殺害、暴力、人身売買、暴言などの鬱表現があります。気をつけてください。
最後、主人公は必ずハッピーエンドになります。エロも濃いです。
【R18】【Bl】王子様白雪姫を回収してください!白雪姫の"小人"の俺は執着王子から逃げたい 姫と王子の恋を応援します
ペーパーナイフ
BL
主人公キイロは森に住む小人である。ある日ここが絵本の白雪姫の世界だと気づいた。
原作とは違い、7色の小人の家に突如やってきた白雪姫はとても傲慢でワガママだった。
はやく王子様この姫を回収しにきてくれ!そう思っていたところ王子が森に迷い込んできて…
あれ?この王子どっかで見覚えが…。
これは『【R18】王子様白雪姫を回収してください!白雪姫の"小人"の私は執着王子から逃げたい 姫と王子の恋を応援します』をBlにリメイクしたものです。
内容はそんなに変わりません。
【注意】
ガッツリエロです
睡姦、無理やり表現あり
本番ありR18
王子以外との本番あり
外でしたり、侮辱、自慰何でもありな人向け
リバはなし 主人公ずっと受け
メリバかもしれないです
【完結】売れ残りのΩですが隠していた××をαの上司に見られてから妙に優しくされててつらい。
天城
BL
ディランは売れ残りのΩだ。貴族のΩは十代には嫁入り先が決まるが、儚さの欠片もない逞しい身体のせいか完全に婚期を逃していた。
しかもディランの身体には秘密がある。陥没乳首なのである。恥ずかしくて大浴場にもいけないディランは、結婚は諦めていた。
しかしαの上司である騎士団長のエリオットに事故で陥没乳首を見られてから、彼はとても優しく接してくれる。始めは気まずかったものの、穏やかで壮年の色気たっぷりのエリオットの声を聞いていると、落ち着かないようなむずがゆいような、不思議な感じがするのだった。
【攻】騎士団長のα・巨体でマッチョの美形(黒髪黒目の40代)×【受】売れ残りΩ副団長・細マッチョ(陥没乳首の30代・銀髪紫目・無自覚美形)色事に慣れない陥没乳首Ωを、あの手この手で囲い込み、執拗な乳首フェラで籠絡させる独占欲つよつよαによる捕獲作戦。全3話+番外2話
【R18】【Bl】死にかけ獣人が腹黒ドS王子様のペットになって溺愛される話
ペーパーナイフ
BL
主人公のクロは黒猫の獣人だった。逃げ出し、道で死にかけていたところ、運良く男に拾われるがそいつはヤンデレ絶倫王子で…。
「君をねじ伏せて恐怖に歪んだ顔が見たい」
「大嫌いなやつに気持ちよくされる気分はどう?」
こいつは俺が出会った中で一番美しく、そしてやばいやつだった。
可愛そうな獣人がヤンデレ王子に溺愛、監禁されて逃げ出そうにも嫉妬執着される話です。
注意
妊娠リバなし 流血残酷な表現あり エロ濃いめ
【完結】兄狂いなところ以外は完璧な僕の弟
ふくやまぴーす
BL
イケメンで優等生かつ兄に対してのみ変態ヤンデレ気質な弟 遥(はるか)×ノンケ弟思い兄 悠人(ゆうと)
あらすじ
中学生の頃から、突然仲良しの弟遥に避けられるようになった兄の悠人。
また昔の頃に戻りたくて、4年越しの再会に喜ぶ悠人だが、弟の様子が何やらおかしくて……というお話
※R18描写ありの話のタイトルには※マークがついてます。
序盤は無理矢理犯される系ですのでご注意を。
ゲイバレした学年一のイケメンは、その日の放課後、陰キャで平凡な俺を犯した
しゅうじつ
BL
学年一のイケメン、玉木 宝一郎がゲイバレした。
学校中は大騒ぎするなか、ひとつの疑問が皆の頭に浮かぶ。
学年一のイケメン、玉木 宝一郎がが好きな相手は誰なのか。
その日の放課後、陰キャでゲームオタクの俺は偶然、そのイケメン玉木宝一郎と遭遇し、なぜか密室に閉じ込められ2人きりに。
陰キャで平凡のゲームオタクに、とてつもなく執着している美形くんのお話。
美形攻め×平凡受け
【完結済】ラスボスの使い魔に転生したので世界を守るため全力でペットセラピーしてみたら……【溺愛こじらせドS攻め】
綺沙きさき(きさきさき)
BL
【溺愛ヤンデレ魔術師】×【黒猫使い魔】のドS・執着・溺愛をこじらせた攻めの話
<あらすじ>
魔術師ギディオンの使い魔であるシリルは、知っている。
この世界が前世でプレイしたゲーム『グランド・マギ』であること、そしてギディオンが世界滅亡を望む最凶のラスボスで、その先にはバッドエンドしか待っていないことも……。
そんな未来を回避すべく、シリルはギディオンの心の闇を癒やすため、猫の姿を最大限に活用してペットセラピーを行う。
その甲斐あって、ギディオンの心の闇は癒やされ、バッドエンドは回避できたと思われたが、ある日、目を覚ますと人間の姿になっていて――!?
========================
*表紙イラスト…はやし燈様(@umknb7)
*表紙デザイン…睦月様(https://mutsuki-design.tumblr.com/)
*9月23日(月)J.GARDEN56にて頒布予定の『異世界転生×執着攻め小説集』に収録している作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる