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「明日、俺の従者が迎えに来るらしい 短い間だったがお世話になった」
卵事件から数日後、夕食の席で突然王子が話しだした。
よしっ。ようやくこのときが来た。私は心のなかでガッツポーズをする。王子様、お城へのお土産絶対忘れないでくださいね。
その夜、私達7色の小人は姫の部屋に集められた。
姫が手を差し出すとミドリが小瓶を手渡した。なんだあれ。
「これちゃんと効果あるんでしょうね」
「は、はい、もちろんです ちゃんと毒りんごの木から抽出したエキスです」
ど、毒?!
「いい?お前たち 私は今夜王子の部屋に行くから絶対に邪魔をしないこと わかったわね?」
「な、なんのために」
ピンクが控えめに質問した。
彼女は王子を毒殺しようとしているのだろうか。
「あら?そんなこともわからないの?頭が悪いわね 既成事実を作りに行くのよ」
「既成事実…?」
「そうよ 王子が城に帰る前に関係を持つの これは媚薬よ」
なるほど、毒も少量ならそういった薬になると聞いたことがある。この森にあって手軽に取れる毒なんて毒りんごの木ぐらいしかないもんね。
「黄色いの、お前この薬を王子に飲ませてきなさい」
え。
「効果が出てきたら私を呼びに来て頂戴」
な、なんで私が…。
「その他は解散!」
私は小瓶を渡されると部屋を追い出された。
どうしよどうしよ…。まずこれは本当に大丈夫な薬なんだろうか。毒に違いはないし…。はい飲んでくれって渡しても飲んでくれるわけないよね。
キッチンで立ち尽くしているとアオが近づいてきた。
「キイロちゃんお茶淹れてきたよ これに薬混ぜよ」
「アオ…でもこれ大丈夫なのかな…」
「大丈夫だよ その薬ほとんど僕が作ったやつだし」
「え?!」
「ちゃんと分量通りだから大丈夫」
「え、なんでアオがそんなレシピ知ってるの…」
「…最終手段」
「最終手段?」
「ううん、媚薬は街で高く売れるから お金に困ったときの最終手段だよ」
「ああなるほど…」
「アオ、これ安全なんだよね」
「もちろん なんならキイロちゃんにもあげようか」
「いらないよ!」
安全な薬なら大丈夫だよね。これもみんなのためだ。頑張るぞ。
王子の部屋をノックするとすぐに返事がきた。
私はお茶を持って彼の部屋に入る。
ば、ばれないように。絶対に成功させなければ。
「こんな夜中に珍しいな 何かあったのか」
椅子に座り本を読んでいた彼が当然の疑問をぶつけてくる。
「ええっと…もうすぐ帰るらしいから…その緊張?してるのではないかと思いまして…」
「いや別…」
「これ!お茶淹れたから飲んで!!」
私が少し食い気味にお茶を差し出すと彼は不思議そうな顔をした。
や、やばい…。おかしかったかな。不自然?
彼は戸惑いながらもお茶を受け取りすんっと匂いを嗅いだ。
ちらりと私の方に視線を向ける。
どきどきどきどき。冷や汗が背中を伝う。私は今とても挙動不審に違いない。
彼が一口お茶を飲む。
…。
…。
…。
そして
ふっと笑った。
「とても美味しいよ ありがとう」
よかったぁーーーー。バレてない。
安堵によるため息が出る。
彼はその後残りのお茶を一気に飲み干した。
任務完了っ。
私が壁際で額の汗を拭っているといつの間にか王子が目の前にいた。
「え」
王子は私の腕を掴むと壁にはりつけ、至近距離に王子の顔がある。
彼はとても楽しそうに
「で?なんの意図があってこんなことしたんだ」
「…」
「俺に襲われたいってことでいい?」
ば、バレてた。
それとも薬の効果?クロは知ってて飲んだの?ど、どうしよう。
逃げないと。
しかし腕を引き抜こうにも引き抜けない。力が強すぎる。彼は色っぽい視線を私に向けた。こ、こんなにすぐ効果でるの?!
