3 / 19
3 好きなタイプ
しおりを挟む
嫌な予感がする。
「え~じゃあ本当に帰国子女なんだぁ」
教室、前の席。クラスメイトの女子たちに囲まれているのは転校生のイケメン。そして俺が苦手とする奴だ。
にこにこと愛想よく受け答えをする姿はこの前と大違い。
きらきらと目を輝かせるクラスメイトとは対照的に俺の気分は沈んでいる。
「中学の三年間だけだからそんなに外国語喋れねーけど」
彼が転校してきてから一週間ぐらいたっただろうか。あの件以来特に変わったことはない。ただハクは昔にもましてよく話しかけてくるようになった。
"おはよう"から"また明日"まで学校では一日中俺にべったりだ。教室移動の際も、昼食の際もずーっと一緒。
二人のときは強引でわがままなのに教室ではキラキラ白髪の王子様だった。
常にクラスメイトの視線は彼に注がれている。小学校の頃もそうだったけど彼には人を引き付ける何かがあるらしい。
だから一緒にいる俺もその視線を浴びるはめになるのは当然のことだった。
なんであいつがハクくんと仲良くしてるの?って皆絶対思ってる…。
ごめんなさい。ごめんなさい。できれば俺も仲良くしたくないんです…。そう思いながら今日もお昼ごはんを食べていた。
そんな毎日の癒やしはクラスメイトのウサミちゃんだった。
ウサミちゃんは黒髪メガネのおとなしい女の子。教室では目立たないけど成績優秀でとてもかわいい癒やし系女子だ。
斜め前の美女をぽけーっと眺めていると、ハクが眉をひそめた。
「何見てんの?」
何故か顔には不機嫌ですと書かれている。
「いや、黒髪メガネって最強だなと思って…」
まだ彼の前では萎縮してしまうことはあるが一週間も一緒にいると少し慣れてくる。
つい思っていたことを口に出してしまった。俺は黒髪メガネの大人しい女の子がタイプだったから。
「へぇー」
その時は興味なさげに相槌を打っていたから翌日の彼の行動には驚いた。
「きゃーーーっ」
翌日の朝ハクは何故かいつも以上に女子に囲まれていた。
何事かと視線を上げると至っていつもどおりの彼だった。
ハクはスクールバックを机の上に置くと、おはようと挨拶をする。いつものことだ。いつもと違うのは彼の整った顔面に黒いメガネがのっていることだけ。
切れ長のツリ目に黒いメガネはよく似合っていた。一気に大人っぽさがましている。なるほどこれで女子が騒いでいたのか。
イケメンは何をしても喜ばれるみたいだ。
「どう?」
席につくなりそう尋ねてきた。
「え?どうって…?」
すると彼は不満そうに眼鏡を持ち上げた。
「髪も黒に染めようと思ってるんだけど」
「え?!やめなよ!」
「?」
「せっかくきれいな白髪なのにもったいない…」
彼のさらさらの白髪はオーシャンブルーの瞳とよくあっている。まつげまで雪が積もったように真っ白だった。
「きれいか…?」
「うん。すごく」
それを黒く染めるなんて…。
「ならやめるわ」
「え、あぁうん…」
俺が反対すると彼はすぐに考えを改めてくれた。思ったよりもあっさりしていて拍子抜けする。
その日の昼休みのことだった。俺にとって今年一番の大事件が起きた。
「え~じゃあ本当に帰国子女なんだぁ」
教室、前の席。クラスメイトの女子たちに囲まれているのは転校生のイケメン。そして俺が苦手とする奴だ。
にこにこと愛想よく受け答えをする姿はこの前と大違い。
きらきらと目を輝かせるクラスメイトとは対照的に俺の気分は沈んでいる。
「中学の三年間だけだからそんなに外国語喋れねーけど」
彼が転校してきてから一週間ぐらいたっただろうか。あの件以来特に変わったことはない。ただハクは昔にもましてよく話しかけてくるようになった。
"おはよう"から"また明日"まで学校では一日中俺にべったりだ。教室移動の際も、昼食の際もずーっと一緒。
二人のときは強引でわがままなのに教室ではキラキラ白髪の王子様だった。
常にクラスメイトの視線は彼に注がれている。小学校の頃もそうだったけど彼には人を引き付ける何かがあるらしい。
だから一緒にいる俺もその視線を浴びるはめになるのは当然のことだった。
なんであいつがハクくんと仲良くしてるの?って皆絶対思ってる…。
ごめんなさい。ごめんなさい。できれば俺も仲良くしたくないんです…。そう思いながら今日もお昼ごはんを食べていた。
そんな毎日の癒やしはクラスメイトのウサミちゃんだった。
ウサミちゃんは黒髪メガネのおとなしい女の子。教室では目立たないけど成績優秀でとてもかわいい癒やし系女子だ。
斜め前の美女をぽけーっと眺めていると、ハクが眉をひそめた。
「何見てんの?」
何故か顔には不機嫌ですと書かれている。
「いや、黒髪メガネって最強だなと思って…」
まだ彼の前では萎縮してしまうことはあるが一週間も一緒にいると少し慣れてくる。
つい思っていたことを口に出してしまった。俺は黒髪メガネの大人しい女の子がタイプだったから。
「へぇー」
その時は興味なさげに相槌を打っていたから翌日の彼の行動には驚いた。
「きゃーーーっ」
翌日の朝ハクは何故かいつも以上に女子に囲まれていた。
何事かと視線を上げると至っていつもどおりの彼だった。
ハクはスクールバックを机の上に置くと、おはようと挨拶をする。いつものことだ。いつもと違うのは彼の整った顔面に黒いメガネがのっていることだけ。
切れ長のツリ目に黒いメガネはよく似合っていた。一気に大人っぽさがましている。なるほどこれで女子が騒いでいたのか。
イケメンは何をしても喜ばれるみたいだ。
「どう?」
席につくなりそう尋ねてきた。
「え?どうって…?」
すると彼は不満そうに眼鏡を持ち上げた。
「髪も黒に染めようと思ってるんだけど」
「え?!やめなよ!」
「?」
「せっかくきれいな白髪なのにもったいない…」
彼のさらさらの白髪はオーシャンブルーの瞳とよくあっている。まつげまで雪が積もったように真っ白だった。
「きれいか…?」
「うん。すごく」
それを黒く染めるなんて…。
「ならやめるわ」
「え、あぁうん…」
俺が反対すると彼はすぐに考えを改めてくれた。思ったよりもあっさりしていて拍子抜けする。
その日の昼休みのことだった。俺にとって今年一番の大事件が起きた。
10
お気に入りに追加
147
あなたにおすすめの小説




【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!


美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる