上 下
43 / 52
ヴァルラム

愛を確かめ合う

しおりを挟む
智紀を元の世界に呼び寄せたのは、智紀が助けた子猫らの呼び声であった、とイリヤが言っていた。
子猫らの匂いも残っている。

優しい智紀を、母のように感じたのだろう。
慕う気持ちは理解できる。

成程、母を慕い求める幼子の呼び声ならば、さぞかし強かろう。
次元の壁であろうが容易く突破する筈である。


しかし。
他に保護者のいるような気配もしたのだが。

智紀は一体、誰に襲われ、私に助けを求めたのだろう。


*****


「ええと、話せば長くなるんだけど……」
「構わぬ。話すがよい」


智紀は、救助された際にとある男に人工呼吸をされ、息を吹き返し。
その男の家に連れ帰られたという。

こちらの世界のことは、全て夢であったのかと思ったようだが。
夢の中で、嘆いている私を見、気になっていたという。


実際は夢でなく、魂がこちらへ来ていたのだが。

その男は、以前から智紀を知っていたようだ。
顔ではなく、仕事での話だというが。

求婚され、襲われたので。
思わず夢の中の存在であるはずの私に助けを求めてしまった、という。


「その男に、何をされたのだ」

嗅いで確かめたが。
智紀や、他人の精の匂いはしない。犯されまではしなかったようだが。

あのように必死に助けを求めてきたのだ。
よほどの目に遭ったのだろう。


智紀は頬を染め。
「ええと。うつ伏せに押し倒されて、む、胸を触られて。首の後ろにキスされて……それで、ぞわっとして。助けて、って言ったらヴァルラムが助けに来てくれたんだよ」

「ふむ、」
触れられた時点で怖気立ち、嫌悪したというのか。


そうか。
他の男からは、触れられるのも嫌、か。

……いや、嬉しくなっている場合ではない。
嫌なことを思い出させてしまったな。


では。
その嫌な記憶を、塗り替えてやろうではないか。


*****


「ひゃ、……いっ、」
腰掛けていた絨毯に、うつ伏せに押し倒した。

可愛らしい乳首を、やや強めに摘まんでやる。
……ここを弄られ。どのような声を上げたのだ?

