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16 異国でどうやって生きていこうか
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★クロ視点
「リ、リ、リアラ‥っ?!」
誰かが部屋に入ってきて、とっさにクローゼットの中に隠れたがバレてしまった。しかし部屋に乱入してきたのはなんとリアラだった。
なんで…パーティー会場にいるんじゃなかったのかよ。
やばい…。抜け出したことをチクられるかもしれない。あと少しで城から出れそうだったのにクソ…!
俺はキッと彼を下から睨みつけた。一方彼は目を丸くして暫く俺を見つめた。
真っ暗の部屋で彼の目が光って見える。なんだか不気味だ。リアラはニヤリと満面の笑みを浮かべた。
「探す手間が省けたよ」
「はっ、?」
そして勢いよく俺の腕を掴んだ。
「ちょっちょっとまってくれ、えっとその…トイレに行きたくて部屋を出ただけなんだ…だから…」
彼はこちらの話に全く耳を傾けず、魔法陣の中に俺を突き飛ばした。
「わっ」
ドタっと硬い床に尻餅をつく。
さっきリアラが部屋に乱入してくる前、俺は偶然この不気味な魔法陣を見つけてしまった。
魔法陣なんて今時書くやつがいるなんて…と感心していた。
でもなんでリアラがここにいるんだろうか。パーティーはどうしたんだ。それにこの魔法陣はもしかして彼が書いたのだろうか。
「あの…」
「なんで」
「…え?」
「なんでいつもお前なんだよ!僕のほうが王子のこと好きなのに!なんでなんでなんでなんでなんで」
「…リアラ?」
なんだか様子がおかしい。
「早くどっかに消えてよ!僕たちのいないところに行けよ」
「…」
そうやって怒鳴り散らす彼の目には大粒の涙が浮かんでいた。
「何?それともレオ様のことが好きになっちゃったの?ふふ、バカだね。君みたいな汚い猫レオ様は相手になんかしないのにさ」
「お前は遊びなんだよ。性欲発散の道具。いつか捨てられる飽きられる」
彼が俺に向かって両手を伸ばすと、黄色い光が魔法陣を包み込んだ。
「強制転移魔法。消えろクロネコ」
その瞬間、視界が真っ白になった。眩しくて目を閉じる。
…そして次に目を開けた先は全く知らない土地だった。
「ここは…」
周囲を見回すとここが町の路地裏であるということは理解できた。しかしどこなのだろうか。石でできた高い建物、ゴミ箱には数匹のネズミが群がっていた。さっきまで夜だったのに、空を見上げると青空が広がっている。
「強制転移魔法…まじか…」
俺はどうやらリアラにどこかへ飛ばされたらしい。王都と随分時差のある場所、つまり遠くの異国へと転移された可能性が高い。
とりあえず立ち上がると、人通りの多い道へ歩き始めた。そして人々を観察する。
困ったときいちばん大切なのは冷静さを失わないことだ。今までそれでどうにかなってきた。
町を行き交う人は皆、ひらひらした白い服を着ていた。やけに露出が激しい。そして身長は高く、日に焼けた肌に黒い髪と緑の目をしていた。
「にしてもあっちぃ…」
俺はパタパタと服の襟を動かした。王都でもこんなに暑い日はなかった。やはりここが異国であることは理解したけど…これからどうしようか。
「☓☓☓」
「ん…?」
その時、道を行き交う中の一人がなにか喋りながらこちらに向かってきた。身長の高い、日に焼けた肌にサラサラの黒髪をもつ男だった。四角い眼鏡をかけている。
「☓☓☓☓☓、☓☓」
「???」
なにか怒ってるのか?それとも困惑してる?男は何かを必死に伝えようとしてくれているが如何せん言葉が通じない。
俺は唖然としてその場に立ち尽くした。
突然、男は俺の腕をつかむと歩き出した。
「あ、ちょっと待てよ。おい!」
すると男はその場で立ち止まり後ろを振り返る。
「お前、もしかして王都の人間なのか」
「へ?」
今、言葉通じたような…気のせいか?
「答えろ。この言語であっているか」
「あ、うん伝わる…お前セルトラル語喋れるのか」
「あぁ、王都の学校に通っているからな。一応二か国語喋れる」
男は眼鏡をくいっとあげると俺から視線をそらさずにそういった。
「た、助かったぁ」
全く知らない土地で母国語を聞くと安堵感がすごい。一気に体の力が抜けてその場にしゃがみこんだ。
「おい、具合でも悪いのか」
「いや、大丈夫…。それより、この国について教えてほしい」
「はぁ…」
とりあえず、二人公園のベンチに腰掛けることにした。
男の名前はシャロンというらしい。シャロンはこの国出身、王都の学生で、現在長期休みで帰省しているという。そしてここはマーラハラントという地域で王都からかなり離れたところにあるらしい。
「なるほどな…」
「クロは何故手ぶらであんなところにいたんだ。あの路地は犯罪が横行していることで有名だ。観光なら別のところにしてくれ」
「あー観光と言うか…。転移魔法で飛ばされたっぽいんだ」
「転移魔法?」
シャロンは訝しげにこちらを見た。
「んーなんか、いろいろあってさ…まぁこれはこれれで俺の望んでた結果なんだけど」
「ほぅ」
「でも流石に言語通じないのはやばいんだよな…せめて王都に帰りたくて…。帰り方とか知らないか。あんた魔法学生なんだろ?」
「転移魔法は上級魔法使いしか使えないから無理だ。何ヶ月も歩くか、もしくは魔法石を使って移動する必要がある」
「魔法石はどこで手に入るんだ?」
「まぁ、そのへんの店では売ってないだろうな。そもそも魔法石はものすごく高価な代物だが、お前金はあるのか?」
「いや…」
「そうか…」
「えっと…ってことは俺もう戻れないってことか?」
シャロンの顔を覗き込んだ。どうしようか。城から出たいとは思っていたが全く知らない国で生活していける自信はない。
「私が三ヶ月後、学校に戻るタイミングで良ければ送れる」
「本当に?!」
「あぁ、王都で帰りの魔法石を買ってきたからな」
「ありがとう!ぜひよろしくお願いします!!」
助かったぁ。シャロンというこの神によってどうにかまだ生きていけそうだ。俺は深く頭を下げた。
「あぁ…なぁ、あとそれから…三ヶ月間、俺でも働けるところとか住める場所ないかな」
「難しいだろうな。この地域でセントラル語を話せるやつなんてそうそういない」
「だよなー」
「そもそもこの国に不正侵入してる時点で移住権もないだろう」
「はぁ…詰んだ。三ヶ月どうしよう…」
「…」
シャロンは俺から視線を外すと足を組み直した。
「私も昔一度家出をしたことがある」
「え?」
「リ、リ、リアラ‥っ?!」
誰かが部屋に入ってきて、とっさにクローゼットの中に隠れたがバレてしまった。しかし部屋に乱入してきたのはなんとリアラだった。
なんで…パーティー会場にいるんじゃなかったのかよ。
やばい…。抜け出したことをチクられるかもしれない。あと少しで城から出れそうだったのにクソ…!
俺はキッと彼を下から睨みつけた。一方彼は目を丸くして暫く俺を見つめた。
真っ暗の部屋で彼の目が光って見える。なんだか不気味だ。リアラはニヤリと満面の笑みを浮かべた。
「探す手間が省けたよ」
「はっ、?」
そして勢いよく俺の腕を掴んだ。
「ちょっちょっとまってくれ、えっとその…トイレに行きたくて部屋を出ただけなんだ…だから…」
彼はこちらの話に全く耳を傾けず、魔法陣の中に俺を突き飛ばした。
「わっ」
ドタっと硬い床に尻餅をつく。
さっきリアラが部屋に乱入してくる前、俺は偶然この不気味な魔法陣を見つけてしまった。
魔法陣なんて今時書くやつがいるなんて…と感心していた。
でもなんでリアラがここにいるんだろうか。パーティーはどうしたんだ。それにこの魔法陣はもしかして彼が書いたのだろうか。
「あの…」
「なんで」
「…え?」
「なんでいつもお前なんだよ!僕のほうが王子のこと好きなのに!なんでなんでなんでなんでなんで」
「…リアラ?」
なんだか様子がおかしい。
「早くどっかに消えてよ!僕たちのいないところに行けよ」
「…」
そうやって怒鳴り散らす彼の目には大粒の涙が浮かんでいた。
「何?それともレオ様のことが好きになっちゃったの?ふふ、バカだね。君みたいな汚い猫レオ様は相手になんかしないのにさ」
「お前は遊びなんだよ。性欲発散の道具。いつか捨てられる飽きられる」
彼が俺に向かって両手を伸ばすと、黄色い光が魔法陣を包み込んだ。
「強制転移魔法。消えろクロネコ」
その瞬間、視界が真っ白になった。眩しくて目を閉じる。
…そして次に目を開けた先は全く知らない土地だった。
「ここは…」
周囲を見回すとここが町の路地裏であるということは理解できた。しかしどこなのだろうか。石でできた高い建物、ゴミ箱には数匹のネズミが群がっていた。さっきまで夜だったのに、空を見上げると青空が広がっている。
「強制転移魔法…まじか…」
俺はどうやらリアラにどこかへ飛ばされたらしい。王都と随分時差のある場所、つまり遠くの異国へと転移された可能性が高い。
とりあえず立ち上がると、人通りの多い道へ歩き始めた。そして人々を観察する。
困ったときいちばん大切なのは冷静さを失わないことだ。今までそれでどうにかなってきた。
町を行き交う人は皆、ひらひらした白い服を着ていた。やけに露出が激しい。そして身長は高く、日に焼けた肌に黒い髪と緑の目をしていた。
「にしてもあっちぃ…」
俺はパタパタと服の襟を動かした。王都でもこんなに暑い日はなかった。やはりここが異国であることは理解したけど…これからどうしようか。
「☓☓☓」
「ん…?」
その時、道を行き交う中の一人がなにか喋りながらこちらに向かってきた。身長の高い、日に焼けた肌にサラサラの黒髪をもつ男だった。四角い眼鏡をかけている。
「☓☓☓☓☓、☓☓」
「???」
なにか怒ってるのか?それとも困惑してる?男は何かを必死に伝えようとしてくれているが如何せん言葉が通じない。
俺は唖然としてその場に立ち尽くした。
突然、男は俺の腕をつかむと歩き出した。
「あ、ちょっと待てよ。おい!」
すると男はその場で立ち止まり後ろを振り返る。
「お前、もしかして王都の人間なのか」
「へ?」
今、言葉通じたような…気のせいか?
「答えろ。この言語であっているか」
「あ、うん伝わる…お前セルトラル語喋れるのか」
「あぁ、王都の学校に通っているからな。一応二か国語喋れる」
男は眼鏡をくいっとあげると俺から視線をそらさずにそういった。
「た、助かったぁ」
全く知らない土地で母国語を聞くと安堵感がすごい。一気に体の力が抜けてその場にしゃがみこんだ。
「おい、具合でも悪いのか」
「いや、大丈夫…。それより、この国について教えてほしい」
「はぁ…」
とりあえず、二人公園のベンチに腰掛けることにした。
男の名前はシャロンというらしい。シャロンはこの国出身、王都の学生で、現在長期休みで帰省しているという。そしてここはマーラハラントという地域で王都からかなり離れたところにあるらしい。
「なるほどな…」
「クロは何故手ぶらであんなところにいたんだ。あの路地は犯罪が横行していることで有名だ。観光なら別のところにしてくれ」
「あー観光と言うか…。転移魔法で飛ばされたっぽいんだ」
「転移魔法?」
シャロンは訝しげにこちらを見た。
「んーなんか、いろいろあってさ…まぁこれはこれれで俺の望んでた結果なんだけど」
「ほぅ」
「でも流石に言語通じないのはやばいんだよな…せめて王都に帰りたくて…。帰り方とか知らないか。あんた魔法学生なんだろ?」
「転移魔法は上級魔法使いしか使えないから無理だ。何ヶ月も歩くか、もしくは魔法石を使って移動する必要がある」
「魔法石はどこで手に入るんだ?」
「まぁ、そのへんの店では売ってないだろうな。そもそも魔法石はものすごく高価な代物だが、お前金はあるのか?」
「いや…」
「そうか…」
「えっと…ってことは俺もう戻れないってことか?」
シャロンの顔を覗き込んだ。どうしようか。城から出たいとは思っていたが全く知らない国で生活していける自信はない。
「私が三ヶ月後、学校に戻るタイミングで良ければ送れる」
「本当に?!」
「あぁ、王都で帰りの魔法石を買ってきたからな」
「ありがとう!ぜひよろしくお願いします!!」
助かったぁ。シャロンというこの神によってどうにかまだ生きていけそうだ。俺は深く頭を下げた。
「あぁ…なぁ、あとそれから…三ヶ月間、俺でも働けるところとか住める場所ないかな」
「難しいだろうな。この地域でセントラル語を話せるやつなんてそうそういない」
「だよなー」
「そもそもこの国に不正侵入してる時点で移住権もないだろう」
「はぁ…詰んだ。三ヶ月どうしよう…」
「…」
シャロンは俺から視線を外すと足を組み直した。
「私も昔一度家出をしたことがある」
「え?」
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