4 / 8
4 ワンコ後輩アルト
しおりを挟む
翌日目を覚ましたけど夢じゃなかった。お腹の数字は昨日の放課後で10たまった。
上限がいくつなのかは忘れてしまったが最低でも100はあったと思う…。一日何回すればいいんだよぉ…。
洗面台の鏡に映っているのは、眠そうな目をして歯を磨いている黒髪の男だった。それは正真正銘の僕だ。元の世界と一切見た目が変わっていない。ってことは異世界転移?なのかな。
首には赤い跡が無数に散らばっている。それにしてもすごい跡だ。先生はヤンデレキャラだから独占欲が強い。彼のルートでストーリーを進めると最後は監禁されてしまうんだ。
実はこのゲーム、出てくるキャラが全員曲者なんだよ。つまり、誰か一人のルートを選ぶと確実に帰れなくなる。
監禁、嫉妬、束縛、主人公を離すまいと必死なキャラたちに絡め取られてしまう。
目指すは友情エンド。みんなの好感度を上げながら誰とも付き合わない、適切な距離を保つあれだ。
ハーレムってやつ?ラブコメの主人公みたいなポジションだ。
そのためにも先生だけでなく他のキャラとも早く出会わなければならない。2、3人ぐらいキープしつつ仲良くなりすぎないのが友情エンドには必須だ。
全員と体の関係があるのに誰とも付き合わないってすごいビッチだし最低だと思う。でもそれがご都合主義のエロゲーでは許されるんだ。安全に帰るためだ。しかたない。
僕は制服に着替えると急いで家を出た。
主人公が通うのは大学までエスカレート式の7年生の学園。僕は多分高等部3年だと思う。
今日は最低でも一人攻略キャラクターに会えればいいかな。
学校に到着すると下駄箱で自分の名前を探した。すると後ろから誰かが声をかけてくる。
「先輩!」
振り返ると、そこにはもふもふのケモノ耳にしっぽの男子生徒が立っていた。彼はふわふわの茶髪に濃い茶色の瞳の、犬をモチーフにしたキャラだった。
思い出した!こいつは1個年下の後輩!アルトだ。
「アルトおはよう」
「おはようございます!朝から先輩と出会えるなんて今日はラッキーだなぁ」
挨拶をしただけなのに彼はニコニコと万遍の笑みを浮かべ、ふさふさの尻尾をブンブン振った。
まさか早速攻略キャラに会えるなんて!まずは好感度の確認をしないと。
僕はいきなり彼の手を取り指を絡めた。すると彼はひどく驚いた表情をする。
「え、先輩どうしたんですか…」
動揺してる動揺してる。僕は上目遣いで彼を見上げた。
「僕もアルトと話せて幸せ!」
ニコリと笑うと、彼は頬を赤く染めた。
「先輩なんか今日すごく可愛いです…どうしたんですか」
アルトは手で口元を覆うと数歩後ろに下がる。
「アルトが大好きなだけ」
直球でそう言ってみた。さぁどうだ…。
すると、ごくりと彼の喉仏が上下してしばらく沈黙が訪れた。
「…」
「…俺もだい…すきです…」
そしてとうとう俯いてしまった。耳まで真っ赤になっている。
本当に主人公無双状態だ。主人公のどこにそんなに魅力があるのか謎だけど。
もうどうでもいい。とにかく彼にもゲームクリアに協力してもらおう。
僕は彼のネクタイを強引に引っ張り、口づけをした。
「好きってこういう意味だよ?わかってる?」
どこかの先生とは違って奥手な彼はこのぐらいしないと気づいてくれないかもしれない。じーっと視線をあわせる。
「せ、先輩…罰ゲームとかでは…」
「ないよ」
そのとき後ろから生徒たちの声がした。登校ラッシュの時間になったのだろう。
「返事は昼休み聞くね。B棟四階、屋上前の踊り場で待ってるから」
僕はそれだけ言ってその場を後にした。
ここはアルトが告白するイベントの場所だ。本来なら告白するのはもっと先、文化祭の後ぐらいだ。でも悠長に待ってられない。朝の反応を見る限り好感度は大丈夫だと思うんだよな…。
昼休み、約束の場所にアルトはやってきた。ここは屋上へ出るためのドアの前。死角になっている踊り場だ。屋上へは鍵がかかっていて出れないようになっているから、そうそう人が来ることはない。
彼は少しそわそわしながら話を切り出した。
「あの…実は俺も先輩のこと…ずっと大好きで…つ、付き合いたいと思ってました…」
まんまるの瞳は少し潤んでいてもふもふの犬耳はぴくぴく動いている。緊張しているのか彼はギュッと服の裾を掴んでいた。
一見純粋そうで付き合っても問題なさそうだけど実は彼は凄い腹黒キャラ。
頷いたが最後、ガンガン外堀を埋められて逃げられなくなるのが落ちだ。最後は結婚して家に閉じ込められるエンドが待っている。
「んー?」
僕は彼にぎゅと抱きつき耳元で囁いた。
「僕もアルトが大好き。だから…」
そして耳にキスを落とす。
「付き合うよりさ、もっと気持ちいいことしよ?」
「へ?先輩?!」
僕は告白を流して彼を誘った。
