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13 キミに伝えたいことがある
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★クロ視点
「体が痛てぇ…」
「どこか体調が悪いの…?」
「お前のせいだろ!」
王子があの変な瓶を開けた日の記憶はあまりない。あの日からもう一週間が経ったけど、なんか王子の様子がおかしい気がする。まぁ、こいつがおかしいのはいつものことだけど。なんか妙に優しいんだ。
レオはここ一週間、毎日毎日飽きずに俺を抱き潰した。でも初めの頃のような乱暴なものじゃなく、大切なものを扱うように丁寧に丁寧に抱く。
今だって体が痛いと愚痴っただけでこの慌てようだ。
現在夜の12時。今夜も散々いかされ俺たちはベッドに横たわっていた。行為のせいで眠気がまったくない。
レオがゆっくりと回復魔法を俺にかけ始めた。温かい魔法が体を包み込む。
「あーあ散歩行きたいな」
俺は窓の外を見つめると呟いた。ここに来てからずーっと監禁されている。もう何ヶ月経ったのだろうか。お兄さん事件の後からリアラとも会ってないしな…。
「毎晩結構運動させてると思うんだけどなぁ」
「は…?というか俺は望んでないからな!お前がいつも強引に…」
「さっきまであんなに気持ちいぃ気持ちいい言ってたのに?」
「それは…」
毎晩抱かれ続けたせいで俺の体はおかしくなってしまったのかもしれない。最近では、王子の顔を見ただけでなんとなくソワソワしてしまうんだ。
「まぁ、でも散歩いいよ。許可しよう」
「え…?」
まさかの承諾に驚いた。あれだけ部屋から出るなといつも念を押してるくせに。
「本当に…?!」
「その代わりお城の庭だけだよ。それに僕の側を離れないこと。約束して?」
「あぁ、うん。ありがと…」
なんというか…まじか。絶対に出してもらえないと思っていたから意外だった。どういう心境の変化だろうか。やっぱり最近の王子はどこかおかしい。
それから3日後、王子は散歩のためにわざわざ休暇を取り約束通り外に出してくれた。
普段よりも少し良さげな服を着せられ、彼に手を引かれながら庭に出る。
「うわぁ…」
久しぶりの外はとても清々しかった。ガラス越しじゃなくて生で見る青空や風の匂い、花の色に感動する。今まで当たり前だと思っていたのに…。
彼は俺をエスコートするようにゆっくりと庭を歩き出した。色とりどりの花が咲き誇る庭はまるで楽園のようだった。
やっぱり外はいいな。
しばらく歩くと植木でできたアーチが見えてきた。そのそばには真っ白なベンチが置かれている。
「少し休もうか」
「あぁ、うん…」
彼は今日、真っ白な服に赤いネクタイをしている。王子様のイメージにピッタリだ。その上銀色の髪に美しい顔面をしているのだから普通の人なら皆彼に惚れるのだろう。
内面を知らなければな。
ベンチに座ると彼は俺の手を握った。
「外はどう?」
「すごく、いい」
うっとりと呟く俺を王子は不安そうに見つめる。
「そう…でも、お城から出ていきたいなんて絶対に言わないでね」
振り向くとそこには泣きそうな表情の王子がいた。
「…」
正直、俺はまだあの部屋を出たいと思っている。はじめは王子に対して恐怖と憎しみしかなかった。でも一緒に過ごしていくうちに少しづつ、居心地の良さを感じていたのも事実だ。王子も俺のことをそれなりに大切にしてくれていると思う。実際、毎日好きだ好きだと言ってくれるし。
それでも俺は時々考える。彼は俺に執着しすぎじゃないかと。そして、いつか俺に飽きたら捨てられるんじゃないかと。王子様の隣には高貴なお姫様がお似合いなんじゃないかと。
王子はきっと俺のことをペットとして独占していたいんだと思う。かわいいお姫様が来たら俺の元へはもう通ってくれなくなるかもしれない。
いつかはリアラと結婚してしまうかもしれない。
そしたらあの閉め切った部屋で一生孤独に耐えなくてはいけなくなる。
そう考えたら、やはり城から早く出たほうがいいに決まっている。俺の中で少しづつ彼に対する情が芽生えているのを頭で理解しているからだ。
「クロ、」
名前を呼ばれて顔をあげると思ったよりもレオの顔が近くにあった。そしてゆっくりと顔を近づけると優しくキスをした。
「君に伝えたいことがある。来月、覚悟していてね」
そう鼓膜をくすぐる声でそう囁くとふわりと笑った。
伝えたいこと…?
