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15 キスの練習をしよう
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放課後は結局ハクと下校した。
彼の家に行くのは少しためらわれたが、漫画をかしてくれるとのことだし。なにより、俺だけ昨日のことを意識してるのを悟られたくなかった。
家につくまでの間ラピとどこで出会ったのか何を話したのかを根掘り葉掘り聞かれた。そんなに彼女のお兄さんが気になるのか。確かに今日ふたりとも空気良くなかったからなぁ。
でも重度のシスコンなのかもしれないなんて絶対に言えない。しかたなく俺は言葉を濁した。
ハクの部屋はとても広い。そして全体的に黒でまとめられていて、いつ来てもおしゃれだ。
この部屋には何度か来たことがある。でも前に来たときは…思い出したくもない。俺は意図的にベッドから視線をそらし床に座った。
彼はいつも普通なのに時々何かのスイッチが入ったかのようにああいうことをする。
少し警戒しつつ彼の持ってきたオレンジジュースに口をつけた。
部屋の温度は少し高くうっすら汗をかいていたのでセーターを脱いだ。
ひんやりとしたオレンジジュースが美味しい。俺はベッドを背もたれにしてストローをくわえた。
横に彼も腰掛ける。そしてぽつりぽつりと話し始めた。
「ウサミちゃん今日俺の家来たがってたけどさ、誘ったら来てくれんのかな」
「…」
俺はストローの先を噛んだ。
「ど、どうだろ。でも良くないと思う」
「なんで?」
ハクは首を傾げてグラスを置いた。表情はどことなく楽しそうだ。
「なんでって…」
友達にもあんなことする彼のことだ。彼女が家に来たらなにをするのかわからない。
俺は頭を巡らせて一言。
「ふ、不純異性交友…だから」
そう呟いた。
彼はそれに声を出して笑う。
「な、なにがおかしいんだよ。高校生ならそれが普通だろ」
「いや、案外みんなしてると思うよ」
「え?だってそういうことって結婚するまでしないのが普通なんじゃ…」
「ロンっておじいちゃんなの?もしかしてキスもしたことない?」
ギクッ。友達すらろくにいない俺に彼女なんてできたことはない。
ウサミちゃんの件みたいにいつも遠目から眺めて終わりだ。
「うるさいなっどうでもいいだろ」
俺がふいっと横を向くとハクが顔を覗き込んできた。
「なら練習しとく?」
「練習…?」
「実は俺もキスはしたことないからこれが初めて」
キス"は"?少々引っかかるところがあるが、ハクは突然俺の膝の上にまたがってきた。
「えっちょっと…まって…っ」
背後にはベッドがあって逃げられない。彼は俺の肩をつかむと、ぐいっと顔を近づけてきた。
彼の家に行くのは少しためらわれたが、漫画をかしてくれるとのことだし。なにより、俺だけ昨日のことを意識してるのを悟られたくなかった。
家につくまでの間ラピとどこで出会ったのか何を話したのかを根掘り葉掘り聞かれた。そんなに彼女のお兄さんが気になるのか。確かに今日ふたりとも空気良くなかったからなぁ。
でも重度のシスコンなのかもしれないなんて絶対に言えない。しかたなく俺は言葉を濁した。
ハクの部屋はとても広い。そして全体的に黒でまとめられていて、いつ来てもおしゃれだ。
この部屋には何度か来たことがある。でも前に来たときは…思い出したくもない。俺は意図的にベッドから視線をそらし床に座った。
彼はいつも普通なのに時々何かのスイッチが入ったかのようにああいうことをする。
少し警戒しつつ彼の持ってきたオレンジジュースに口をつけた。
部屋の温度は少し高くうっすら汗をかいていたのでセーターを脱いだ。
ひんやりとしたオレンジジュースが美味しい。俺はベッドを背もたれにしてストローをくわえた。
横に彼も腰掛ける。そしてぽつりぽつりと話し始めた。
「ウサミちゃん今日俺の家来たがってたけどさ、誘ったら来てくれんのかな」
「…」
俺はストローの先を噛んだ。
「ど、どうだろ。でも良くないと思う」
「なんで?」
ハクは首を傾げてグラスを置いた。表情はどことなく楽しそうだ。
「なんでって…」
友達にもあんなことする彼のことだ。彼女が家に来たらなにをするのかわからない。
俺は頭を巡らせて一言。
「ふ、不純異性交友…だから」
そう呟いた。
彼はそれに声を出して笑う。
「な、なにがおかしいんだよ。高校生ならそれが普通だろ」
「いや、案外みんなしてると思うよ」
「え?だってそういうことって結婚するまでしないのが普通なんじゃ…」
「ロンっておじいちゃんなの?もしかしてキスもしたことない?」
ギクッ。友達すらろくにいない俺に彼女なんてできたことはない。
ウサミちゃんの件みたいにいつも遠目から眺めて終わりだ。
「うるさいなっどうでもいいだろ」
俺がふいっと横を向くとハクが顔を覗き込んできた。
「なら練習しとく?」
「練習…?」
「実は俺もキスはしたことないからこれが初めて」
キス"は"?少々引っかかるところがあるが、ハクは突然俺の膝の上にまたがってきた。
「えっちょっと…まって…っ」
背後にはベッドがあって逃げられない。彼は俺の肩をつかむと、ぐいっと顔を近づけてきた。
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