危険すぎでしょ。
彼が私の首筋を舐める。その時
激しくドアがノックされた。
「キイロちゃん!ちょっと急用なんだけど」
アオだ。彼が一瞬力を緩めたスキに脱出しドアまで走る。
「ごめんおまたせ」
ドアを開けるとアオに力いっぱい手を引かれた。
私達はそのまま外まで走った。
卵事件から数日後、夕食の席で突然王子が話しだした。
よしっ。ようやくこのときが来た。私は心のなかでガッツポーズをする。王子様、お城へのお土産絶対忘れないでくださいね。
その夜、私達7色の小人は姫の部屋に集められた。
姫が手を差し出すとミドリが小瓶を手渡した。なんだあれ。
「これちゃんと効果あるんでしょうね」
「は、はい、もちろんです ちゃんと毒りんごの木から抽出したエキスです」
ど、毒?!
「いい?お前たち 私は今夜王子の部屋に行くから絶対に邪魔をしないこと わかったわね?」
「な、なんのために」
ピンクが控えめに質問した。
彼女は王子を毒殺しようとしているのだろうか。
「あら?そんなこともわからないの?頭が悪いわね 既成事実を作りに行くのよ」
「既成事実…?」
「そうよ 王子が城に帰る前に関係を持つの これは媚薬よ」
なるほど、毒も少量ならそういった薬になると聞いたことがある。この森にあって手軽に取れる毒なんて毒りんごの木ぐらいしかないもんね。
「黄色いの、お前この薬を王子に飲ませてきなさい」
え。
「効果が出てきたら私を呼びに来て頂戴」
な、なんで私が…。
「その他は解散!」
私は小瓶を渡されると部屋を追い出された。
どうしよどうしよ…。まずこれは本当に大丈夫な薬なんだろうか。毒に違いはないし…。はい飲んでくれって渡しても飲んでくれるわけないよね。
キッチンで立ち尽くしているとアオが近づいてきた。
「キイロちゃんお茶淹れてきたよ これに薬混ぜよ」
「アオ…でもこれ大丈夫なのかな…」
「大丈夫だよ その薬ほとんど僕が作ったやつだし」
「え?!」
「ちゃんと分量通りだから大丈夫」
「え、なんでアオがそんなレシピ知ってるの…」
「…最終手段」
「最終手段?」
「ううん、媚薬は街で高く売れるから お金に困ったときの最終手段だよ」
「ああなるほど…」
「アオ、これ安全なんだよね」
「もちろん なんならキイロちゃんにもあげようか」
「いらないよ!」
安全な薬なら大丈夫だよね。これもみんなのためだ。頑張るぞ。
王子の部屋をノックするとすぐに返事がきた。
私はお茶を持って彼の部屋に入る。
ば、ばれないように。絶対に成功させなければ。
「こんな夜中に珍しいな 何かあったのか」
椅子に座り本を読んでいた彼が当然の疑問をぶつけてくる。
「ええっと…もうすぐ帰るらしいから…その緊張?してるのではないかと思いまして…」
「いや別…」
「これ!お茶淹れたから飲んで!!」
私が少し食い気味にお茶を差し出すと彼は不思議そうな顔をした。
や、やばい…。おかしかったかな。不自然?
彼は戸惑いながらもお茶を受け取りすんっと匂いを嗅いだ。
ちらりと私の方に視線を向ける。
どきどきどきどき。冷や汗が背中を伝う。私は今とても挙動不審に違いない。
彼が一口お茶を飲む。
…。
…。
…。
そして
ふっと笑った。
「とても美味しいよ ありがとう」
よかったぁーーーー。バレてない。
安堵によるため息が出る。
彼はその後残りのお茶を一気に飲み干した。
任務完了っ。
私が壁際で額の汗を拭っているといつの間にか王子が目の前にいた。
「え」
王子は私の腕を掴むと壁にはりつけ、至近距離に王子の顔がある。
彼はとても楽しそうに
「で?なんの意図があってこんなことしたんだ」
「…」
「俺に襲われたいってことでいい?」
ば、バレてた。
それとも薬の効果?クロは知ってて飲んだの?ど、どうしよう。
逃げないと。
しかし腕を引き抜こうにも引き抜けない。力が強すぎる。彼は色っぽい視線を私に向けた。こ、こんなにすぐ効果でるの?!
危険すぎでしょ。
彼が私の首筋を舐める。その時
激しくドアがノックされた。
「キイロちゃん!ちょっと急用なんだけど」
アオだ。彼が一瞬力を緩めたスキに脱出しドアまで走る。
「ごめんおまたせ」
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私達はそのまま外まで走った。
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