その笑顔に思わず一瞬見とれた俺は、草陰でこちらを見る人物に気づかなかった。
「パーティ?」
「そうです。毎年この時期にお城でパーティーが開かれるのです」
翌日執事は俺の部屋を訪ねるとそう告げた。
「なんの?」
「まぁ、交流会といったところでしょう」
「はぁ…」
貴族はよほど暇なんだな。お城でパーティか‥楽しそうだった。まあでも監禁されているペットにパーティーなんて無縁だろう。でも、この前お散歩の許可を出してくれたし、もしかしたらもしかするかもしれない。
なんでも交流会は来週開催されるらしい。でも何故わざわざ俺にそんなことを伝えに来たのだろうか。
頭に疑問符を浮かべていると、執事が続けた。
「今年はクロ様がパーティーに呼ばれるかと思いまして」
「え?」
俺が?なんで?
「毎年王子様はリアラ様をパーティーに連れて行っておりました。しかし最近のご様子ですと王子はクロ様に夢中のようです」
「はぁ…」
「そこで念の為パーティー衣装の採寸をしようと思いまして」
王子が俺に夢中…。違うあれは多分…。でも、昨日の彼の言葉が頭をよぎった。
『君に伝えたいことがある。来月覚悟していてね』
あれは結局なんだったのだろう。
「体が痛てぇ…」
「どこか体調が悪いの…?」
「お前のせいだろ!」
王子があの変な瓶を開けた日の記憶はあまりない。あの日からもう一週間が経ったけど、なんか王子の様子がおかしい気がする。まぁ、こいつがおかしいのはいつものことだけど。なんか妙に優しいんだ。
レオはここ一週間、毎日毎日飽きずに俺を抱き潰した。でも初めの頃のような乱暴なものじゃなく、大切なものを扱うように丁寧に丁寧に抱く。
今だって体が痛いと愚痴っただけでこの慌てようだ。
現在夜の12時。今夜も散々いかされ俺たちはベッドに横たわっていた。行為のせいで眠気がまったくない。
レオがゆっくりと回復魔法を俺にかけ始めた。温かい魔法が体を包み込む。
「あーあ散歩行きたいな」
俺は窓の外を見つめると呟いた。ここに来てからずーっと監禁されている。もう何ヶ月経ったのだろうか。お兄さん事件の後からリアラとも会ってないしな…。
「毎晩結構運動させてると思うんだけどなぁ」
「は…?というか俺は望んでないからな!お前がいつも強引に…」
「さっきまであんなに気持ちいぃ気持ちいい言ってたのに?」
「それは…」
毎晩抱かれ続けたせいで俺の体はおかしくなってしまったのかもしれない。最近では、王子の顔を見ただけでなんとなくソワソワしてしまうんだ。
「まぁ、でも散歩いいよ。許可しよう」
「え…?」
まさかの承諾に驚いた。あれだけ部屋から出るなといつも念を押してるくせに。
「本当に…?!」
「その代わりお城の庭だけだよ。それに僕の側を離れないこと。約束して?」
「あぁ、うん。ありがと…」
なんというか…まじか。絶対に出してもらえないと思っていたから意外だった。どういう心境の変化だろうか。やっぱり最近の王子はどこかおかしい。
それから3日後、王子は散歩のためにわざわざ休暇を取り約束通り外に出してくれた。
普段よりも少し良さげな服を着せられ、彼に手を引かれながら庭に出る。
「うわぁ…」
久しぶりの外はとても清々しかった。ガラス越しじゃなくて生で見る青空や風の匂い、花の色に感動する。今まで当たり前だと思っていたのに…。