上限がいくつなのかは忘れてしまったが最低でも100はあったと思う…。一日何回すればいいんだよぉ…。
洗面台の鏡に映っているのは、眠そうな目をして歯を磨いている黒髪の男だった。それは正真正銘の僕だ。元の世界と一切見た目が変わっていない。ってことは異世界転移?なのかな。
首には赤い跡が無数に散らばっている。それにしてもすごい跡だ。先生はヤンデレキャラだから独占欲が強い。彼のルートでストーリーを進めると最後は監禁されてしまうんだ。
実はこのゲーム、出てくるキャラが全員曲者なんだよ。つまり、誰か一人のルートを選ぶと確実に帰れなくなる。
監禁、嫉妬、束縛、主人公を離すまいと必死なキャラたちに絡め取られてしまう。
目指すは友情エンド。みんなの好感度を上げながら誰とも付き合わない、適切な距離を保つあれだ。
ハーレムってやつ?ラブコメの主人公みたいなポジションだ。
そのためにも先生だけでなく他のキャラとも早く出会わなければならない。2、3人ぐらいキープしつつ仲良くなりすぎないのが友情エンドには必須だ。
全員と体の関係があるのに誰とも付き合わないってすごいビッチだし最低だと思う。でもそれがご都合主義のエロゲーでは許されるんだ。安全に帰るためだ。しかたない。
僕は制服に着替えると急いで家を出た。
主人公が通うのは大学までエスカレート式の7年生の学園。僕は多分高等部3年だと思う。
今日は最低でも一人攻略キャラクターに会えればいいかな。
学校に到着すると下駄箱で自分の名前を探した。すると後ろから誰かが声をかけてくる。
「先輩!」
振り返ると、そこにはもふもふのケモノ耳にしっぽの男子生徒が立っていた。彼はふわふわの茶髪に濃い茶色の瞳の、犬をモチーフにしたキャラだった。
思い出した!こいつは1個年下の後輩!アルトだ。
「アルトおはよう」
「おはようございます!朝から先輩と出会えるなんて今日はラッキーだなぁ」
挨拶をしただけなのに彼はニコニコと万遍の笑みを浮かべ、ふさふさの尻尾をブンブン振った。
まさか早速攻略キャラに会えるなんて!まずは好感度の確認をしないと。
僕はいきなり彼の手を取り指を絡めた。すると彼はひどく驚いた表情をする。
「え、先輩どうしたんですか…」
動揺してる動揺してる。僕は上目遣いで彼を見上げた。
「僕もアルトと話せて幸せ!」
ニコリと笑うと、彼は頬を赤く染めた。
「先輩なんか今日すごく可愛いです…どうしたんですか」
アルトは手で口元を覆うと数歩後ろに下がる。
「アルトが大好きなだけ」
直球でそう言ってみた。さぁどうだ…。
すると、ごくりと彼の喉仏が上下してしばらく沈黙が訪れた。
「…」
「…俺もだい…すきです…」
そしてとうとう俯いてしまった。耳まで真っ赤になっている。
本当に主人公無双状態だ。主人公のどこにそんなに魅力があるのか謎だけど。
もうどうでもいい。とにかく彼にもゲームクリアに協力してもらおう。
僕は彼のネクタイを強引に引っ張り、口づけをした。
「好きってこういう意味だよ?わかってる?」
どこかの先生とは違って奥手な彼はこのぐらいしないと気づいてくれないかもしれない。じーっと視線をあわせる。
「せ、先輩…罰ゲームとかでは…」
「ないよ」
そのとき後ろから生徒たちの声がした。登校ラッシュの時間になったのだろう。
「返事は昼休み聞くね。B棟四階、屋上前の踊り場で待ってるから」
僕はそれだけ言ってその場を後にした。
ここはアルトが告白するイベントの場所だ。本来なら告白するのはもっと先、文化祭の後ぐらいだ。でも悠長に待ってられない。朝の反応を見る限り好感度は大丈夫だと思うんだよな…。
昼休み、約束の場所にアルトはやってきた。ここは屋上へ出るためのドアの前。死角になっている踊り場だ。屋上へは鍵がかかっていて出れないようになっているから、そうそう人が来ることはない。
彼は少しそわそわしながら話を切り出した。
「あの…実は俺も先輩のこと…ずっと大好きで…つ、付き合いたいと思ってました…」
まんまるの瞳は少し潤んでいてもふもふの犬耳はぴくぴく動いている。緊張しているのか彼はギュッと服の裾を掴んでいた。
一見純粋そうで付き合っても問題なさそうだけど実は彼は凄い腹黒キャラ。
頷いたが最後、ガンガン外堀を埋められて逃げられなくなるのが落ちだ。最後は結婚して家に閉じ込められるエンドが待っている。
「んー?」
僕は彼にぎゅと抱きつき耳元で囁いた。
「僕もアルトが大好き。だから…」
そして耳にキスを落とす。
「付き合うよりさ、もっと気持ちいいことしよ?」
「へ?先輩?!」
僕は告白を流して彼を誘った。
15
お気に入りに追加
380
あなたにおすすめの小説
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる