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18 夢かもしれない
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午後三時、約束の時間に俺は紅茶を持って彼の部屋に訪れた。シャロンは机の上にある山積みの書類と格闘していた。
「シャロン、そろそろ休憩しなよ」
「あぁあと少しだ」
5分後、彼はようやく席を立つと部屋の中央にあるソファーに移動した。そして俺の淹れた紅茶を一口飲む。
「うまいな」
「だろ?練習の成果でただろ」
「あぁ、初日なんてカップに茶葉が直で入ってたからな」
シャロンはくすくす笑った。
「それはもう忘れてくれ。俺も飲んでいい?」
「どうぞ」
シャロンは反対側のソファーに座るよう促した。しかし、俺はわざと彼の隣に座る。それもピタリと体をくっつけて。
すると彼は明らかに動揺した。
「…っ近くないか」
「そうか?友達なら普通だろ」
「そうか…」
そして軽くもたれかかるとピクリと硬直した。わかりやすい。そのまま頭を肩に預けて顔を見つめると耳がだんだん赤くなる。
「近い。暑苦しいっ」
シャロンはそう言って俺を払い除けた。本当は彼が俺のことをどう思っているのか知りたくてわざとこんなことをしてみたんだけど。この真面目くんをからかうのは案外楽しい。
「…」
「何見ているんだ」
「いや?シャロン肌綺麗だなって思ってさ」
「はあ…」
「触っていい?」
にやりと笑い、頬を指でなぞると彼はピクリと眉を動かした。そのままティーカップを持ち固まっている。
「ふっ、くくくっ…あはっ」
感情が表情にそのまま出るから面白くて仕方ない。いつもは仏頂面なのになんだか可愛く思えてきた。
「何を笑ってるんだ」
あーあ、あいつもこのぐらい分かりやすければよかったのにな。
…。ふと銀髪の男が頭に浮かんで…俺は勢いよく頭を左右に振った。
「はぁ…」
「ため息をつきたいのはこっちの方だ。近いと言ってるだろ離れろ」
「へいへい」
「風邪?!」
今日俺は隣町まで半日かけて買い物に行く予定だった。しかしお屋敷を出ようとした際、メイド長からシャロンが熱を出したと聞かされた。
「お医者さんは?」
「呼びましたよ。今日一日は安静にするようにですって。そこで、悪いんだけどシャロン様の看病をお願いしたいんです」
「いいけど、俺今から買い物あって」
「それはアンナが引き受けましょう。使用人の間でも風邪が流行っていてね、人手不足なんです。あなたは見るからに体が丈夫そうだし…それに」
メイド長は俺をじーっと見つめた。そして、
「あなたは絶対に風邪を引かないわ。迷信があるのよ」
「??」
「ほら、バカは風引かないってね」
ったく…。メイド長も人使いが荒い。俺は水をためた桶とタオルを持ってシャロンの部屋を訪れた。そっとドアを開け、ベッドに近づく。
黒髪の青年は頬を赤くし苦しそうに唸っていた。
「大丈夫か?」
「…っはぁ…う…」
もしかしてここ最近顔が赤くなっていたのは熱のせいだったのだろうか。勝手に自分のことを好いているのだと勘違いしてしまい申し訳ない。
「タオルかえるから。あとここに薬おいておく。何かあったら呼んでくれ」
「…」
白い布を水に浸し、それを絞るとシャロンの額に乗せた。見るからに具合が悪そうだ。
「わっ」
突然、シャロンが俺の手首を掴んだ。ものすごい力だ。それにとても熱い。
「…っどこにも行かないでくれ…!」
「…」
「クロ‥」
涙目で引き止められてしまってはどこにも行くことはできない。仕方なく俺はベッドに腰掛けた。