私が、ここで感じるようになるよう、ここまで仕上げたのだ。
もう二度と、他の誰にも触れさせぬ。


「や、……んっ、」
首筋を甘噛みし、もう一方の手で智紀の性器を弄る。

やわらかな性器が手の中で充血してくるのを感じる。

目を閉じた状態でも、私の手だと感じ。
身を委ねているのか。


「いやか?」
智紀はふるふると首を横に振った。

「い、やじゃな、……ヴァルラムの手、最初から、嫌な感じは、しなかったんだ」


「当然だ。智紀は、私のものだ」

忘れるな。
智紀を感じさせてやれるのは、触れていいのは私だけだと。

……他は、忘れてしまうがいい。


「……すき、ヴァルラム。……ここ、奥まで、ヴァルラムのにおい、つけて?」
智紀は腰を上げ、己の腹に手を当て。

私の寵愛をねだった。


どくん、と鼓動が跳ね上がり。
股間に血液が集中する。

色香に、くらりとした。
「くっ、そのような愛らしいことを言って。煽るな……、」


*****


潤滑剤を使い、智紀の繊細な襞をほぐしてやる。

血管の集中している部分である。
感覚もそれだけ鋭敏だが、傷付きやすい器官であるので、慎重に扱わねばならない。


「ん、……あ、」
智紀は慣らす行為にすら、気持ち良さそうに腰を揺らしている。

ねだるような媚態に。
すぐさま突き入れたいのを、堪える。

狭く細い筒に無理を強いれば、傷つけてしまう。
愛しいツガイには、痛みではなく、快楽のみを与えたい。


「も、大丈夫、だから、」
喘ぎながら、挿入をねだられ。

背後から、様子を見つつ、少しずつ挿入する。

最初の内は、背面から受け入れた方が楽であると聞いた。
感じている顔を見ながら挿入したいところだが。

もう少し、行為に慣れてからの我慢である。


「……ん、いい、」

私に、挿れられてるだけでも気持ちいいのだと、正直に快楽を口にする。
触れれば返って来る反応に、嬉しくなる。

寝ている相手に触れるのは、卑怯であったと。
今更ながら思う。

智紀はこのように、私を許し、受け入れようとしているのに。

素直に想いを伝え。
事情を話した上で、触れれば良かったのだ。


*****


「動くぞ」
腰を掴み、ゆっくり引き抜いてはまた押し入れる。

「は、……ああ、」
智紀は絨毯を掴み、耐えている。


まだ半ばほどしか入れていないのだが。
きついくらいの締め付けである。

痛いのか、と心配になったが。

「ぜんぶ、入れて。ヴァルラムの、いいように、して?」
腰を揺らしながら、ねだられる。

「全く……煽るなと、……っく、」
智紀の細い腰を掴み。

望み通り、根元まで突き入れてやる。
まだ奥の方までは拡がっておらず、きついが。

「ふ、……く、」

なんという快感か。
互いに求め合うことの快楽を知る。

「ひぁ、あっ、あ、……は、ぁん、」
突き上げる度、私の理性を揺るがすような声を上げ、身悶えている。


首筋に牙を突き立て、思うさま犯したい。

どうしようもなく湧き上がる獣性を堪え。
小さな身体を突き上げる。

愛おしい、私だけのツガイ。
このように、私の心を乱すのは。


生涯、そなただけだ。
智紀。


*****


陰茎の根元が膨らんでゆく感覚。

「……中に、出すぞ、」
「ん、……出して、ヴァルラムで、お腹いっぱいにして、」

「く、だから、煽るなというに……!」
ぐい、と腹の奥に亀頭を押し付け。

「っあ、ああっ、」
腹の中に精を吐き出す度、感じているような声を上げ。

びくびくと内股が震えている。


智紀は私の腕の中で。
はあ、と溜め息を吐いた。

何かを深く思い悩んでいる様子である。

「……どうした? つらいか?」


犬族の射精は長時間に及ぶ。
故に、猫族などが相手の場合、嫌がられて、お互い無事では済まないというが。

もし、結婚を思い直すほどつらいのならば、中で出すのは自重するが。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

本日のディナーは勇者さんです。

木樫
BL
〈12/8 完結〉 純情ツンデレ溺愛魔王✕素直な鈍感天然勇者で、魔王に負けたら飼われた話。  【あらすじ】  異世界に強制召喚され酷使される日々に辟易していた社畜勇者の勝流は、魔王を殺ってこいと城を追い出され、単身、魔王城へ乗り込んだ……が、あっさり敗北。  死を覚悟した勝流が目を覚ますと、鉄の檻に閉じ込められ、やたら豪奢なベッドに檻ごとのせられていた。 「なにも怪我人檻に入れるこたねぇだろ!? うっかり最終形態になっちまった俺が悪いんだ……ッ!」 「いけません魔王様! 勇者というのは魔物をサーチアンドデストロイするデンジャラスバーサーカーなんです! 噛みつかれたらどうするのですか!」 「か、噛むのか!?」 ※ただいまレイアウト修正中!  途中からレイアウトが変わっていて読みにくいかもしれません。申し訳ねぇ。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

目の前の魔法陣と男に巻き込まれて

葵桜
BL
※厨二病時の厨二病による厨二病異世界BL王道?ファンタジー さっきから根暗くん根暗くんって何なんだ。 名前くらい覚えろやぁ! ってなんで壁ドンされてんのかなぁ...? あ、なんか君の後ろに魔法陣が見えるな!ハハハ! 勇者ぽい自己中顔面アイドル君に巻き込まれなんか異世界転移をとげるらしい。 どうか恋人ができますように。 いや、無双ができますように? 年に数回ぼちぼちとリメイクしています。 終わったあと興味があればぜひもう一度読んでください。 完結は…。できないかもしれないです。気長にお待ちください。申し訳ございません。

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

牛獣人はお世話係にモウモウ夢中!俺の極上ミルクは美味しいでしょ?

ミクリ21 (新)
BL
貴族に飼われている牛獣人アルベドは、良質な極上ミルクを出すためにお世話係は厳選されている。 アルベドのお世話係になったラーミアは、牛のお世話はしたことあっても牛獣人のお世話は初めてだった。 「僕は可愛い牛のお世話がしたかったのに、色気の溢れるイケメン牛獣人なんて求めてません!」 「まぁそう言わずに、一杯俺のミルク飲んでみなよ」 「な…なんて美味しいミルクなんだ!?」

通販で美少年型カプセルを買ってみた

霧乃ふー  短編
BL
通販で買っておいた美少年型オナホのカプセル。 どれを開けようか悩むな。色んなタイプの美少年がカプセルに入っているからなあ。 ペラペラと説明書を見て俺は、選んだカプセルを割ってみた。

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

処理中です...