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ヴァルラム

ツガイに翻弄される

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入口はきゅうきゅうと締めつけ。
中は、蕩けそうであたたかく。もっと奥へと誘う動きをしている。


しかし。

「ここまでしても起きぬとは、」
思わず苦笑する。

私に犯されて、嫌悪感はないのか?

私がツガイだから、抵抗しないのか?
寝たふりをしているのか?

囁きにも反応しているのは、間違いないのだが。


ゆるゆると腰を動かし。
中から前立腺を刺激してやる。

「ん、……っ、」
愛らしい声を上げる。

私に抱かれ、感じているようだ。
私の胴を、やわらかな腿で挟まれるのも心地好い。


愛おしい。私のツガイ。

慣れぬ身体に無理をさせるのは酷か。
今日のところは、挿入するのも半ばまでにしておこう。

中に入れたまま射精するのは、次でよかろう。


「可愛い智紀。……もう、私のものだぞ」
そう告げると。

智紀はこくりと頷いたのだった。


*****


愛しいツガイと初めて身体を繋げた翌朝。

天気は晴れ、吹く風は穏やかで心地好く。
大地の恵みも豊かであるとの報告を受ける。

聖神が幸福であれば、このような好天が続くという。

智紀は心身共に私のものになり、幸福なのだろう。
私も嬉しく、幸福である。


しかし。
昼食を共に摂ろうと神殿に向かったのだが。

智紀は私の姿を見るなり、レナートの背に隠れてしまったのだ。


昨日の今日である。
まだ照れているのだろうか?

終わった後も、頑なに寝たふりをしていたくらいであった。
面と向かって話すのは、まだ緊張するのかもしれぬ。

初めての朝を恥ずかしがるのも初々しく。愛らしいのだが。

そうあからさまに避けられては。
私は一国の王であるが、一人の男でもある。

愛するツガイにつれなくされるのは、さすがに傷付くのだが……。


仕事が忙しく、晩餐には行けないが、夜には行けそうだと伝えたかったのだが。

人目があるところで会うのはまだ恥ずかしいのだろう、と繭に向かうところを。
レナートとパーヴェルに止められた。

イリヤとユリアーンが、智紀に大事な話があるのだという。


*****


「どうやら私は智紀に避けられているようだが。……嫌われたと思うか?」
念の為、訊いてみる。

「いえ、真っ赤になって、照れている感じでしたよ」
レナートが否定し、パーヴェルも首を横に振った。

万が一にも無いとは思っていたが。
少々安堵する。


「天候からして、嫌な思いはしてなさそうだけど。ヒトの感情は、まだわからないからねえ」
「かつてない豊作らしいですね……」

本当に、天候と聖神の感情は連動しているのだろうか?
聖神の魂が召喚された時点で、天変地異が収まったのは確実なのだが。


智紀はあまり、自分の気持ちを口にしない。

奥ゆかしいのは美点であるが。
もどかしくもある。

この好天は、不満がないだけか?
幸福を感じているからか?


智紀の口から、聞きたいものだ。


*****


晩になり、神殿の繭へ向かうと。

丁度医療院へと戻るイリヤに会った。
どんな様子か訊けば。

イリヤは嫌そうに。
王を避けるのに、特に理由はなかったようです、と言った。


私が晩餐に顔を出さなかったことを気にしていたようである。

駆け引きのつもりであったのかもしれない、と考えた。
この私をらせるとは。罪なことをする。


揺り籠ですやすやと眠っている智紀を抱き上げ。
寝台を平らにし、そっと寝かせ、服を脱がせてやる。

酒精を摂っていないが、体温は高い。


「ん、」
ぼんやりとした様子だが。

「起きたか? 今宵は、私につれないことをした仕置きをしてやらねばな?」
口付け、舌を差し込む。

小さな舌を吸い、口内を探る。

丹念に愛撫をし、後孔を慣らすのは慎重にしたが。
智紀が達することが出来ぬよう、根元を締め付けてやる。

早く達きたい、ともじもじしているのも愛らしい。
達くことが出来ず、せつない様子だが。

智紀に避けられた私は、もっとせつない気持ちで居たのだぞ? 許しを乞うがよい。


「やあ、」
根元を戒める私の指を外そうとしているが。
力が入っていない様子である。

子猫の爪よりも弱い。

「ん? 達きたいか? ならば腰を上げ、私を求めよ」

智紀は、素直にうつ伏せになり。
腰を上げた。


やはり、私の訪れを心より待ち侘びていたのだ。


*****


「そら、挿れるぞ。たっぷりと味わえ」
腰を掴み、小さく口を開いた入口を貫いてやる。


「は、ああ、……あっ、」

智紀は白い背を反らせ、きゅうきゅうと私を締め付けた。
入口の締め付けと反し、心地好く包み込む、智紀のあたたかくやわらかな内部。

昨夜が初めてであるとは思えぬほどの動きをする。
うねり、吸い寄せ。精を搾り取ろうと。

もっと欲しいか?


「あ、……はぅ、」
私も悦いが。智紀も感じている。私に貫かれて。

可愛い私のツガイ。

仕置きはこれまでにし、たっぷりと可愛がってやろう。
智紀のものを戒めていた指を外し、両の腰を掴む。

腰を穿つ動きを激しくし、細い身体を揺さぶる度に、ぽたぽたと悦びの蜜を垂らし。
私の獣性を煽るような甘い声を上げる。


「……中に出すぞ?」
耳朶を甘噛みしながら、囁いてやると。

こくりと頷く。

愛おしい。
私の、唯一の伴侶。

これまで、このような快楽を味わったことは無かった。
ただの肉欲の解消とはまるで違う。


陰茎が、智紀の中で膨れていくのを感じる。
精嚢いっぱいに溜まった子種を、一滴残らず注ぎ込む。

腹一杯、私の精で満たされれば良い。


*****


智紀の小さな腹が、私の精で満ちてゆくのを感じる。

好いた相手を孕ませたいと思うのは、獣のサガであるが。
本来性器ではない場所を犯し、精で満たし、征服するこの行為に。

どうしようもなく高揚する。


「ん、」
きゅう、と締め付けられ。

智紀が身じろいだ。
今まで、意識を飛ばしていたようである。

「動くな。まだ全部注ぎ終わってない」
手を腰に回し、引き寄せる。


「え、ヴァルラ、……あっ、あう、」

智紀はこの長い射精に困惑しているようである。
犬族・狼族の交接が、どのようなものかを知らなかったのだろうか?

メスを確実に妊娠させるため、膣内を大量の精液で満たし、子宮までも浸透させる。
その為、長時間陰茎が抜けぬよう、根元に瘤状の膨らみが出来るのである。

陰茎骨も、長時間の交接を可能にするためのものである。
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