「わかった。お前が死なないか見ておくよ」
「…ん」
「…」
「…」
「そう…いえば」
「んー?」
「今日クロは…はぁ…ゲホッ」
「…今日クロは…隣町に行くと言っていた」
「ん。でも看病することになったから」
「もしかしてこれは夢か…?」
意識が朦朧としているのかシャロンには俺の声が届いていないようだった。そして怠そうに上半身を起こすと、そのまま俺を後ろから抱きしめてきた。
「おい」
「こんなリアルな夢を見たのは初めてだ」
「だから夢じゃないって」
「いつもは…いいところで消えてしまうから」
いつも?シャロンはよく俺の夢を見るのだろうか。彼は布団を剥いで俺の腰に手を回すと肩に顔を埋めた。
「クロの香りがする…」
「…っ」
シャロンの体は思ったよりも熱かった。匂いを嗅がれて困惑よりも恥ずかしさがこみ上げてくる。
「ちょっと…っ寝たほうがいいんじゃね」
「やだ」
「やだって…」
頬を膨らませ拗ねる姿は到底いつものシャロンとは思えない。彼は頭上にある耳に頬を擦り寄せてきた。俺はピクピクと耳を動かした。
「これ、初めからずっと可愛いと思ってた…ふさふさだな」
「…」
何かがおかしい。いつものシャロンはこんなに甘ったるく喋らない。それに空気がなんか…。
「今日は最後までできそうだ」
「はっちょ、ちょっとシャロンさん?!」
彼はその場でズボンを下げ始めた。そして下着の中から大きなそれを取り出した。この地域の人は身長もでかいけどまさかここまで…。
そのサイズ俺は息を呑んだ。まさかこいつこれを俺に…?いや無理無理。体が真っ二つに裂けてもおかしくないレベルだ。
「シャロン、これは夢じゃない!無理だから!離せ」
王子と散々やってきたけどこれは規格外だ。まだ死にたくはない。バタバタと手足を動かすが、お腹に回された腕は力が強く振りほどけなかった。
「大丈夫だ…すぐ終わる」
耳元で低音ボイスが響いた。そしてシャロンは俺にキスを求める。
「ん…っ」
「シャロン、そろそろ休憩しなよ」
「あぁあと少しだ」
5分後、彼はようやく席を立つと部屋の中央にあるソファーに移動した。そして俺の淹れた紅茶を一口飲む。
「うまいな」
「だろ?練習の成果でただろ」
「あぁ、初日なんてカップに茶葉が直で入ってたからな」
シャロンはくすくす笑った。
「それはもう忘れてくれ。俺も飲んでいい?」
「どうぞ」
シャロンは反対側のソファーに座るよう促した。しかし、俺はわざと彼の隣に座る。それもピタリと体をくっつけて。
すると彼は明らかに動揺した。
「…っ近くないか」
「そうか?友達なら普通だろ」
「そうか…」
そして軽くもたれかかるとピクリと硬直した。わかりやすい。そのまま頭を肩に預けて顔を見つめると耳がだんだん赤くなる。
「近い。暑苦しいっ」
シャロンはそう言って俺を払い除けた。本当は彼が俺のことをどう思っているのか知りたくてわざとこんなことをしてみたんだけど。この真面目くんをからかうのは案外楽しい。
「…」
「何見ているんだ」
「いや?シャロン肌綺麗だなって思ってさ」
「はあ…」
「触っていい?」
にやりと笑い、頬を指でなぞると彼はピクリと眉を動かした。そのままティーカップを持ち固まっている。
「ふっ、くくくっ…あはっ」
感情が表情にそのまま出るから面白くて仕方ない。いつもは仏頂面なのになんだか可愛く思えてきた。
「何を笑ってるんだ」
あーあ、あいつもこのぐらい分かりやすければよかったのにな。
…。ふと銀髪の男が頭に浮かんで…俺は勢いよく頭を左右に振った。
「はぁ…」
「ため息をつきたいのはこっちの方だ。近いと言ってるだろ離れろ」
「へいへい」
「風邪?!」