彼は俺をエスコートするようにゆっくりと庭を歩き出した。色とりどりの花が咲き誇る庭はまるで楽園のようだった。
やっぱり外はいいな。
しばらく歩くと植木でできたアーチが見えてきた。そのそばには真っ白なベンチが置かれている。
「少し休もうか」
「あぁ、うん…」
彼は今日、真っ白な服に赤いネクタイをしている。王子様のイメージにピッタリだ。その上銀色の髪に美しい顔面をしているのだから普通の人なら皆彼に惚れるのだろう。
内面を知らなければな。
ベンチに座ると彼は俺の手を握った。
「外はどう?」
「すごく、いい」
うっとりと呟く俺を王子は不安そうに見つめる。
「そう…でも、お城から出ていきたいなんて絶対に言わないでね」
振り向くとそこには泣きそうな表情の王子がいた。
「…」
正直、俺はまだあの部屋を出たいと思っている。はじめは王子に対して恐怖と憎しみしかなかった。でも一緒に過ごしていくうちに少しづつ、居心地の良さを感じていたのも事実だ。王子も俺のことをそれなりに大切にしてくれていると思う。実際、毎日好きだ好きだと言ってくれるし。
それでも俺は時々考える。彼は俺に執着しすぎじゃないかと。そして、いつか俺に飽きたら捨てられるんじゃないかと。王子様の隣には高貴なお姫様がお似合いなんじゃないかと。
王子はきっと俺のことをペットとして独占していたいんだと思う。かわいいお姫様が来たら俺の元へはもう通ってくれなくなるかもしれない。
いつかはリアラと結婚してしまうかもしれない。
そしたらあの閉め切った部屋で一生孤独に耐えなくてはいけなくなる。
そう考えたら、やはり城から早く出たほうがいいに決まっている。俺の中で少しづつ彼に対する情が芽生えているのを頭で理解しているからだ。
「クロ、」
名前を呼ばれて顔をあげると思ったよりもレオの顔が近くにあった。そしてゆっくりと顔を近づけると優しくキスをした。
「君に伝えたいことがある。来月、覚悟していてね」
そう鼓膜をくすぐる声でそう囁くとふわりと笑った。
伝えたいこと…?
その笑顔に思わず一瞬見とれた俺は、草陰でこちらを見る人物に気づかなかった。
「パーティ?」
「そうです。毎年この時期にお城でパーティーが開かれるのです」
翌日執事は俺の部屋を訪ねるとそう告げた。
「なんの?」
「まぁ、交流会といったところでしょう」
「はぁ…」
貴族はよほど暇なんだな。お城でパーティか‥楽しそうだった。まあでも監禁されているペットにパーティーなんて無縁だろう。でも、この前お散歩の許可を出してくれたし、もしかしたらもしかするかもしれない。
なんでも交流会は来週開催されるらしい。でも何故わざわざ俺にそんなことを伝えに来たのだろうか。
頭に疑問符を浮かべていると、執事が続けた。
「今年はクロ様がパーティーに呼ばれるかと思いまして」
「え?」
俺が?なんで?
「毎年王子様はリアラ様をパーティーに連れて行っておりました。しかし最近のご様子ですと王子はクロ様に夢中のようです」
「はぁ…」
「そこで念の為パーティー衣装の採寸をしようと思いまして」
王子が俺に夢中…。違うあれは多分…。でも、昨日の彼の言葉が頭をよぎった。
『君に伝えたいことがある。来月覚悟していてね』
あれは結局なんだったのだろう。
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