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「おい」
ぎく。
翌朝キッチンで水を飲んでいた私に王子が声をかけた。
「昨日のこと覚えてるよな」
「いや、あの、それは…」
あたふた動揺する私に彼が近づいて来る。
あれから姫とちゃんとうまくいったのだろうか。
「その件はごめんなさい…。でもどうして…」
「王族は毒に敏感なんだよ すぐわかった あとお前嘘つくの下手すぎだ」
クロは私から水の入ったコップを取り上げゴクリと一口飲んだ。
そしてふと私の左の首に視線を落とす。
眉をひそめ、顔を近づけてきた。
な、なんだろ…。
彼はコップを机に置き、それからがぶりと首に噛み付いてきた。
「いたっ」
な、なに…?
今度は机のコップを掴み私の口に押し付けてくる。ごくごくごく
一気に飲まされた。
「今日俺帰るから見送りに来い」
彼はぶっきらぼうにそう言うとキッチンを出ていった。
キッチンを出た先の廊下に、アオは壁にもたれかかり立っていた。アオの前を通り過ぎる際にクロが言う。
「お前だろ あいつの首に跡付けたやつは」
「だったらなに?」
「…」
「キイロちゃんは僕と約束があるからお前のところへは行かない はやく白雪姫を連れてお城へ帰るんだね キイロちゃんは僕のだ」
「へぇ」
そういえば今更だけど王子はなんで今日迎えが来ることわかるんだろ?
外部と連絡取ってたってことなのかな。
いつのまに…。まぁ王子だし護衛もつけずにひょっこり王都に出ていくなんてことできないよね。従者も迎えに来る手配とかいろいろあるのかな。
彼は小人たちに丁寧にお礼を言ってまわった。彼は私の方を一瞬見たあと小屋を後にした。
随分とあっさりした別れだった。
…ってまってまってお姫様は??連れて行かないの?というか白雪姫どこに行ったの。昨日の夜から姿を見てないような…。
私は急いであとを追いかける。
「ねぇまってクロ」
「ねえってば」
私が話しかけても彼は止まることなく歩き続ける。歩くの速すぎ。私は軽く息を弾ませながら問いかける。
「森の、出口、わかるの…?」
「ああ」
「白雪姫は?」
「今日一日動けないと思うぞ」
「…」
えっ、えっそ、そういうこと?!
うまくいったの!顔が赤くなる。
原作なら姫をそのまま馬に乗せて城まで帰るって話なのに…。後日迎えに来るってことなのかな。なーんだなら心配いらなかったじゃん。
私は歩みを止めた。随分小屋から離れてしまったがまだここなら戻れるだろう。
「なるほど!わかった じゃあまたね」
彼に挨拶をしたその瞬間。
足から力が抜けた。
頭が重い体が熱い。はぁ、はぁ…。
さっき思いっきり走って疲れてしまったのだろうか。
「薬が効いてきたようだな」
「…っ」
くすり…?
王子が私のもとへやってきて屈む。
「いいか、毒はこうやって盛るんだよ」
え、私毒もられたの…。いつのまに…。
私がぽけーっと彼を見つめているとクロは眉をひそめた。
「朝、水、コップ!」
…。あぁ一瞬コップ奪われたけどあのスキになんか入れられたのか…。あれは気づかないよ。
「全くお前は…。危機感ないからこんな跡つけられるんだよ」
そう言うと彼は私の左側の首に爪を立てた。
「い…たぃ」
跡…?首に?全く覚えがないけど。なんの跡だろ。
「さっきの質問だが姫が今頃動けないのは 俺が縛ったからだ」
「しばった…?」
ええ…。世の中にはそういうプレイを好む人がいるとは聞いたけど、まさか王子もそうだったなんて…。
私は少し引き気味でドS王子を見つめる。
そんな私を見てクロは呆れた顔をした。
「違う 王子を襲うなんて本来なら牢屋にぶち込まれるからな 居候の身だったから行動を制限するのにとどめただけだ」
「そ、そんな…」
作戦は失敗したのか。あんな美女に誘惑されたのに…。何が気に食わなかったんだろ。
「ちなみにあの程度の毒は俺には効かない。耐性があるからな」
なんと。
「それから数日前には、俺は探しに来た従者と湖で会っている」
「え」
やっぱり連絡取ってたんだ。
「この方角にあと一時間も歩けば従者と馬車が待機しているんだ」
「へぇ…」
「本来なら数日前の時点で従者が乗ってきた馬を使って帰ることができたんだよ でも俺はそれをしなかった 馬車を手配してもらった」
「へぇ、そうなんだ」
としか言いようがない。だから何だというのだ。
「なんでだと思う?」
話している間にも体はどんどん熱くなる。
「わ、からない なんで…」
変ななぞなぞをしている場合じゃない体をどうにかしないと…。
足をもじもじと動かす私を見て王子が笑顔で言う。
「これから歩けなくなるお前を連れて帰るためだよ」
そう言うと彼は私を横抱きにして歩きだした。
ぎく。
翌朝キッチンで水を飲んでいた私に王子が声をかけた。
「昨日のこと覚えてるよな」
「いや、あの、それは…」
あたふた動揺する私に彼が近づいて来る。
あれから姫とちゃんとうまくいったのだろうか。
「その件はごめんなさい…。でもどうして…」
「王族は毒に敏感なんだよ すぐわかった あとお前嘘つくの下手すぎだ」
クロは私から水の入ったコップを取り上げゴクリと一口飲んだ。
そしてふと私の左の首に視線を落とす。
眉をひそめ、顔を近づけてきた。
な、なんだろ…。
彼はコップを机に置き、それからがぶりと首に噛み付いてきた。
「いたっ」
な、なに…?