今日俺は隣町まで半日かけて買い物に行く予定だった。しかしお屋敷を出ようとした際、メイド長からシャロンが熱を出したと聞かされた。
「お医者さんは?」
「呼びましたよ。今日一日は安静にするようにですって。そこで、悪いんだけどシャロン様の看病をお願いしたいんです」
「いいけど、俺今から買い物あって」
「それはアンナが引き受けましょう。使用人の間でも風邪が流行っていてね、人手不足なんです。あなたは見るからに体が丈夫そうだし…それに」
メイド長は俺をじーっと見つめた。そして、
「あなたは絶対に風邪を引かないわ。迷信があるのよ」
「??」
「ほら、バカは風引かないってね」
ったく…。メイド長も人使いが荒い。俺は水をためた桶とタオルを持ってシャロンの部屋を訪れた。そっとドアを開け、ベッドに近づく。
黒髪の青年は頬を赤くし苦しそうに唸っていた。
「大丈夫か?」
「…っはぁ…う…」
もしかしてここ最近顔が赤くなっていたのは熱のせいだったのだろうか。勝手に自分のことを好いているのだと勘違いしてしまい申し訳ない。
「タオルかえるから。あとここに薬おいておく。何かあったら呼んでくれ」
「…」
白い布を水に浸し、それを絞るとシャロンの額に乗せた。見るからに具合が悪そうだ。
「わっ」
突然、シャロンが俺の手首を掴んだ。ものすごい力だ。それにとても熱い。
「…っどこにも行かないでくれ…!」
「…」
「クロ‥」
涙目で引き止められてしまってはどこにも行くことはできない。仕方なく俺はベッドに腰掛けた。
「わかった。お前が死なないか見ておくよ」
「…ん」
「…」
「…」
「そう…いえば」
「んー?」
「今日クロは…はぁ…ゲホッ」
「…今日クロは…隣町に行くと言っていた」
「ん。でも看病することになったから」
「もしかしてこれは夢か…?」
意識が朦朧としているのかシャロンには俺の声が届いていないようだった。そして怠そうに上半身を起こすと、そのまま俺を後ろから抱きしめてきた。
「おい」
「こんなリアルな夢を見たのは初めてだ」
「だから夢じゃないって」
「いつもは…いいところで消えてしまうから」
いつも?シャロンはよく俺の夢を見るのだろうか。彼は布団を剥いで俺の腰に手を回すと肩に顔を埋めた。
「クロの香りがする…」
「…っ」
シャロンの体は思ったよりも熱かった。匂いを嗅がれて困惑よりも恥ずかしさがこみ上げてくる。
「ちょっと…っ寝たほうがいいんじゃね」
「やだ」
「やだって…」
頬を膨らませ拗ねる姿は到底いつものシャロンとは思えない。彼は頭上にある耳に頬を擦り寄せてきた。俺はピクピクと耳を動かした。
「これ、初めからずっと可愛いと思ってた…ふさふさだな」
「…」
何かがおかしい。いつものシャロンはこんなに甘ったるく喋らない。それに空気がなんか…。
「今日は最後までできそうだ」
「はっちょ、ちょっとシャロンさん?!」
彼はその場でズボンを下げ始めた。そして下着の中から大きなそれを取り出した。この地域の人は身長もでかいけどまさかここまで…。
そのサイズ俺は息を呑んだ。まさかこいつこれを俺に…?いや無理無理。体が真っ二つに裂けてもおかしくないレベルだ。
「シャロン、これは夢じゃない!無理だから!離せ」
王子と散々やってきたけどこれは規格外だ。まだ死にたくはない。バタバタと手足を動かすが、お腹に回された腕は力が強く振りほどけなかった。
「大丈夫だ…すぐ終わる」
耳元で低音ボイスが響いた。そしてシャロンは俺にキスを求める。
「ん…っ」
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