今度は机のコップを掴み私の口に押し付けてくる。ごくごくごく
一気に飲まされた。
「今日俺帰るから見送りに来い」
彼はぶっきらぼうにそう言うとキッチンを出ていった。
キッチンを出た先の廊下に、アオは壁にもたれかかり立っていた。アオの前を通り過ぎる際にクロが言う。
「お前だろ あいつの首に跡付けたやつは」
「だったらなに?」
「…」
「キイロちゃんは僕と約束があるからお前のところへは行かない はやく白雪姫を連れてお城へ帰るんだね キイロちゃんは僕のだ」
「へぇ」
そういえば今更だけど王子はなんで今日迎えが来ることわかるんだろ?
外部と連絡取ってたってことなのかな。
いつのまに…。まぁ王子だし護衛もつけずにひょっこり王都に出ていくなんてことできないよね。従者も迎えに来る手配とかいろいろあるのかな。
彼は小人たちに丁寧にお礼を言ってまわった。彼は私の方を一瞬見たあと小屋を後にした。
随分とあっさりした別れだった。
…ってまってまってお姫様は??連れて行かないの?というか白雪姫どこに行ったの。昨日の夜から姿を見てないような…。
私は急いであとを追いかける。
「ねぇまってクロ」
「ねえってば」
私が話しかけても彼は止まることなく歩き続ける。歩くの速すぎ。私は軽く息を弾ませながら問いかける。
「森の、出口、わかるの…?」
「ああ」
「白雪姫は?」
「今日一日動けないと思うぞ」
「…」
えっ、えっそ、そういうこと?!
うまくいったの!顔が赤くなる。
原作なら姫をそのまま馬に乗せて城まで帰るって話なのに…。後日迎えに来るってことなのかな。なーんだなら心配いらなかったじゃん。
私は歩みを止めた。随分小屋から離れてしまったがまだここなら戻れるだろう。
「なるほど!わかった じゃあまたね」
彼に挨拶をしたその瞬間。
足から力が抜けた。
頭が重い体が熱い。はぁ、はぁ…。
さっき思いっきり走って疲れてしまったのだろうか。
「薬が効いてきたようだな」
「…っ」
くすり…?
王子が私のもとへやってきて屈む。
「いいか、毒はこうやって盛るんだよ」
え、私毒もられたの…。いつのまに…。
私がぽけーっと彼を見つめているとクロは眉をひそめた。
「朝、水、コップ!」
…。あぁ一瞬コップ奪われたけどあのスキになんか入れられたのか…。あれは気づかないよ。
「全くお前は…。危機感ないからこんな跡つけられるんだよ」
そう言うと彼は私の左側の首に爪を立てた。
「い…たぃ」
跡…?首に?全く覚えがないけど。なんの跡だろ。
「さっきの質問だが姫が今頃動けないのは 俺が縛ったからだ」
「しばった…?」
ええ…。世の中にはそういうプレイを好む人がいるとは聞いたけど、まさか王子もそうだったなんて…。
私は少し引き気味でドS王子を見つめる。
そんな私を見てクロは呆れた顔をした。
「違う 王子を襲うなんて本来なら牢屋にぶち込まれるからな 居候の身だったから行動を制限するのにとどめただけだ」
「そ、そんな…」
作戦は失敗したのか。あんな美女に誘惑されたのに…。何が気に食わなかったんだろ。
「ちなみにあの程度の毒は俺には効かない。耐性があるからな」
なんと。
「それから数日前には、俺は探しに来た従者と湖で会っている」
「え」
やっぱり連絡取ってたんだ。
「この方角にあと一時間も歩けば従者と馬車が待機しているんだ」
「へぇ…」
「本来なら数日前の時点で従者が乗ってきた馬を使って帰ることができたんだよ でも俺はそれをしなかった 馬車を手配してもらった」
「へぇ、そうなんだ」
としか言いようがない。だから何だというのだ。
「なんでだと思う?」
話している間にも体はどんどん熱くなる。
「わ、からない なんで…」
変ななぞなぞをしている場合じゃない体をどうにかしないと…。
足をもじもじと動かす私を見て王子が笑顔で言う。
「これから歩けなくなるお前を連れて帰るためだよ」
そう言うと彼は私を横抱きにして歩きだした。
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